歌舞伎(Kabuki)—日本の伝統的な舞台芸術の中で、その魅力と美学は国内外の観客を魅了し続けています。歌舞伎の豊かな表現、鮮やかな衣裳、情熱的な演技は一度見れば心に刻まれるもの。しかし、その背後には深い歴史や繊細な演技の背景、そして舞台裏の秘密が隠されています。それを解き明かし、より深く歌舞伎の世界に浸るためのガイドブックとして、今回は5冊の特選書籍を紹介いたします。初心者から熟練者まで、これらの書籍を通じて歌舞伎の奥義と美しさを再発見しましょう。

知識ゼロからの歌舞伎入門

読み手:松本幸四郎
¥1,540 (2023/10/24 15:19時点 | Amazon調べ)


『知識ゼロからの歌舞伎入門』は、歌舞伎の魅力をこれから学ぶ方々に向けて、基本から応用まで段階的に解説した書籍です。ここでは、その内容を詳しく掘り下げていきましょう。

まず、歌舞伎とは何か。歌舞伎は、日本独特の伝統的な舞台芸術であり、幾多の歴史を有しています。本書の第一章「歌舞伎の基本の「き」」では、歌舞伎の歴史や新歌舞伎という用語の解説を通じて、その基礎を学ぶことができます。

続く第二章では、著者である十代目松本幸四郎がおすすめする演目に焦点を当てています。時代物や歌舞伎十八番、世話物、所作事、上方、落語原作、新作歌舞伎など、歌舞伎の多様な演目を通して、歌舞伎の奥深さと魅力を紐解いていきます。

第三章「歌舞伎で江戸を学ぶ」では、歌舞伎と江戸時代の関連性について詳述しています。実際の事件が歌舞伎の演目として取り上げられた背景や、役者がかつてのアイドル的存在であったこと、そして江戸時代の代表的な娯楽としての歌舞伎の位置づけなど、舞台裏の面白さを学ぶことができます。

第四章では、歌舞伎の現在について、松本幸四郎と関 亜弓の対談形式で触れられています。歌舞伎が時代と共に変わっていく姿も、その魅力の一部であると紹介されています。

第五章「歌舞伎役者を知る」では、十代目松本幸四郎自身の舞台裏や人生に迫ります。役者としての日常や役者を目指す者へのメッセージなど、貴重な情報が詰まっています。

最後の第六章「歌舞伎を観に行こう」は、歌舞伎初心者にとって非常に役立つ章です。歌舞伎を観に行く際の心構えや、イヤホンガイドの活用方法など、観劇の楽しみ方を最大限にするためのヒントが提供されています。

著者の十代目松本幸四郎は、1973年に東京都で生まれ、数々の名前を襲名してきた歌舞伎役者です。彼は舞踊の名手としても知られ、2025年には「日本国際博覧会(大阪・関西万博)」のアンバサダーに任命されるなど、歌舞伎の舞台だけでなく、様々な場面でその才能を発揮しています。

まとめると、『知識ゼロからの歌舞伎入門』は、歌舞伎(Kabuki)の入門書としては最も完璧な一冊であり、歌舞伎の魅力や背後にあるストーリー、歌舞伎役者の日常などを深く掘り下げて解説しています。歌舞伎をこれから学びたい方、さらにその魅力を深く知りたい方には、最適なガイドブックと言えるでしょう。

最新版 歌舞伎の解剖図鑑

エクスナレッジ
¥1,980 (2023/10/24 15:34時点 | Amazon調べ)

歌舞伎(Kabuki)は、日本の伝統的な舞台芸術として数世紀にわたり親しまれてきました。しかし、その独特の文化や用語、演技などを初心者が理解するのは一筋縄ではいきません。そんな歌舞伎初心者に最適な一冊が、辻和子著『最新版 歌舞伎の解剖図鑑』です。

この書籍は、以前から歌舞伎ファンの間で知られていた『歌舞伎の解剖図鑑』の大幅リニューアル版。戦後から現代までの人気の歌舞伎役者の紹介や、最新の情報、さらに詳しい演目ガイドが追加されています。

本書の特徴として、歌舞伎の「基本の『き』」から楽しみ方まで、一冊で全て学べるという点が挙げられます。豊富なイラストや分かりやすい文章を通じて、歌舞伎の魅力を深く解剖し、そのすべてを紐解いています。

初めての歌舞伎観劇に向けての心構えや、観劇のポイント、さらには劇場の紹介や、歌舞伎の舞台裏までの見学方法も網羅されています。また、歌舞伎の伝統や用語についても、分かりやすく解説。衣装や小道具、動物や食べ物、顔の化粧や髪形、役柄など、歌舞伎の世界には多くの「お約束」や「ツボ」があり、それらを知ることで、観劇の楽しさが何倍にも増すでしょう。

さらに、歌舞伎役者の世界も詳しく探求。現役の役者から将来が期待される若手、さらには戦後から令和の時代までの名優たちまでが網羅されています。また、歌舞伎の名作演目32選も紹介されており、それぞれの演目の背景や見どころ、名台詞などもイラスト付きで詳しく説明されています。

著者の辻和子は、兵庫県西宮市出身のイラストレーター。彼女自身が子供の頃から歌舞伎好きという背景を持ち、その独自の視点で歌舞伎の魅力をイラストと文章で表現しています。彼女の他の著書には、『歌舞伎の101演目解剖図鑑』や『スミからスミまで! 絵で知る歌舞伎の玉手箱』など、歌舞伎に関する多数の著書があります。

『最新版 歌舞伎の解剖図鑑』は、歌舞伎初心者から熟練のファンまで、幅広い読者にとって非常に有益な一冊となっています。歌舞伎の世界をより深く、より楽しく知るための最良のガイドブックと言えるでしょう。

歌舞伎の101演目 解剖図鑑

日本の伝統的な演劇の一つ、歌舞伎(Kabuki)はその色彩豊かな演出と独特の演技で国内外の多くのファンを魅了してきました。辻和子著の『歌舞伎の101演目 解剖図鑑』は、この歌舞伎の魅力をイラストと文章で分かりやすく解説した一冊です。

出版社エクスナレッジから2020年4月25日に発売されたこの本は、500点以上のイラストを使用して、歌舞伎の基本から名場面までを詳しく紹介しています。歌舞伎に詳しくない人でも物語の基本設定を押さえることで、実際の観劇が一層楽しめるようになること間違いなしです。

第一章「知っておきたい歌舞伎のイロハ」では、歌舞伎の基本的な知識や用語を段階的に解説。化粧・かつら・衣裳の意味や演目の分類、そして歌舞伎のキャラクター設定や著名な歌舞伎役者の紹介など、歌舞伎の魅力を深く知るための情報が詰め込まれています。

第二章「歌舞伎の演目辞典」では、有名な『仮名手本忠臣蔵』や『助六由縁江戸桜』など、101の選りすぐりの演目を紹介。それぞれの演目のあらすじやキャラクター関係、見どころなどがイラストとわかりやすい文章で解説されており、初心者でも楽しく読むことができます。

さらに、この本ではイラストを駆使して、舞踊作品の衣裳の変化や動き、名台詞や型や衣裳のバリエーションなどを詳しく紹介。シーンごとの変化や台詞回しなど、歌舞伎の臨場感を存分に体感することができます。

著者の辻和子は、嵯峨美術短期大学ビジュアルデザイン科を卒業後、イラストレーターとして活動しています。その独自の視点とセンスで、歌舞伎の魅力を新鮮かつ鮮やかに描き出しています。

『歌舞伎の101演目 解剖図鑑』は、歌舞伎初心者から熟練者まで、幅広い読者におすすめの一冊です。イラストとわかりやすい文章で、歌舞伎の世界を深く知ることができるこの本を手に取れば、歌舞伎の魅力にきっと引き込まれることでしょう。

日本画と歌舞伎の世界 革新によって守り継がれた伝統

『日本画と歌舞伎の世界 革新によって守り継がれた伝統』は、石田久美子編集のもと、求龍堂から2023年2月20日に発売された貴重な書籍である。本書は、日本の伝統的な芸能である歌舞伎(Kabuki)と、日本独特の絵画である日本画(Nihonga)との関係性、特に歌舞伎に関連する日本画の歴史や名画家たちと歌舞伎役者たちとの親交に焦点を当てている。

2023年は、歌舞伎座が新たな歌舞伎の殿堂として「第五期歌舞伎座」の再開場から10年を迎える年となる。この節目の年に、新しい緞帳(Doncho: stage curtain)が披露されることとなり、その背景や制作過程、そして歌舞伎と日本画の関係性が詳細に掘り下げられている。

本書の大きな特徴として、名優たちと日本画家たちとの深い親交が取り上げられている。例えば、十二世市川團十郎と大山忠作、五代目坂東玉三郎と室井東志生などの名優と名画家との関係が詳細に紹介されている。これにより、読者は歌舞伎と日本画の美の交歓をより深く理解することができる。

また、新しい緞帳の中でも特に注目されているのは、横山大観が手掛けた「霊峰飛鶴」であり、この作品の初公開となる。横山大観や東山魁夷など、日本画の大家たちが手掛けた歌舞伎座の緞帳は、歌舞伎と日本画の戦後の発展を知る上で極めて重要なテーマとなっており、その全てをこの本で一堂に見ることができる。

本書はまた、2023年1月28日から3月12日まで市川市東山魁夷記念館で開催される展覧会の公式図録兼書籍としても機能している。そのため、実際に展覧会を訪れる前後に読むことで、展示内容をより深く理解する手助けとなるであろう。

目次を見ると、歌舞伎座と明治座の歴史や戦後の復興、そして歌舞伎と日本画の関係性、名優と日本画家の親交、新しい緞帳の制作過程など、様々な角度から歌舞伎と日本画の関係が詳細に探求されていることがわかる。

『日本画と歌舞伎の世界 革新によって守り継がれた伝統』は、歌舞伎と日本画の美の交歓を深く知りたい、そしてその背後にある歴史や文化を理解したいという読者にとって、非常に価値ある一冊と言えるだろう。

坂東玉三郎の歌舞伎ぬりえ

著:坂東 玉三郎, 著:林 美木子, 監修:坂東 玉三郎, イラスト:林 美木子
¥2,640 (2023/10/24 15:39時点 | Amazon調べ)

歌舞伎(Kabuki)は、日本の伝統的な舞台芸術であり、その歴史と美学は日本の文化の象徴とも言えます。坂東玉三郎は、当代の歌舞伎界で特に目立つ存在として、屈指の実力と人気を持つ女形(onnagata、女性役を演じる男性俳優)です。彼の演技は多くのファンや評論家から高い評価を受けており、その結果、彼の代表的な役柄が「ぬりえ」として公になることが実現しました。

この特別な「ぬりえ」本は、坂東玉三郎自身の監修のもと、彼がこれまで演じてきた13の当たり役を収録しています。その役柄の中には、『助六由縁江戸桜』の揚巻や『廓文章』の夕霧、『鷺娘』の鷺の精、『仮名手本忠臣蔵』のお軽、『於染久松色読販』の土手のお六など、歌舞伎ファンにはおなじみのキャラクターが含まれています。これらの役柄の彩色画は、有職彩色絵師として名高い林美木子氏によって手がけられており、その見事な筆技によって玉三郎の魅力が再現されています。林氏は、玉三郎の舞台の小道具や衣裳の制作も手がけているため、その描写は非常に詳細かつリアルです。

また、このぬりえの大きな特長として、各役柄の彩色画の隣には、その役柄の線画が配置されており、読者自身がその役柄を自分の好みの色で彩色することができます。この点に関して、玉三郎は本書の序文で「ぬりえをしていくうちに、衣裳や鬘や、舞台装置に細かいこだわりがあるということもおわかりいただけることと思います」と述べており、読者が彩色する過程で歌舞伎の深い美学や細やかな工夫を感じ取ることができるでしょう。

さらに、本書の巻末には特製の「玉三郎の着せ替え紙人形」も収録されており、それに付随する衣裳や鬘を切り取って組み合わせることで、異なるシチュエーションの玉三郎を再現することができます。この紙人形は、浴衣姿の「土手のお六」をベースに、さまざまな衣裳や鬘を重ねることで、玉三郎の異なる役柄を楽しむことができます。

最後に、このぬりえ本は、その美しいデザインと内容の豊かさから、単なるぬりえとして楽しむだけでなく、アート作品としての価値も高いものとなっています。各ページは取り外しやすい設計になっているため、自分で彩色したページを壁に飾るなど、さまざまな楽しみ方が考えられます。

『坂東玉三郎の歌舞伎ぬりえ』は、歌舞伎や坂東玉三郎のファンはもちろん、アートやぬりえを愛する人々にとっても、非常に価値のある一冊と言えるでしょう。

まとめ

Kabuki is a traditional Japanese performing art form that combines sumptuous costumes, facial makeup, dramatic acting, and unique music and dance to draw audiences into the world of classic Japanese stories.
歌舞伎は日本の伝統的な舞台芸術であり、豪華な衣装、顔のメイク、劇的な演技、そして独特の音楽と舞踊が組み合わさって、観客を古典的な日本の物語の世界へと引き込みます。

歌舞伎(Kabuki)は日本の伝統的な舞台芸術で、その深い歴史と独特の美学は日本の文化の中でも際立った存在として認識されています。その魅力と深さを理解し、さらに楽しむための資料や書籍は数多く存在しますが、今回紹介した5冊の書籍は、歌舞伎の魅力を多角的に捉えるものとして特におすすめです。

『知識ゼロからの歌舞伎入門』は、その名の通り、歌舞伎に関する基本的な知識や背景を持っていない初心者向けの一冊として最適です。この書籍を通して、歌舞伎の基本的な歴史や演目、役者の役割、舞台の特徴など、初心者が知っておくべき情報を効果的に学ぶことができます。

次に、『最新版 歌舞伎の解剖図鑑』と『歌舞伎の101演目 解剖図鑑』は、より詳細な知識や情報を求める読者に向けた書籍となっています。これらの書籍では、歌舞伎の演目や役者、舞台装置、衣裳などを詳しく解説しており、歌舞伎の奥深さや繊細さをより深く理解するための情報が満載です。

『日本画と歌舞伎の世界 革新によって守り継がれた伝統』は、歌舞伎だけでなく、日本画(Nihonga)との関連性に焦点を当てた一冊です。歌舞伎と日本画は、日本の伝統的な芸術文化として深いつながりを持っており、この書籍を読むことで、その相互の影響や連携について学ぶことができます。

最後に、『坂東玉三郎の歌舞伎ぬりえ』は、歌舞伎の世界をアートとして楽しむための独特の書籍として位置づけられます。このぬりえ本を通して、読者は歌舞伎の美しさや魅力を直接手を動かしながら感じ取ることができ、歌舞伎の舞台装置や衣裳の細やかな部分に目を向けることができます。

総じて、これらの書籍は、歌舞伎に初めて触れる人から、すでにその魅力に取り憑かれている人まで、幅広い読者にとって価値のある情報や知識を提供してくれるものとなっています。歌舞伎の世界を深く探求し、その美しさや奥深さをより深く感じるためのガイドとして、これらの書籍は大変おすすめです。