湘南ベルマーレが平塚市総合公園内とその隣接する民有地に新スタジアムを建設する計画を発表しました。経済的な利益を期待する一方で、この計画が進む前に確認すべき大切な事項が存在します。それは、新スタジアムの建設地が歴史的遺産、すなわち埋蔵文化財包蔵地に該当する可能性があるということです。このブログ記事では、新スタジアム建設と埋蔵文化財の存在との関連性について詳しく解説します。文化遺産の保護と新たな建設計画とのバランスをどのように取るべきなのか、さらなる考察が必要です。
湘南ベルマーレの新スタジアム建設計画

平塚市に本拠地を構えるサッカーJ1リーグの湘南ベルマーレは、ホームスタジアムの新築計画を進めています。この計画は、現在の平塚競技場(レモンガススタジアム平塚)がある市総合公園内とその隣接する民有地のいずれかに新スタジアムを建設するもので、2028年度の使用開始を目指しています。
新スタジアムの建設は、現在のホームスタジアムがJ1の基準を満たしていないという問題、及び観客数を現在の約15,000人から20,000人規模に拡大する必要性から、湘南ベルマーレが10年以上前から模索してきたプロジェクトです。
昨年10月、湘南ベルマーレは公園内での新スタジアム建設案を市に提示しましたが、建築面積の割合を示す「建ぺい率」が上限を超えるという理由から再検討を求められていました。今回の計画では、新たに取得する民有地約60,000平方メートルを公園面積に算入することで、建ぺい率の基準をクリアできるとしています。

総事業費は約142億円で、湘南メディアスタジアム株式会社は市と折半する計画を示しており、「企業版ふるさと納税」などを活用して資金を調達するとしています。この新スタジアム建設による経済効果は、開業後15年間で約3800億円と試算されており、同期間内の税収増加は110億円超と見込まれています。
しかし、新スタジアム建設計画は、市民理解を得ることが難しいなどの理由で市から難色を示されています。このため、湘南メディアスタジアム株式会社は、市が今回の案を受け入れない場合、受け入れに前向きな湘南地区の2自治体との交渉を進めることを示唆しています。
いずれの建設候補地も埋蔵文化財の取り扱いが必要か

湘南ベルマーレとその関連企業である湘南メディアスタジアム株式会社が提案した新スタジアム建設候補地について、文化的観点からの注意喚起が必要とされています。これは、選ばれた建設地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当するためです。
まず、平塚市総合公園内は、弥生時代から中世の集落遺跡である大原遺跡が存在します。1983年から1989年にかけて旧農林省果樹試験場跡地遺跡調査団および平塚市遺跡調査会によって発掘調査が行われています。これにより、この地が古代から中世にかけての人々の生活の痕跡を残していることが確認されています。
また、候補地とされる民有地は、第一三共ケミカルファーマ株式会社平塚工場跡地で、古代の集落遺跡であるカマエ遺跡と坂戸A遺跡に隣接しています。このことから、新スタジアム建設のための工事にあたっては、試掘調査の結果によっては文化財保護法に基づく届出が必要となることが予見されます。
このような状況下で、平塚市社会教育課(文化財保護担当)および神奈川県教育委員会教育局生涯学習部文化遺産課の判断が求められます。建設候補地が周知の埋蔵文化財包蔵地に該当する場合、または遺物の散布等により事業予定地内に遺跡の存在が予測される場合、事前協議に伴い試掘確認調査が実施されることとなります。試掘確認調査は、遺跡の存否や範囲・密度、時代・性格、遺跡の出土レベル等の把握を目的としています。通常、この結果に基づき神奈川県教育委員会からの指示が事業者に通知されます。
おわりに

新スタジアムの建設計画は、古代から中世にかけての遺跡が存在する可能性のある地域に及んでいるため、慎重な計画と調査が必要となります。このような古代の集落遺跡は、私たちが歴史と文化を理解するための重要な窓口であり、その価値は計り知れません。
スタジアムの建設は、地元経済の活性化やスポーツの振興につながる重要なプロジェクトですが、それは文化遺産の保全という同じくらい重要な目標と両立しなければなりません。これは、歴史的な文化遺産を後世に残すことと、現代の社会のニーズを満たすこととの間でバランスを取るという難題を提起しています。
一方で、この問題は一方的な見方だけで判断するべきではありません。まずは、適切な調査と議論を通じて全ての利害関係者が納得できる解決策を見つけることが求められます。これには、考古学者や地元の住民、そしてもちろんサッカーファンも含まれます。
このような課題は、単に建設計画の障害と捉えるのではなく、より深い文化的な意義を理解し、将来の都市計画における新たなチャンスとして捉えることができます。そのためには、スポーツと歴史文化が共存し、さらにその両方を発展させるような施設の設計や運営方法について、創造的な思考と先見の明が求められるでしょう。
結論として、湘南ベルマーレの新スタジアム建設計画は、一見すると文化遺産保護と経済発展の間での難しいバランスを必要とします。しかし、これは新たな価値創造の機会でもあります。建設計画を進める際には、地元の歴史と文化への敬意を保ちつつ、地域の経済とスポーツの発展を促進するための新たな道筋を模索することが必要となります。