以前も当ブログで紹介しました馬毛島に進展がありました。鹿児島県西之表市の馬毛島で進行中の自衛隊基地建設は一時的に歴史の探求にシフトしました。米軍機訓練の移転とともに進行する基地建設の中で、重要な遺跡で旧石器時代の「八重石(やえいし)遺跡」が発見されました。この遺跡の保存に向けた発掘調査が始まり、歴史的発見と現代の基地整備の両方を見据えた新たなステージが開幕しました。

鹿児島県教育委員会による発掘調査開始

Self-Defense Forces Base Construction Underway on Magejima
馬毛島にて進行中の自衛隊基地建設

鹿児島県西之表市の馬毛島にて進行中の自衛隊基地建設は、歴史の探索に一時的にシフトしました。米軍機訓練の移転に伴い工事が進む馬毛島で、重要な遺跡で旧石器時代の「八重石(やえいし)遺跡」に注目が集まっています。この遺跡の記録保存に向けて、発掘調査が新たに開始されました。

この大規模な調査は、防衛省からの依頼により鹿児島県教育委員会が主導しています。初日には、専門職員2名と民間作業員15名が馬毛島に向かい、調査機材の運搬や現地の状況確認を行いました。具体的な調査は、遺跡全域を含む「周知の埋蔵文化財包蔵地」約13,000平方メートルのうち、基地建設により影響を受ける約8,700平方メートルの範囲で進行します。

この重要な調査期間中、工事は一時停止し、専門職員と作業員は地形測量や遺物の確認に専念します。同時に、天候により遅れていた雑木伐採なども行われる予定です。馬毛島内に仮設宿舎が設けられたため、作業員は島に滞在しながら調査を進行し、今後は約50人体制での作業を見込んでいます。

Excavations have begun to document and preserve the "Yaiseki Site."
「八重石遺跡」の記録保存に向けて、発掘調査が始まった

もし、特別な価値を持つ遺構が発見された場合は、防衛省との協議を経て保存方法が決定されるとのこと。調査は7月1日までを予定していますが、天候等により延長の可能性も視野に入れています。

この発掘調査は、防衛省が昨年12月に文化財保護法に基づき、工事の実施を通知したことから始まりました。その後、県教育委員会は予備調査を行い、旧石器時代の遺物が確認されたため、本格的な発掘調査が必要と判断しました。

この馬毛島での発掘調査は、歴史的な価値と現代の基地整備という二つの重要な視点を結びつける、貴重な機会です。我々は新たに発見されるであろう歴史の一端に目を向けつつ、現代社会のニーズに対応した基地建設の進行を忘れてはならないのです。馬毛島の地から何が発掘されるのか、それが歴史的にどのような意味を持つのかを待ち望むとともに、歴史と現代が交錯する馬毛島の未来について、私たちはこれからも注目していきます。

Excavation by the Kagoshima Prefectural Board of Education begins.
出典:西之表市との協議の場の資料(第12回(2023年5月12日))より

現在実施中の馬毛島環境調査のあらまし

陸域動物

What terrestrial organisms were found during the environmental survey of Mage Island?
馬毛島の環境調査で見つかった陸生生物は?

馬毛島の環境調査では、陸生生物として鳥類83種、哺乳類4種、両生類2種、爬虫類6種、昆虫類580種、陸産貝類34種、オカヤドカリ類3種、水生生物として魚類20種、甲殻類32種、貝類34種、水生昆虫類166種、底生動物35種が確認されました。これらの中から鹿児島県レッドデータブックに基づき118種が重要な種として選定されました。

基地建設工事の影響を予測すると、土地の改変による生息環境の減少は、特に移動能力が低い両生類・爬虫類や希少性の高い魚類、淡水・陸産貝類の7種に影響が予想されます。これらの種は保全対象としました。また、工事中の騒音は鳥類の重要な種であるシロチドリの警戒行動を引き起こす可能性があります。

飛行場とその施設の存在による予測結果も考慮しました。シロチドリに対しては、供用時の騒音が行動に影響を及ぼす可能性があります。ただし、騒音発生時に一時的に音源から離れるなどの反応が見られ、シロチドリの生息は維持されると考えられます。鳥類については、航空機との衝突のリスクも存在します。

これらの調査、予測、評価を踏まえ、以下の環境保全措置を講じることで環境影響を最小限に抑えると判断しました。保全対象種の両生類の卵・幼生、爬虫類、希少性の高い魚類、淡水・陸産貝類は、改変を受けない類似した環境へ移動します。これに加え、他の重要な種についても積極的な移動を行います。

工事による河川と海の接続性の喪失を防ぐために、河川と海を行き来する水生生物に対する配慮が必要です。シロチドリが工事中に繁殖する可能性がある場合、車両や人の立ち入りを制限し繁殖中断のリスクを避けます。オカヤドカリ類については、海岸部の道路への侵入防止柵を設置し、ロードキルを防ぎます。また、改変区域内のオカヤドカリ類を改変区域外の適切な海岸部へ移動します。

鳥類については、定期的なバードパトロールを実施し、航空機との衝突を防ぎます。夜間照明による影響を最小化するため、照射範囲の限定やLED照明の使用などが計画されています。最後に、緑化を迅速に行い、動植物の生息・生育環境の影響を軽減します。

以上のように、馬毛島での自衛隊基地建設では、環境保全を最大限に考慮した対策が行われています。これらの措置は、現地の自然環境を守りながら、基地建設を進めるための重要な手段となります。

陸域植物

馬毛島では383種の植物が確認されました。これらの植物は11の植生区分に大別され、これらの中から鹿児島県RDB等に基づき117種が重要な種として選定されました。重要な種のうち76種は「分布特性上重要」のカテゴリーに指定されていて、これらは馬毛島全体に広く分布していることが特徴です。

次に工事の実施に関する予測結果を見てみましょう。工事の実施により生育環境が直接改変される影響が大きいと想定される11種が保全対象種として選定されました。一方で、工事中の粉じん発生時の植物の光合成量については95%前後と予測され、粉じん等による生育環境の変化はほとんどないと予測されました。また、工事中の夜間照明についても、改変区域内に向けて照射されるため、改変区域外の植物に到達する光は弱く、生育環境の変化はほとんどないと予測されました。

さらに飛行場及びその施設の存在及び供用に関する予測結果も考察しました。林内環境を生育環境とする2種については、改変区域周辺で生育するため、風環境や微気象の影響を受け、生育環境が変化する可能性があると予測されました。しかし、訓練時の車両走行時の粉じん等の発生量は、工事中のピーク時よりも少ないため、重要な種及び群落の生育環境の変化はほとんどないと予測されました。

評価結果に基づき、以下の環境保全措置が計画されています。まず、直接改変の影響が大きいと想定される11種については、移植または記録保存が行われます。さらに、風環境や微気象の影響を受ける2種については、林内の乾燥化を防ぐための措置として、マント群落・ソデ群落が形成されるまでの期間、必要に応じて確認地点の周辺に防風ネット等を設置します。これらの措置により、実行可能な範囲内で環境影響の低減が図られていると評価されています。

海域動物

馬毛島の海域動物に対する調査結果からは、動物プランクトン134種、魚卵145種、稚仔魚132種、底生動物1,720種、魚類599種、サンゴ類173種、ウミガメ類2種が確認されました。これらの中から鹿児島県RDB等に基づき、48種が重要な種として選定されました。

工事の実施による予測結果を考察すると、海上工事に伴い発生する濁りの想定影響範囲で確認された種のうち、移動能力が低く、かつ影響範囲内のみで確認された底生動物3種について、生息状況が変化するおそれがあると予測されました。

サンゴ類については、濁りの想定影響範囲で被度50%の高被度域は影響範囲外であることから、サンゴ類の生息状況は維持されると予測されました。ウミガメ類についても、夜間工事中に上陸した個体が騒音により上陸行動を阻害される可能性があるとされましたが、上陸跡確認場所は工事区域から離れているため、ウミガメ類の生息状況も維持されると予測されました。

飛行場及びその施設の存在及び供用に係る予測結果も考察しました。改変区域内のみで確認された重要な種のうち、移動能力が低い底生動物5種について、生息環境が減少すると予測されました。さらに、水深20m以深のサンゴ類分布域の一部が失われると予測されました。また、FCLPの航空機騒音については、夜間訓練時に上陸したウミガメ類が忌避する可能性がありますが、産卵期間中の夜間訓練は限られており、馬毛島及び種子島の産卵環境は維持されると考えられました。

以上の評価結果に基づき、環境保全措置が検討されました。消失する海域動物の生息場については、創出も含めた必要な措置が行われ、必要に応じて専門家等の指導・助言が求められます。影響を受けると予測された重要な種については、工事の着手前に可能な限りの人力捕獲が行われ、適した周辺の場所へ移動されます。さらに、改変区域内に生息するサンゴ類については、安全かつ効率的に潜水作業が実施できる水深20m以浅に生息するサンゴ類が代償措置として適切な場所に移植・移築されます。これらの措置により、実行可能な範囲内で環境影響の低減が図られていると評価されました。

海域植物

植物プランクトン214種、海藻草類338種が確認されました。これらの中から、鹿児島県RDB等の基準に基づき、23種が重要な種として選定されました。また、被度5~25%のホンダワラ藻場が春季に島の南東部、東部、西部で37.0ha、冬季に南東部で1.1ha確認されました。

工事の実施に関する予測結果を見てみると、海上工事に伴う水の濁り(平常時)による影響を受ける可能性のある範囲内で確認された重要な種2種及びホンダワラ藻場の一部は、生育状況が変化する可能性があると予測されました。また、陸上工事に伴う水の濁り(降雨時)による影響を受ける可能性のある範囲内で確認された重要な種2種についても、生育状況が変化する可能性があると予測されました。

飛行場及びその施設の存在及び供用に関する予測結果として、改変区域内のみで確認された重要な種3種の生育環境が減少すると予測されました。また、被度5%以上のホンダワラ藻場については、2.6ha(全体の7.0%)の生育域が消失すると予測されました。

これらの評価結果に基づき、以下の環境保全措置が計画されています。揚陸施設における床掘による水の濁りについては、拡散範囲は大きくないものの、ホンダワラ藻場への影響を低減するため、汚濁防止枠を適切に使用します。また、海藻類が着生しやすいような消波ブロックを用いるなどの工夫を行います。仮設桟橋の基礎捨石については、海藻類の付着基盤として機能するように、仮設桟橋撤去後も残置します。そして、施設の存在等により消失する海域植物の生育場について創出も含めた必要な措置を検討し、必要に応じて専門家等の指導・助言を得て適正に実施します。これらの措置により、実行可能な範囲内で環境影響の低減が図られていると評価されています。

おわりに

I look forward to seeing the results of the excavations on Mage Island.
馬毛島の発掘調査成果が楽しみですね。

馬毛島での発掘調査が開始されたことは、遺跡や考古学的資源の価値を理解し、その保全を図るために重要なステップとなります。旧石器時代の遺跡から得られる情報は、島の歴史や人々の生活についての理解を深め、学術的な知識を進化させる機会を提供します。

次に、島内の陸域植物と海域植物の詳細な調査が行われました。これらの調査結果は、島の生態系の健康状態と多様性に対する理解を深めることに寄与します。調査では、数多くの植物種が確認され、一部は地域のRDBに基づき重要な種として選定されました。これらの種の存在は、馬毛島の自然環境が豊かであることを示しています。

さらに、予測結果は、工事や飛行場の施設の影響に対する動植物の応答についての理解を提供します。これらの予測は、島の環境に対する人間活動の影響を評価し、適切な保全措置を計画するのに役立ちます。

最後に、環境保全措置は、馬毛島の生態系の維持と保護に対する取り組みの一部です。これらの措置は、生態系の健全性を維持しつつ、人間活動との共存を可能にするように設計されています。

このブログ記事を通じて、馬毛島の環境調査とその結果についての理解が深まったことでしょう。同時に、適切な保全措置を講じることで、島の自然環境を守るための重要性が強調されています。