「土偶」は縄文時代の美的表現と神秘を詰め込んだ形象で、その魅力と謎に迫る数々の書籍が存在します。最近、土偶への関心が高まっていることから、私はそのうちの5冊の本を選び、それぞれについて深く掘り下げることにしました。それぞれの書籍は、土偶を独自の視点で捉え、読者に縄文時代の世界への新たな入り口を提供してくれます。『土偶を読むを読む』、『土偶美術館』、『みんな大好き! 遮光器土偶 FANBOOK』、『土偶と石棒―儀礼と社会ドメスティケーション―』、そして『新版・土偶手帖 おもしろ土偶と縄文世界遺産』は、それぞれが異なる角度から土偶を読み解き、その魅力と深遠な意味を探求する旅へと読者を誘います。

土偶についての理解を深め、その不思議な魅力を自身で体験するための第一歩として、これら5冊の書籍を読むことを強くお勧めします。それぞれの書籍が土偶にまつわる異なるテーマを取り上げており、それらを通じて縄文時代の日本とその文化的な背景について理解を深めることができます。これらの書籍は、縄文時代の考古学に興味がある方はもちろん、美術や歴史、そして物語性に関心のある全ての読者にとって、インスピレーションに満ちた読み物となるでしょう。

今回のブログでは、これら5冊の書籍を一つずつ紹介し、それぞれがどのようにして縄文時代の美術と信仰の理解を豊かにしてくれるのか、その魅力を解き明かしていきます。それぞれの書籍から得られる洞察と学びを通じて、読者の皆様が土偶というユニークな形象に新たな視点で接することができるよう、情報を提供してまいります。

『土偶を読むを読む』 文学通信

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まずは2023年4月28日に文学通信から発売された注目の書籍『土偶を読むを読む』について紹介したいと思います。望月昭秀、小久保拓也、山田康弘、佐々木由香、山科哲、白鳥兄弟、松井実など、様々な分野で活躍する8名の著者による共著となっています。

竹倉史人『土偶を読む』の検証

本書の目的は、竹倉史人による『土偶を読む』(晶文社)を詳細に検証し、それに対する批判的見解を提示することです。『土偶を読む』は、土偶(Dogū, Jomon period figurines)が植物の姿をかたどった植物像であるという理論を唱えましたが、本書はその説明を詳しく吟味し、新たな視点を提供します。

評価と反評価

竹倉の『土偶を読む』は、NHKの朝の番組で取り上げられるなど一般的な注目を浴び、さらに第43回サントリー学芸賞を受賞しました。しかし、一方で考古学界からは評価が低いという、興味深い立場にあります。

専門知への挑戦

本書の主なテーマは「専門知」に対する挑戦です。望月昭秀氏によれば、「専門家」という鎧をまとった人々の主張が必ずしも信頼できるわけではないと指摘し、新たな視点を導入することの重要性を強調しています。

検証と問題提起

『土偶を読むを読む』では、『土偶を読む』の評価が低い理由について掘り下げ、その原因を探ります。同時に、専門家の役割、専門知識が何であるか、考古学者が現在何を研究していて何が理解できていて何が理解できていないのか、という広範な問いを提起しています。

縄文研究の新たな視角

また、本書は縄文研究の現状を客観的に把握するための一助ともなります。『土偶を読む』の検証を通じて、縄文時代を解釈する新たな視角が開かれ、読者に提供されます。

最後に

『土偶を読むを読む』は、竹倉史人『土偶を読む』に対する厳密な検証を通じて、専門知識への新たな挑戦を提起しています。望月氏の言葉を借りれば、「雪かきに近い」重労働とも言えるこの挑戦は、研究の新たな道を切り開く可能性を秘めています。


新たな視点で土偶の謎を解き明かすこの本を通じて、読者は縄文時代の理解を深めることができるでしょう。そして、専門知識に挑むことの重要性を改めて認識するきっかけとなることでしょう。この新たな挑戦に、皆さんも一緒に参加してみませんか。

『土偶美術館』 平凡社

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縄文時代の土偶に魅了されてやまない読者の皆様に、絶対に手に取っていただきたい1冊を紹介いたします。それが、2022年11月5日に平凡社から発売された小川忠博氏による『土偶美術館』です。

土偶の美を凝縮した写真集

『土偶美術館』は、定番の「縄文のヴィーナス」から土器土偶、動物の土偶まで、縄文時代に作られた土偶の豊かなバリエーションを、なんと300点の写真で見せる、驚異の写真集です。

小川忠博という写真家

著者の小川忠博氏は、40年にわたり日本各地の縄文資料の撮影を続けてきた、縄文写真家として知られています。『新版 縄文美術館』の続巻として出版された本書では、彼の長年にわたる情熱と専門知識が詰まった作品を一堂に見ることができます。

土偶とその他の縄文遺物

本書には、土偶だけでなく、土器や玉など、504点にも及ぶ縄文遺物が収録されています。東日本を中心に1万数千年の長きにわたって作られた数々の土偶は、どれひとつとっても同じものはありません。その豊かなバリエーションと、それぞれの土偶が放つ圧倒的な迫力を、一冊の書籍を通じて堪能することができます。

土偶美術館とは

『土偶美術館』は、まさにその名の通り、手の中に収まる美術館です。縄文時代の美術作品、土偶の数々を自分のペースでじっくりと眺めることができます。それぞれの土偶が持つ独特の表情と形状を通じて、遠い過去に生きた人々の生活や心情、そして芸術への感性に触れることができます。


まとめとして、『土偶美術館』は、縄文時代の美術作品である土偶をより深く理解し、感じるための一冊です。その豊かなバリエーションと、個々の土偶が放つ圧倒的な迫力を一冊の書籍で楽しむことができる、まさに貴重な一冊と言えるでしょう。縄文時代に魅了されている方、もしくは新たな興味を持ちたい方には、この本を手に取っていただきたいと思います。

みんな大好き! 遮光器土偶 FANBOOK

宝島社
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『みんな大好き! 遮光器土偶 FANBOOK』は、謎に満ちた古代の偶像(idol)、遮光器土偶に捧げられた待望のファンブックです。発行元は宝島社で、2023年8月7日に発売されました。

遮光器土偶は、日本の歴史的・文化的な背景の中で非常に興味深い存在として知られています。そしてこのファンブックは、読者に遮光器土偶と縄文時代の魅力を存分に感じてもらうために編纂されました。実際に、東京国立博物館をはじめとした、土偶に詳しい施設を取材し、その全ての情報をこの本で提供しています。更に、本の内容はポップな視点から、遮光器土偶の魅力を深掘りして解説しています。

加えて、購入者には特別なサプライズとして、出土時の雰囲気を再現した遮光器土偶のぬいぐるみポーチが付録として提供されます。このポーチのサイズは、約幅12×高さ21×奥行5cm[最大]となっています。ただし、このぬいぐるみポーチ以外のアイテムは付録には含まれません。

この『みんな大好き! 遮光器土偶 FANBOOK』は、遮光器土偶や縄文時代に興味を持つすべての人々にとって、貴重な一冊となること間違いありません。

『土偶と石棒―儀礼と社会ドメスティケーション―』 雄山閣

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次にご紹介するのは、谷口康浩氏の著書『土偶と石棒―儀礼と社会ドメスティケーション―』です。2021年12月14日に出版されたこの本は、縄文時代のシンボリズムと儀礼行為、そしてそれが先史社会のドメスティケーション(Domestication)にどのように影響を及ぼしたのかについて詳細に解説しています。

著者について

谷口康浩氏は1960年に東京都市ヶ谷に生まれ、国内考古学研究の最高峰である國學院大學で学びました。現在は同大学の教授として活動しており、縄文時代の社会と文化についての深い洞察力を持つ専門家として世界的に認知されています。彼の研究は、縄文文化の起源や祭儀行為、社会構造について新たな視点を提供し、縄文時代の考古学の理解を深める貢献をしています。

本書の概要

『土偶と石棒―儀礼と社会ドメスティケーション―』は、土偶(Dogu, clay figurines)と石棒(Stone rod)という異質なシンボルが何を意味するのかを詳細に解説します。縄文時代の儀礼と社会、石棒にみる儀礼行為とそのコンテクスト、土偶破壊行為の再検討など、全8章で構成されています。

儀礼考古学への挑戦

谷口氏のこの著書は、儀礼考古学(Ritual Archaeology)の挑戦とも言える作品です。縄文人の儀礼行為を通じて、先史社会のドメスティケーション、つまり人間が自然環境や生物をコントロールし、人間の生活に適応させていった過程を解き明かします。これは、縄文時代の研究において、重要な意義を持つ新たな視点を提供するものです。

結び

『土偶と石棒―儀礼と社会ドメスティケーション―』は、縄文時代の土偶と石棒、そしてそれらが象徴する儀礼と社会ドメスティケーションを詳細に解説した、深遠な洞察力を持つ著書です。縄文時代のシンボリズムと儀礼について理解を深めたい方や、先史社会の生活や思想について学びたい方にとって、必読の一冊と言えるでしょう。

『新版・土偶手帖 おもしろ土偶と縄文世界遺産』 世界文化社

『新版・土偶手帖 おもしろ土偶と縄文世界遺産』(New Edition: Dogu Notebook – Fun Dogu and Jomon World Heritage Sites)は、著者の譽田亜紀子と監修者の武藤康弘が2021年に世界文化社から出版した一冊です。新書判サイズで、手軽に持ち運び可能な本書は、日本全国から厳選された50体の土偶(Dogu)を紹介するだけでなく、新たに世界遺産に登録された北海道・北東北の縄文遺産群を特集しています。

土偶の魅力を解説

この本では、日本全国から選ばれた50体の視覚的にユニークで興味深い土偶を取り上げています。各土偶は愛称がつけられ、その魅力が分かりやすく解説されており、前版の『にっぽん全国土偶手帖』でも取り上げられたものです。土偶の姿形は実に多様で、ゆるキャラのように抜けているものや、宇宙人のような不思議な雰囲気をまとったものも存在します。それぞれの土偶について、難しい専門用語を使わず、親しみやすい言葉で特徴を解説するアプローチは、土偶に初めて触れる人でも楽しく理解できるよう工夫されています。

世界遺産「北海道・北東北の縄文遺産群」の紹介

本書はまた、新たに世界遺産となった「北海道・北東北の縄文遺産群」を詳細に取り上げています。遺産群内の各遺跡のガイダンス施設情報を提供し、それぞれの遺跡の見どころや楽しみ方を地図や写真を使って分かりやすく紹介しています。

手軽に持ち運べる旅のガイド

さらに、本書は新書判サイズで、資料館や博物館、また旅先などに持ち運びやすいという利点を持っています。そのため、土偶の所蔵館情報も詳しく記載されており、旅行者や研究者にとっての有益なリソースとなることでしょう。

『新版・土偶手帖 おもしろ土偶と縄文世界遺産』は、土偶のユニークな魅力とともに、縄文遺跡の楽しみ方を伝えるユーモラスで親しみやすいガイドとなっています。本書を手にすれば、縄文時代の世界への理解が深まり、遺跡巡りの参考にすることもできます。

終わりに

Dogu (clay figurines) are artifacts that exert a mysterious allure with their original and extremely deformed forms and beauty.
土偶は、独創的で極端にデフォルメされた造形美で不思議な魅力を放つ遺物。

本ブログ記事では、縄文時代の土偶について深く探求するための5つの書籍を詳細に紹介しました。まずは『土偶を読むを読む』により、土偶の概念を基本的なレベルから理解することが可能となります。次に『土偶美術館』は、読者に対して、土偶の美学とその造形技術を見事に描き出します。また『みんな大好き! 遮光器土偶 FANBOOK』は、特に若い読者や子どもたちにとって魅力的な遮光器土偶のぬいぐるみポーチが付録付き!。

より専門的な視点から土偶を学びたい読者には、『土偶と石棒―儀礼と社会ドメスティケーション―』が推奨されます。ここでは、縄文時代の儀礼と社会の中での土偶と石棒の役割と意味を探ります。最後に、『新版・土偶手帖 おもしろ土偶と縄文世界遺産』では、日本全国の50体の特徴的な土偶を楽しむことができ、また、新たに世界遺産となった縄文遺跡群についても詳しく学ぶことが可能です。

総じて、これらの書籍は、初心者から専門家まで、縄文時代の土偶についての知識を深めるための豊富な資源を提供します。それぞれの本が異なる視点とアプローチで土偶を扱うため、読者は自分の興味や学習レベルに最適な本を選ぶことができます。本記事を通じて、土偶の美しさとその背後にある深い歴史と文化をより多くの人々が理解し、感じることができれば幸いです。