今日、我々は関東大震災(Kanto Earthquake)から100年の節目を迎えます。1923年、この壊滅的な地震は関東地方に深刻な被害をもたらし、数多くの命が失われ、多くの建物が壊れ、東京の景観は一変しました。この災害は、日本の歴史において、人々の心、社会、政治、そして文化に多大な影響を与えた出来事です。

100年の時間が流れ、我々はこの災害から多くの教訓を得ました。そして、今日、この機会に、関東大震災に関連した5冊の書籍を紹介します。それぞれ異なる視点から関東大震災を分析し、震災が日本に与えた影響、そしてそれがどのようにして我々の現在につながっているのかを考える契機となるでしょう。

このブログ記事では、関東大震災の多角的な側面について考察する5冊の書籍を紹介します。これらの書籍を通じて、私たちは過去の出来事から学び、未来に向けて進む上で重要な知識を得ることができるでしょう。

関東大震災絵図 揺れたあの日のそれぞれの情景

『関東大震災絵図 揺れたあの日のそれぞれの情景』は、関東大震災を主題にしたユニークな本です。著者たちは、絵画、版画、小学生の絵、風刺漫画など、多様な視覚素材を通じて、関東大震災の様々な側面を浮き彫りにしました。地震学や災害史の専門家による解説も加えられており、読者は当時の状況を詳細に追体験することができます。本書の目的は、未来の大地震に備え、人々の想像力を育み、防災意識を高めることです。

この『関東大震災絵図 揺れたあの日のそれぞれの情景』は、5人の著者によって執筆されました。北原糸子は、日本災害史の専門家で、神奈川大学や立命館大学、国立歴史民俗博物館で教鞭を執りました。また、歴史地震研究会の会長を務め、日本自然災害学会学会賞や南方熊楠賞を受賞しました。武村雅之は、名古屋大学の特任教授で、日本地震学会、日本建築学会、土木学会、日本活断層学会の役員や委員を務めました。彼は地震学と地震工学の専門家で、日本地震学会論文賞、日本地震工学会功績賞、日本建築学会著作賞、文部科学大臣賞を受賞しました。鈴木淳は、東京大学大学院の教授で、人文社会系研究科文学部に所属しています。森田祐介は、復興記念館の調査研究員で、関東大震災に関連する復興に関連する研究に従事しています。高野宏康は、国立歴史民俗博物館や東京都復興記念館、小樽商科大学で研究に従事しています。彼は地域レジリエンス株式会社の代表取締役でもあります。

『関東大震災絵図 揺れたあの日のそれぞれの情景』は、関東大震災についての知識を深め、未来の地震への備えを考える上で、非常に有用な一冊です。災害に対する意識を高めることは、私たちの生活を守る上で重要な要素です。それぞれの専門家によって執筆されたこの本は、その目的を達成するための重要なリソースとなるでしょう。

関東大震災~郵便と資料が物語る100年前の大災害

編集:震災郵趣研究会
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『関東大震災~郵便と資料が物語る100年前の大災害』は、震災郵趣研究会が編集し、日本郵趣出版から2023年9月1日に発売された書籍です。この書籍は、1923年の関東大震災(Kanto Earthquake)から100年経った今、被災者の手紙や各種資料を通じて、当時の未曾有の大災害のリアルな姿を振り返るもので、関東大震災についての公的な資料、新聞・雑誌、図絵、市井の人々の手紙といった多くの資料をもとに、6つの章で構成されています。

第1章「郵便が物語る関東大震災の1ヶ月」では、大震災直後に送られた手紙から約1ヶ月間に差し出された郵便物を時系列で紹介。これらの郵便物は、被災した人々が発信した“震災ドキュメンタリー・レポート”ともいえるもので、郵便局の対応や被災者への救済措置(無料電報、罹災郵便等)も読み解かれます。

第2章「絵はがきで見る関東大震災」と第3章「関東大震災を描く大判図」では、絵はがきと大判図を用いて関東大震災の被災状況を解説。当時、テレビやインターネットはなく、最も速やかな視覚情報は絵はがきや石版印刷の大判図で、それが全国に周知されました。

第4章「生活への影響・混乱」では、国が発行した壁新聞や公的な文書、書類を中心に、生活への影響と政府の対策をまとめています。特に注目されるのが、天皇からの恩賜金(お見舞金)の告示で、これは明治以来、大災害の際に天皇から届けられているとされます。

第5章「郵便などへの暫定対応」では、地震で印刷局や切手の在庫が焼けたため、暫定で発行された震災切手やはがき、印紙の未使用・使用例、シート、エラー等が紹介されています。また、ほとんどが焼失し、ごくわずかに現存する「東宮御婚儀記念切手」についても解説されています。

第6章「関東大震災からの復興」では、復興がテーマ。標語印や新たに区画整理された地図、そして12年後の「復興記念横浜大博覧会」までの軌跡が追われます。

これら6つの章で構成された『関東大震災~郵便と資料が物語る100年前の大災害』は、郵便や各種資料を通じて関東大震災を新たな視点から見直す、これまでに類を見ない書籍です。貴重な資料から明らかになる大災害の実態をぜひ、ご一読ください。

現代思想2023年9月臨時増刊号 総特集◎関東大震災100年

『現代思想2023年9月臨時増刊号 総特集◎関東大震災100年』は、飯山由貴、朴沙羅、永美太郎などの著者たちによって、青土社から2023年8月8日に出版されました。この特集号は、1923年の関東大震災とその後の復興過程について、忘却に抗いながら未来に記憶をつないでいくためのメモリアルとして位置付けられています。マグニチュード7.9の大地震により広範囲にわたる火災、土砂災害、家屋倒潰が発生し、流言に基づく虐殺によっても、朝鮮人をはじめとする多くの人々が命を奪われました。本書は、この惨禍と復興の歩みが、100年後の現代に何を問いかけるかを考察する多角的な視点を提供します。

本書は以下の章から成り立っています。

  1. 【対談】飯山由貴と朴沙羅による、虐殺の歴史についての対談。
  2. 【マンガ】永美太郎による、関東大震災の実況を描いたマンガ。
  3. 【惨禍の実相】新井勝紘、小薗崇明による、虐殺絵とろう者の画家の震災体験についての分析。
  4. 【災厄の政治学】平野克弥、酒井隆史、逆井聡人、木村政樹による、市民社会、大正アナルコ・サンジカリズム、有島武郎と日本共産党についての考察。
  5. 【流転する都市】武村雅之、北原糸子、中川雄大、高原耕平による、地震学、墓地移転、都市計画、婦人運動、災害の反復と伝承についての分析。
  6. 【創造と記憶】鷲谷花、茂木謙之介、天内大樹による、映画『風立ちぬ』、荒俣宏『帝都物語』、建築・デザイン史における都市景観と歴史展示の多元性についての考察。

この『現代思想2023年9月臨時増刊号 総特集◎関東大震災100年』は、関東大震災の惨禍と復興、そしてその影響について、多様な視点から深く考察し、その意味を現代に問いかけるための重要な文献となっています。災害の政治学、都市の流転、創造と記憶についての分析を通じて、私たちが100年前の災害から学び、未来につなげるためのヒントを得ることができるでしょう。

写真集 関東大震災 被害→避難→救援→慰霊→復興

西日本出版社
¥2,200 (2023/09/01 10:15時点 | Amazon調べ)

100年前の1923年、関東大震災が東京をはじめ関東一円を襲いました。その時の被災者の姿、被災地の様子、そして復興の歩みが詳細に収められた写真集『関東大震災 被害→避難→救援→慰霊→復興』が、小薗崇明著、東京都慰霊協会編で西日本出版社から2023年8月17日に発売されました。この写真集は、関東大震災から100年を迎える2023年9月1日に向け、東京都慰霊協会が運営する復興記念館に所蔵されている写真を地域別に掲載し、当時の状況を追体験できる内容になっています。

写真集『関東大震災 被害→避難→救援→慰霊→復興』は、被災写真掲載エリアとして、国技館、被服廠跡、両国橋駅、総武線・本所区緑町付近、日本橋、丸善、人形町通り、白木屋、水天宮、明治座、日本橋通り、銀座通り、歌舞伎座、築地、木村屋総本店、上野駅、田端駅、上野公園、皇居外苑、帝国劇場、日比谷公園、有楽町、東京駅、五軒町、青山女学院、浅草活動街、花やしき、東京帝国大学、浅草仲見世、雷門付近、吉原弁天池、神田橋、ニコライ堂、三越、新宿駅、品川駅、芝公園、明治神宮など、当時の東京の様々な場所の写真を掲載しています。

写真集『関東大震災 被害→避難→救援→慰霊→復興』の目次には、まえがき、もくじ、当時の東京、被害、避難・救援、慰霊、復興、といった章立てがされており、それぞれの章で、関東大震災の被害の様子、人々や動物の避難・救援活動、慰霊の取り組み、そして復興への取り組みが紹介されています。特に、「慰霊の象徴・被服廠跡」や「復興へ踏み出すための爆破」といったコラムでは、当時の人々の苦悩や努力が詳しく描かれています。

この写真集『関東大震災 被害→避難→救援→慰霊→復興』は、次の震災のことが語られる今、未来への教訓として、関東はもとより全国の人たちに見ていただきたい一冊です。災害からの復興は、一人一人の努力や支援、そして慰霊によって成し遂げられるものであり、その意義と重要性を再認識させる内容となっています。

関東大震災 その100年の呪縛

著:畑中 章宏
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『関東大震災 その100年の呪縛』は、畑中章宏著、幻冬舎から2023年7月26日に発売された書籍です。畑中章宏は1962年大阪生まれの民俗学者で、これまでに『柳田国男と今和次郎』『‘日本残酷物語’を読む』(平凡社新書)、『災害と妖怪』『津波と観音』(亜紀書房)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『天災と日本人』『廃仏毀釈』(ちくま新書)、『五輪と万博』『医療民俗学序説』(春秋社)、『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』(講談社現代新書)など、多くの著書があります。

『関東大震災 その100年の呪縛』は、関東大震災(1923年/大正12年)から100年を迎えるにあたり、その震災が日本人の心情や精神に与えた影響、そしてそれがどのように日本の歴史や文化に影響を与えたのかを分析する内容になっています。関東大震災は、東京の都市化・近代化を進めたとされる一方で、人々に過去への郷愁や土地への愛着を呼び起こす契機ともなりました。民俗学や民藝運動の誕生、民謡や盆踊りの復興は、この震災がきっかけだったとされています。

『関東大震災 その100年の呪縛』では、そのような保守的な情動が大衆ナショナリズムを生み、戦争へ続く軍国主義に結びついたこと、また大震災の経験が、合理的な対策に向かわず、自然災害への無力感を〈精神の復興〉にすり替える最初の例となったことが指摘されています。これは、日本の災害時につきまとう諦念と土着回帰の傾向を示すものとされています。

このように、『関東大震災 その100年の呪縛』は、関東大震災から100年の歴史とともに、その精神的な影響に迫った一冊です。気鋭の民俗学者である畑中章宏が、その深い知識と洞察力を駆使して、関東大震災が日本人の心情や精神、文化、歴史に与えた影響を分析し、現代に生きる私たちにとっての教訓を提示しています。

まとめ

September 1 is Disaster Prevention Day. This year marks the 100th anniversary of the Great Kanto Earthquake that occurred on September 1, 1923.
9月1日は「防災の日」です。 大正12年9月1日に発生した関東大震災から、今年で100年を迎えます。

今日(2023/09/01)は、関東大震災(Kanto Earthquake)からちょうど100年が経過しました。この機会に、私は関東大震災に関連した5つの異なる書籍を紹介しました。これらの書籍はそれぞれ異なるアプローチで関東大震災を取り扱っており、その多角的な視点から、我々は100年前のこの歴史的な出来事について深く理解することができます。

まず、『関東大震災絵図 揺れたあの日のそれぞれの情景』は、震災の日の東京の様子をビジュアルで捉えた書籍です。絵図を通して、私たちは当時の人々がどのような状況に直面し、どのようにしてその日を過ごしたのかを目の当たりにすることができます。

次に、『関東大震災~郵便と資料が物語る100年前の大災害』は、郵便物や当時の資料を通じて、関東大震災が日本の社会に与えた影響に焦点を当てた書籍です。これらの資料から、震災の影響がどのようにして広がり、多くの人々の生活にどのように影響を与えたのかを知ることができます。

『現代思想2023年9月臨時増刊号 総特集◎関東大震災100年』は、関東大震災から100年を迎え、多角的な視点からその影響を考察する特集号です。様々な専門家の意見や考察を通じて、震災が日本の社会、文化、政治に与えた長期的な影響について考えることができます。

『写真集 関東大震災 被害→避難→救援→慰霊→復興』は、関東大震災の被害から復興までの過程を写真で追った書籍です。これらの写真から、私たちは震災が引き起こした被害の実態、人々の避難や救援活動、慰霊や復興の様子を具体的に把握することができます。

最後に、『関東大震災 その100年の呪縛』では、震災が日本人の心情や精神に与えた影響、そしてそれがどのように日本の歴史や文化に影響を与えたのかを分析する内容になっています。

これらの書籍を通じて、私たちは関東大震災の多様な側面について学ぶことができます。これは、私たちが過去の出来事から学び、未来に向けて進む上で非常に重要なことです。この災害から得られる教訓は、私たちが今後、同様の災害に立ち向かう際の参考になるでしょう。それと同時に、私たちの歴史や文化、社会に与えられた影響について考える契機となります。