ミイラ(木乃伊)。この言葉を聞くと、多くの人々は古代エジプトの神秘的な墓や黄金のマスク、そして伝説の中の呪いを想像するでしょう。しかし、ミイラ(木乃伊)の歴史やその背後にある文化は、一つの地域や時代に留まらない非常に広がりのあるものです。古代エジプトの王たちだけでなく、日本の即身仏、南米のインカの王族など、世界中で数多くの文化が、死者との絆や死に対する尊敬を形にする方法としてミイラを作り上げてきました。この記事では、ミイラ(木乃伊)に関する5冊の興味深い書籍を通じて、ミイラがもたらす驚きや感動、そして私たちの先祖たちが抱いていた死生観に迫っていきます。それでは、永遠の命を求めた人々の足跡を追いながら、ミイラ(木乃伊)の奥深い世界へと旅を始めましょう。

エジプトのミイラ

あすなろ書房
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古代エジプト文化の中で、ミイラは神秘的な存在として、多くの人々の関心を引きつけてきました。『エジプトのミイラ』は、アリキ ブランデンバーグ(Aliki Brandenberg)が著し、佐倉 朔が読み手として、神鳥 統夫が翻訳した作品で、あすなろ書房から2000年12月1日に出版されました。この絵本は、小学校低学年から中学生を対象としていますが、それだけでなく、エジプト文化やミイラに興味がある大人たちにも楽しんでいただける内容となっています。

では、本書の主要なテーマである「ミイラ作り」のふしぎについて考察してみましょう。大昔、エジプトの人々は何のためにミイラを作ったのか、また、どのような手法を用いてミイラを作成したのかという疑問は、多くの研究者や歴史愛好者を魅了してきました。

古代エジプト人は、死後の世界への旅立ちとしてのミイラ化をとても重要視していました。彼らは、死後も体が腐敗しないように保存することで、魂が安らかに次の世界へ旅立てると信じていました。このような背景から、ミイラ作りは非常に緻密で繊細な技術を要するものとなりました。ミイラ作成の手法には、死体の内臓を取り除き、乾燥させた後、特定の薬品や布で体を巻くというプロセスが含まれます。

『エジプトのミイラ』は、このようなミイラ作成のプロセスや背景を、分かりやすい絵とともに詳しく紹介しています。この絵本を通して、読者は古代エジプトの信仰や日常生活についての深い理解を得ることができるでしょう。

最後に、エジプトのミイラに関する知識や歴史の魅力を感じたい方、あるいは子どもたちに古代エジプトの世界を紹介したい親御さんには、この絵本は強くおすすめできます。

ミイラ学 エジプトのミイラ職人の秘密

著:タマラ バウアー, 著:こどもくらぶ, イラスト:タマラ・バウアー
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ミイラというテーマは古代エジプトに関する研究や文化の中心であり、多くの研究者や歴史愛好者がその製法や背後にある信仰について興味を持っています。『ミイラ学 エジプトのミイラ職人の秘密』は、タマラ バウアー著、こどもくらぶ共著のもと、2019年8月9日に今人舎から第1版として発売されました。本書は、多くのミイラ関連の書籍とは一線を画す、ミイラ職人の視点からの物語となっています。

ストーリーは、王室御用達のミイラ職人パネブが中心となって進行します。彼はアメンヘテプ3世の正妃の父、イウヤの葬儀を手掛けることに。この過程で、彼は息子のイピーに神聖なミイラ作りの手法を伝授していくのです。この物語は、読者に古代エジプトのミイラ製法や、それを取り巻く文化、信仰を深く理解する機会を提供してくれます。

さらに、本書の特徴として巻末には実際のイウヤのミイラや、彼の副葬品の写真が掲載されています。これにより、読者は文化や信仰だけでなく、実際の考古学的な証拠と結びつけて学ぶことができるのです。

タマラ バウアーの鮮やかで精巧なイラストは、古代エジプトの世界を現代に蘇らせる力があります。彼女の背景には、大学での美術の学びや、メトロポリタン美術館古代エジプト部門での経験があります。その後、エジプトやトルコでの発掘調査のテクニカルイラストレーターとしての経験を経て、このような素晴らしい作品を生み出すに至ったのです。

また、カイロ・アメリカン大学のエジプト学教授であるサリマ・イクラム博士も本書を絶賛しており、その知的好奇心を刺激する内容が、幅広い読者層に向けられています。

最後に、タマラ バウアーのその他の代表作として『どのようにアマゾンの女王がエジプトの王子と戦ったか』が挙げられます。これもまた、彼女の深いエジプト文化への愛と理解を感じ取ることができる作品となっています。

『ミイラ学 エジプトのミイラ職人の秘密』は、ミイラや古代エジプト文化に興味を持つすべての人にとって、必読の1冊と言えるでしょう。

教養としてのミイラ図鑑: 世界一奇妙な「永遠の命」

ベストセラーズ
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『教養としてのミイラ図鑑: 世界一奇妙な「永遠の命」』は、ミイラ学プロジェクトによる著作で、2019年7月22日にベストセラーズから出版されました。この書籍は、ミイラという存在が持つ特別な意味やその背後にある歴史・文化について、詳しく深く探求しています。

ミイラ(Mummy)とは、「死」を「永遠の命」の形として具現化したものであり、古代エジプトをはじめとする様々な地域で見られる文化的な遺産です。近年、エジプトだけでなく世界中で多くのミイラが発見されており、その研究も進展を遂げています。しかし、多くの人々がミイラについて「知っているようで、実はよく知らない」という状態であることから、本書はミイラの最新の研究成果を、これまでに見たことのないインパクトのあるビジュアルとともに紹介しています。

日本のような高齢化社会では、「死」というテーマは避けて通れないものとなっており、その中でミイラは「死」をどのように捉え、どのように形にしたのかという観点から、私たち現代人に多くの示唆を投げかけてくれます。本書では、ミイラが持つ多様な側面や、それを通じて私たちが学ぶことができる「人類史」や「死生観」についても詳しく探求しています。

また、本書の特徴として、人気の仏教学者である佐々木閑氏、博物館学者の宮瀧交二氏、そして文化人類学に精通する作家田中真知氏が監修・解説・コラムを通じて、ミイラに関する深い洞察や見識を提供しています。これにより、本書は中学生から大人まで幅広い読者層に向けて、ミイラの魅力と奥深さを伝える唯一無二のミイラ学の入門書として位置づけられています。

著者たちの豊富な経験と専門知識を背景に、『教養としてのミイラ図鑑: 世界一奇妙な「永遠の命」』は、ミイラに関する知識を深めたいすべての読者にとって、欠かすことのできない一冊となるでしょう。

ミイラのなぞ

あすなろ書房
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『ミイラのなぞ (ほんとうにあったふしぎな話1)』は、桜井信夫による著作で、イラストは佐竹美保が担当しています。2022年11月8日にあすなろ書房から出版され、地球上のさまざまな不思議や伝説を子供たちに紹介する「子どもノンフィクション」シリーズの第1弾として登場しました。

この書籍の中心となるテーマは、古代エジプトのミイラ(Mummy)に関する話題です。ミイラは、古代のエジプト文化において死者を保存・保護するための特別な方法で体を処理したものであり、数千年にわたってその姿を留めていることで知られています。本書では、このミイラがどのように作成されるのか、その手法や背景、そしてミイラに関するさまざまなエピソードや歴史が解説されています。特に、ミイラが薬として服用された経緯など、一般的にあまり知られていない驚きの事実も紹介されています。

また、本書にはミイラに関する話だけでなく、他にも世界中の不思議な話や伝説が収録されています。「ハーメルンの笛ふき男のなぞ」や「オオカミに育てられた子ども」といった、世界中で語り継がれる謎に満ちた物語も紹介されており、読者はこれらの物語を通じて、人間の歴史や文化に潜む驚きや謎に触れることができます。

『ミイラのなぞ (ほんとうにあったふしぎな話1)』は、子供たちに地球上の不思議や伝説を楽しく、かつ教育的に伝えることを目的とした書籍となっています。ミイラやその他の物語を通じて、読者は人間の歴史や文化の奥深さを感じ取ることができるでしょう。

カラー版 世界のミイラ

監修:近藤 二郎
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『カラー版 世界のミイラ』は、近藤二郎監修による一冊で、2019年11月1日に宝島社から発売されました。この書籍は、ミイラという存在を多角的に捉え、その背後にある人々の死生観を世界各地からの事例を通して解説しています。

多くの人々がミイラというと、古代エジプトのツタンカーメンの呪いやその神秘を想像することが一般的ですが、本書はそうした先入観を超えて、ミイラが実際にはどのような意味を持つのかを探求しています。ミイラは、エジプトだけのものではありません。例えば、インカのミイラは、死んでも家族の一員として扱われました。また、日本においては即身仏として、現世の人々の幸せを祈願しながらミイラとなる例もある。これらの事例を通じて、ミイラは決して穢れたものや怖いものではなく、むしろ人々の命や愛、思いが詰まったものであり、死者と生者とのつながりや、死に対する尊重と理解を示すものとして位置づけられてきたことがわかります。

本書は、これらのミイラに関する様々な事例や背景を、豊富なカラー写真と共に紹介しています。特に、自然が作り出したミイラや、それに関連する装飾品なども詳細に解説されているため、読者はミイラにまつわる深い知識や理解を得ることができます。

著者の近藤二郎は、1951年東京都生まれの早稲田大学文学学術院教授であり、早稲田大学エジプト学研究所の所長も務めています。彼は長年にわたりエジプトでの発掘調査に従事し、エジプト学や考古学、文化財学の専門家としての深い知識と経験を持っています。このような背景から、近藤監修のもとで編纂された『カラー版 世界のミイラ』は、ミイラに関する真実や多様性を、確かな学問的背景に基づきながらも分かりやすく伝えることを目指した書籍と言えるでしょう。

まとめ

Unveiling the mystery of the mummies and the life and culture of the ancient Egyptians.
ミイラの謎を解き明かし、古代エジプト人の生き様や文化を紹介

ミイラという存在は、古代から現代まで人々の興味と驚きを引きつけてきました。エジプトの黄金のマスクやツタンカーメンの神秘的な話から、現代の科学によるミイラの解析まで、これらの存在は多様な角度から研究されてきました。この記事では、『エジプトのミイラ』、『ミイラ学 エジプトのミイラ職人の秘密』、『教養としてのミイラ図鑑: 世界一奇妙な「永遠の命」』、『ミイラのなぞ (ほんとうにあったふしぎな話1) 』、そして『カラー版 世界のミイラ』という5冊の書籍を通じて、ミイラにまつわる興味深い事実や背景を紹介しました。

『エジプトのミイラ』は、エジプトとミイラという名の下に隠された数々の伝説や歴史を紐解く一冊です。一方、『ミイラ学 エジプトのミイラ職人の秘密』では、エジプトのミイラ作成に関わる職人たちの技術やその背後にある知識を明らかにします。これにより、ミイラ作成のプロセスやそれを取り巻く文化、宗教的背景を深く理解することができます。

『教養としてのミイラ図鑑: 世界一奇妙な「永遠の命」』は、ミイラに関する一般的な知識やエジプトだけでないさまざまな国や文化におけるミイラの存在を学ぶことができる図鑑です。『ミイラのなぞ (ほんとうにあったふしぎな話1) 』は、ミイラにまつわる驚きのエピソードや謎を、子ども向けにわかりやすく解説した書籍です。

最後に、『カラー版 世界のミイラ』では、エジプトだけでなく世界中のミイラに関する事例や背景を、豊富なカラー写真と共に紹介しています。この書籍は、ミイラが単なる死体の保存方法でなく、それぞれの文化や宗教、死生観を反映したものであることを教えてくれます。

総じて、これらの書籍を通じて、ミイラ(Mummies)という存在は、単に保存された遺体というだけでなく、それぞれの時代や文化の背景、人々の信仰や価値観を映し出す鏡であることが明らかになりました。ミイラ研究は、私たちが人間の歴史や文化、そして死という普遍的なテーマについて考える上での貴重な手がかりとなるのです。