古代日本の神秘と深遠なる歴史、その一端を紐解く手がかりとして興味深い存在である「埴輪」。本日は、この埴輪に焦点を当てた五つの貴重な書籍をご紹介します。これらの書籍は、埴輪が持つ歴史的な意義を解き明かし、古代日本の文化と社会に対する理解を深めるための必読の一冊です。

『埴輪からみた王権と社会 (季刊考古学)』は、古代日本の王権と社会構造が埴輪にどのように反映されているかを分析します。次に『埴輪 古代の証言者たち (角川ソフィア文庫)』では、埴輪がどのように古代日本の歴史と文化を語っているのかについて深堀りします。

さらに『ハニワの世界へようこそ』は、埴輪とその制作過程、そしてそれが古代日本の生活にどのように影響を与えたかについて詳細に解説します。そして、専門家向けの『埴輪 (考古調査ハンドブック)』は、埴輪の研究法と解釈法の基礎を学べます。

最後に、子どもたちが楽しみながら埴輪について学べる『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』をご紹介します。この本では、豊富な写真やイラスト、マンガを通じて埴輪の魅力を伝えます。

これらの書籍を通じて、あなたも埴輪という古代日本の象徴について新たな視点を見つけ、深い理解を得ることができるでしょう。それでは、一緒に埴輪の世界を探検しましょう。

『埴輪からみた王権と社会 (季刊考古学) 』

雄山閣
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『埴輪からみた王権と社会』は、広瀬覚編集のもと、複数の専門家によって書かれた、古代日本の社会と王権を考古学の観点から解明するための学術書籍です。本書では、埴輪(haniwa)という、古代の土製品を中心に、それがどのように社会や権力構造を反映しているのかを詳しく検証しています。

書籍の第一部では、「王権中枢部の埴輪」をテーマに、円筒埴輪、器財埴輪、家・囲形埴輪、動物埴輪、人物埴輪の各タイプの埴輪が詳細に分析されます。これらの分析を通じて、読者は古代日本の宗教、社会、文化を理解する上で埴輪が果たす重要な役割を深く学ぶことができます。

第二部では、「埴輪生産組織論の現在」を探求しています。ここでは、王陵級古墳の埴輪生産組織像や、中小規模古墳における埴輪生産組織と器種別分業、そして「土師氏」による埴輪生産について詳細に考察されています。

次に、本書は「王陵系埴輪の展開」と「非王陵系埴輪の技術と展開」を探ります。これらの部分では、埴輪の地域ごとの特性や発展の仕方について分析し、その歴史的背景を明らかにします。

最後に、「埴輪と地域社会」のセクションでは、各地域での埴輪生産とその展開について詳細に調査されます。具体的には、紀伊や九州、松山平野、関東などの地域での埴輪の製造と使用についての詳細な分析が行われています。

このように、本書『埴輪からみた王権と社会』は、考古学の視点から古代日本の王権と社会を深く理解するための重要なリソースとなることでしょう。埴輪の各種類や製造過程、さらには地域社会との関連性まで、埴輪について幅広い視点から深く考察しています。

『埴輪 古代の証言者たち (角川ソフィア文庫)』

著:若狭 徹
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『埴輪 古代の証言者たち』は、若狭徹著による、古代日本の埴輪についての詳細な解説書です。埴輪の可愛らしさに魅了される一方で、それらが古代社会や王権の証言者であるという事実に着目し、様々な角度から埴輪を解析します。

本書は、巫女、武人、力士、ムササビといった多彩な造形を持つ埴輪が王権をどのように彩っていたのかを紹介します。古墳を飾るこれらの人物、道具、家、動物たちの群像を通して、読者は王権を巡る「さまざまな物語」を浮かび上がらせることができます。

さらに、若狭氏は、約350年にわたって制作された埴輪を通じて、その制作技術や造形美について深く語ります。定番の名品から最新の出土品まで幅広く取り上げ、それぞれの埴輪が持つ特性や細部の見方、楽しみ方を詳細に解説します。カラー図版160点を掲載し、視覚的にも理解を深めることが可能です。

著者の若狭徹は長野県生まれで、明治大学文学部史学地理学科考古学専攻を卒業。彼は考古学者として著名で、古墳時代の日本考古学を主に研究しています。彼の研究は、博士(史学)の学位を持ち、藤森栄一賞、濱田青陵賞、古代歴史文化賞優秀作品賞を受賞するなど高く評価されています。

『埴輪 古代の証言者たち』は、埴輪について学ぶための素晴らしいガイドブックです。一見するとただの土製品に見える埴輪ですが、それぞれが古代の社会や文化、王権の証言者であり、その内部には多くの物語が隠されています。若狭氏の洞察により、読者は埴輪の美しさだけでなく、その背後にある深い意味を理解することができるでしょう。

『ハニワの世界へようこそ』

著:島根県立古代出雲歴史博物館
¥1,650 (2023/09/22 10:42時点 | Amazon調べ)

『ハニワの世界へようこそ』は、島根県立古代出雲歴史博物館が2022年の開館15周年記念として特別展を開催し、その展示図録をまとめたものです。A4サイズの112ページにわたり、出雲の地と密接な関連を持つ埴輪の多面的な視点からの探求を試みています。

『ハニワの世界へようこそ』の最初のトピックは出雲国出身の野見宿禰と埴輪の関連性について触れています。彼は相撲の始祖として知られる人物であり、日本書紀によれば彼が人や馬などの「土物(はにもの)」を作り、墓に立てたと記されており、これが埴輪の起源説話として伝えられています。出雲の地と埴輪の間に深い関係性があることを示唆する興味深いエピソードと言えます。

次に、埴輪の存在が古代の人々にとって大きな関心事であったことを解説しています。全国的に築造され始めた前方後円墳と共に、古墳上に埴輪を立て並べる習慣が広まったと解説し、出雲地方での埴輪の登場とその進化について詳述しています。初期のシンプルな円筒埴輪から、武器や儀式用具、家を模したより複雑な埴輪へとその形状が変化し、これらが古墳に葬られた者の力を象徴的に示すものとなったことが述べられています。

また、『ハニワの世界へようこそ』は古墳時代後期に一角を区切り、多彩な埴輪を並べ、被葬者の生前の活躍や首長継承の祭りを再現するようになったことを示しています。ここでは馬や鶏などの動物や、様々な装いの人物を模った埴輪がより表情豊かで個性的になったことが紹介されています。

最後に、山陰地方出土の形象埴輪を中心に、人物や動物をかたどった様々な埴輪が紹介されています。その制作時期や地域毎の特徴と違い、そして個々の埴輪が持つ造形としての面白さにも焦点を当てています。一見奇妙な形状や愛らしい表情に、読者は驚きと共に愛着を覚えることでしょう。

『ハニワの世界へようこそ』は一冊の図録としてだけではなく、古代の信仰や生活、社会について学び、理解を深めるための資料とも言えます。それはあらゆる年齢層の読者にとって魅力的で、考古学への関心を喚起することに寄与するでしょう。

『埴輪 (考古調査ハンドブック)』

著:若松良一
¥3,300 (2023/09/22 10:43時点 | Amazon調べ)

本書『埴輪 (考古調査ハンドブック)』は、日本独自の素焼き土器である埴輪についての研究を紹介します。著者の若松良一氏は、40年にわたる埴輪研究の第一人者であり、本書ではその長年の研究成果を分かりやすく解説しています。

埴輪は古墳の墳丘や造出の上に配置され、ユニークで多様な形象を持つことで知られています。その豊かな情報は、古墳時代の生活や文化を現代に伝えています。若松氏は埼玉古墳群の調査と整備事業に携わり、円筒埴輪の編年研究に尽力した他、関東地方全県と近畿地方の珍しい埴輪の調査を行い、埴輪の斬新な解釈を提示してきました。

彼の考古学への興味は9歳の時に始まり、その契機は大学院へ進学した頃、通学途上で見つけた人物埴輪の腕や円筒埴輪の片です。道路工事の際に露出した埴輪窯の断面から巫女の人物埴輪と円筒埴輪を採集し、鴻巣市の教育委員会に届けた経験を持ちます。これは彼がその遺跡の第一発見者となった瞬間であり、それが埴輪研究への深い興味を呼び覚ましました。

その後、その地に県の施設が建設されるにあたり、発掘調査に参加。多数の地下式埴輪窯跡が発見され、大量の埴輪片が出土したことが報告されています。この地は「生出塚埴輪窯跡」と命名され、その後の調査によって合計48基の埴輪窯跡が検出され、現在知られている中で最大規模のものとなりました。

『埴輪 (考古調査ハンドブック)』では、若松氏がこれまでに蓄積してきた知見を基に、埴輪の研究法と解釈法の基礎を解説。彼の長年の研究とその結果得られた新たな知識を、すべての読者にわかりやすく伝えることを目指しています。それは彼自身の考古学への情熱と経験、そして埴輪研究への深い洞察が詰まった一冊と言えるでしょう。

『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』

監修:若狭 徹
¥1,980 (2023/09/22 10:44時点 | Amazon調べ)

『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』は、古代日本の貴重な資料であり、現代においても我々の興味を惹く存在である埴輪について、子ども向けに解説した図鑑です。監修者の若狭徹氏により、豊富な写真やイラスト、マンガを通じて、埴輪の知識が楽しく学べる一冊となっています。

埴輪とは、豪華な馬具を装着した馬や細部まで再現された家、また王があぐらをかく姿など、様々な形状を持つ土製の人形や動物像のことを指します。中には、微笑む表情をした埴輪や魚をくわえた鵜の埴輪など、ユニークなものも見つかっています。全国の博物館などで展示され、古代の生活や文化を今に伝えています。

『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』では、多くの図版を交えて、「埴輪は何のために作られたのか」「なぜ古墳に埴輪が置かれたのか」「埴輪はどうやって作られたのか」などの疑問や不思議について解説します。各トピックごとに描かれたマンガでは、「はにわくん」というキャラクターが子どもたちと一緒に古墳時代へタイムスリップし、楽しく学ぶことができます。

また、日本全国から発見された45の重要な埴輪を集めた「日本全国 埴輪図鑑」が収録されています。実物写真を大きく使用し、埴輪の細かな特徴やその時代背景を詳しく解説しています。

そして、『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』は埴輪について以下のようなトピックを丁寧に解説しています:

  • 埴輪とは何か
  • 埴輪は何のために作られたのか
  • 埴輪が置かれた「古墳」はどんなものなのか
  • 埴輪が作られたのはどんな時代なのか
  • 埴輪はどうやって作られたのか

さらに、「埴輪Q&A」や「埴輪を見に行こう!」のコーナーもあり、読者が埴輪について深く知ることを助けています。『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』は、古代の日本を身近に感じられる一冊と言えるでしょう。

まとめ

Haniwa terra-cotta tombs are representative artifacts of the Kofun period.
埴輪は古墳時代を代表する遺物。

このブログ記事では、埴輪に関する五つの重要な書籍を詳しく紹介しました。

『埴輪からみた王権と社会 (季刊考古学)』は、埴輪の存在が古代日本の王権と社会構造をどのように示しているのかを検証した本で、埴輪研究における新たな視点を提供しています。

『埴輪 古代の証言者たち (角川ソフィア文庫)』では、埴輪がどのようにして古代日本の豊かな歴史と文化を伝える証言者となっているのかを探求しています。本書は読者に埴輪と古代日本の深い結びつきを理解させるための貴重な資源です。

『ハニワの世界へようこそ』は、埴輪とその制作過程、そしてそれが古代日本の生活にどのように影響を与えたかについての詳細な解説を提供します。また、様々なタイプの埴輪について具体的な説明を通じて、その意味と役割を解明しています。

『埴輪 (考古調査ハンドブック)』は、埴輪の研究に40年以上を捧げた第一人者が、研究法と解釈法の基礎を分かりやすく解説しています。その豊富な経験と深い洞察力は、埴輪研究における新たな視点を提供します。

そして最後に『楽しく学べる歴史図鑑 はにわ』は、豊富な写真やイラスト、マンガを用いて、子どもたちが埴輪について楽しく学べる一冊です。各埴輪の特徴や、それが作られた時代背景を解説しており、これから埴輪を学びたいと思っている子どもたちにとって最適な学習資料となっています。

これらの書籍はそれぞれ異なる視点から埴輪を解析し、古代日本の社会、文化、歴史についての深い理解を可能にします。初学者から専門家まで、読者が埴輪とその背後にある意味をより深く理解できるよう、それぞれがユニークなアプローチを採用しています。これらの書籍を通じて、読者は埴輪が持つ深い価値とその歴史的重要性を理解することができるでしょう。