尖石石器時代遺跡と茅野市尖石縄文考古館、それぞれが語りかける縄文時代の物語を探求する旅へ、皆さんをご案内します。あの時代の人々が何を考え、どのように生活を送っていたのか。その答えを探し求めることが、私たちのこの旅の目的です。

この遺跡と博物館は、遥かなる時代の日本の歴史と文化を刻み込んだ貴重な場所です。尖石石器時代遺跡は、縄文時代中期(約5000年前~約4000年前)の遺跡として、我が国初の縄文集落研究の地として認識されています。一方、茅野市尖石縄文考古館は、これらの歴史的価値を更に深く理解するための施設で、豊富な展示と体験学習プログラムを提供しています。

このブログでは、これらの施設の詳細なガイドと共に、遺跡の発掘から現在の保護・活用までの歴史や、現地での体験の様子などをお伝えします。歴史に興味がある方、縄文時代の生活を体験したい方、またはただ自然と静寂を愛する方々にとって、尖石石器時代遺跡と茅野市尖石縄文考古館は必見のスポットです。それでは、縄文時代の息吹を感じる旅へ出発しましょう!

特別史跡「尖石石器時代遺跡」

The Spire Stone Age site is a mura where the design of Jomon society began.
尖石石器時代遺跡は縄文社会のデザインがはじまったムラ。

概要

特別史跡「尖石石器時代遺跡」は、縄文時代中期(約5000年前から約4000年前)に人々が生活していた地域を示す重要な遺跡です。遺跡は長野県茅野市豊平南大塩の標高1,070メートルの地点に位置し、面積は67,000平方メートル(与助尾根遺跡を含む)に及びます。尖石遺跡は、日本で最初の縄文集落研究の地として知られ、昭和27年に縄文時代では最初の特別史跡に指定されました。

遺跡の発掘と学術的貢献

尖石遺跡の発掘は、小学校教師であった宮坂英弌によって行われました。彼は昭和5年から尖石遺跡の発掘を始め、昭和15年4月には集落究明を目的とした発掘調査を開始しました。同年6月には東京考古学会の例会が尖石遺跡で開催され、帝室博物館監査官の後藤守一から、この尖石遺跡で日本で初めての石器時代集落の研究を成し遂げるよう激励されました。この成果は、日本最初の縄文集落論として発表され、高い評価を受けました。

遺跡の特性と現状

尖石遺跡は、約220軒の住居址が確認されるなど、八ヶ岳山麓で最大級の集落であったことが分かっています。現在、尖石遺跡一帯は尖石縄文考古館を中心に史跡公園として整備されており、一般の人々が訪れて遺跡の学習や観察を行うことができます。

尖石遺跡は、その地理的位置、規模、そして学術的な貢献を通じて、縄文時代の生活や文化を理解するための重要な窓口となっています。これらの特性は、尖石遺跡が国内外で広く認識され、縄文時代の生活と文化についての理解を深めるための重要なリソースとなっています。

参考文献
茅野市教育委員会 2016 『特別史跡尖石石器時代遺跡保存管理計画書』茅野市教育委員会
茅野市教育委員会文化財課 1999 『特別史跡尖石遺跡』茅野市教育委員会
茅野市教育委員会 1975 『尖石復刻』茅野市教育委員会

尖石縄文考古館

Chino City togariishi Jomon Archaeological Museum is located in Chino City, Nagano Prefecture, Japan.
茅野市尖石縄文考古館は長野県茅野市に所在します。

茅野市尖石縄文考古館は、国指定特別史跡「尖石石器時代遺跡」の一部で、豊富な展示と施設を持つ博物館です。この博物館は、長野県茅野市豊平4734-132に位置しており、開館時間は午前9時から午後5時まで(最終入館は午後4時30分)です。アクセスは、中央自動車道諏訪インターチェンジから約25分、または諏訪南インターチェンジから約35分です。

施設と設備

常設展示室

博物館には四つの常設展示室があります。

  1. 常設展示室Aでは、尖石遺跡の調査に尽力した宮坂英弌氏の業績と出土資料を展示しています。
  2. 常設展示室Bでは、2体の国宝「土偶」(Jōmon Venus, Masked Goddess)を展示しています。
  3. 常設展示室Cでは、市内の各遺跡から出土した土器や石器を多数展示しています。
  4. 常設展示室Dでは、ドングリ割り体験、縄文時代の編み物の編み方体験、火起こし体験、パズルなどの各種体験ができます。

特別展示室

ここでは、常設展示では紹介しきれない博物館の収蔵品を期間限定で展示したり、特定のテーマをもった展覧会を開催します。

学習コーナー

このコーナーでは、粘土を使った体験学習(要予約)、図書の閲覧などができます。また、「縄文教室」などの体験型講座の会場ともなります。

ガイダンスルーム

このルームでは、各種映像プログラムを視聴できます。縄文時代の概要について学ぶための「尖石へようこそ」(約13分)や国宝「土偶」(仮面の女神)の発掘ドキュメント映像「仮面土偶 発見の奇跡・調査の軌跡」(約25分)が視聴可能です。座席は常時90席あり、団体での利用も可能です。

展望ギャラリー

史跡公園の復元住居を見下ろすことができる展望ギャラリーもあります。ベンチが設置されていて休憩することもできます。

喫茶コーナー

通年営業の喫茶コーナーでは、コーヒーやケーキなどを提供しています。ミュージアムショップも併設されています。

その他の施設

ベビーカー4台と車いす5台が無料で利用でき、コインロッカーも設置されています。身障者用のトイレとオストメイトも利用可能です。

園内の自然と風景

尖石縄文考古館の周囲は、特別史跡「尖石石器時代遺跡」で、史跡公園として整備されています。ここでは、八ヶ岳山麓の尖石遺跡から八ヶ岳方面を望む風景や、夕暮れ時に沈む夕陽を八ヶ岳と反対方向に見ることができます。また、春には道路沿いにサクラやハナミズキなどの花が咲き、残雪の八ヶ岳を背景に美しい景色を楽しむことができます。

復元住居

与助尾根地区には、6軒の復元住居があります。これらは同時期に建てられた可能性のあるもので、縄文時代の村落の様子を感じることができます。住居の中に入って、縄文時代の家の温度を体験することも可能です。

茅野市尖石縄文考古館は、博物館の展示だけでなく、自然の風景、復元住居、そして体験学習など、縄文時代の生活と文化を全方位的に理解することができる施設となっています。