あなたが歴史愛好家であれ、物語のファンであれ、中国古典の「三国志」はその名を聞かない人はいないでしょう。時代を超え、国境を越えて、多くの人々の心をつかんで離さないこの叙事詩は、壮大な戦術、情熱的な友情、そして策略に満ちた物語で私たちを引き込みます。しかし、この深く、時には複雑な物語をどこから手がかりにして読み進めればよいのでしょうか?この記事では、三国志の世界を様々な角度から紐解き、初心者から熟練者までの読者に向けて、5冊の魅力的な書籍をご紹介します。それぞれの本が、三国志の壮大な舞台に新しい視点や理解をもたらすでしょう。さあ、一緒に三国の時代への扉を開け、その背後に潜む情熱や戦術、策略の世界へと足を踏み入れてみましょう。

イラストでサクッと理解 流れが見えてくる三国志図鑑

三国志(Three Kingdoms)のエピックな物語は、何世代にもわたって人々の心を捉えてきました。その深い魅力を、一冊の図鑑で紹介するこの本は、ナツメ社より2023年7月18日に出版されました。この図鑑の制作を担当したのは「かみゆ歴史編集部」。彼らは「歴史はエンターテイメント」というモットーのもと、日本史、世界史、近現代史、宗教、神話、アートといった多岐にわたる歴史コンテンツを手掛けてきた経験豊富な編集部です。

この図鑑は、シリーズの中でも特に注目される「流れが見えてくる図鑑」としての位置付けを受けており、「三国志演義」を中心に詳細な解説を行っています。しかし、その魅力はそれだけではありません。「正史では?」や「日本では?」といったコーナーも設けられており、正史の「三国志」や、日本の文化における三国志の受容についても触れられています。

この図鑑の最大の特徴は、イラスト中心の解説スタイルです。B5判の横長ワイド判というフォーマットを採用し、三国志の重要なトピックやエピソードをイラストを用いて丁寧に説明しています。このアプローチにより、三国志の複雑な人間関係や歴史的背景、戦場での出来事などが直感的に理解しやすくなっています。

また、三国時代前夜から始まり、晋の滅亡に至るまでの歴史がシンプルに解説されているのも特筆すべき点です。黄河文明、黄巾の乱、官渡の戦い、赤壁の戦いなど、三国時代の重要な事件や英雄たちの生涯が細かく取り上げられています。

興味をさらに深めるための情報も豊富に用意されています。「三国時代の中国の地理」や「三国時代の思想・宗教」といった基礎知識から、「三国志に登場する馬」や「三国志史跡ガイド」といった特色あるトピックまで、読者は三国志の世界に没入できること間違いなしです。

『イラストでサクッと理解 流れが見えてくる三国志図鑑』は、三国志初心者から熟練者まで、全ての読者に楽しんでもらえる一冊となっています。イラストと文を組み合わせたこの独自のアプローチにより、古代中国の歴史と英雄たちの魅力を新しい視点から再発見できるでしょう。

キャラ絵で学ぶ! 三国志図鑑

監修:伊藤 賀一, イラスト:いとうみつる
¥1,760 (2023/10/29 15:02時点 | Amazon調べ)

三国志(Three Kingdoms)は、中国の歴史上の魏(Wei)、蜀(Shu)、呉(Wu)の三つの国が競い合った時代を描いた古典的な物語です。この物語は、ゲーム、アニメ、漫画として数多くのアダプテーションを持つ日本における非常に人気のあるコンテンツとなっています。『キャラ絵で学ぶ! 三国志図鑑』は、この古典的な物語を新しい形で紹介するための書籍です。

本書の特徴として、まず、子どもたちに非常に人気のあるイラストレーター、いとうみつる氏による、愛らしいキャラクターの絵が挙げられます。彼の描くキャラ絵を通じて、三国志の様々な登場人物やストーリー、逸話がわかりやすく解説されています。これにより、三国志の物語が初めての人や、これまで興味を持たなかった大人でさえも、楽しみながら三国志の知識を深めることができるでしょう。

さらに、この書籍の監修者として、伊藤賀一先生が参加しています。彼は「日本一生徒数の多い社会科講師」として知られ、オンライン予備校「スタディサプリ」での講義などを通じて、多くの学生の教育に貢献してきた経歴を持っています。そのため、この書籍の内容は、教育的な観点からも非常に信頼性が高いと言えます。

また、『キャラ絵で学ぶ!図鑑シリーズ』として、信長、秀吉、家康などの他の歴史的人物に関する図鑑も展開されており、シリーズとしての人気や実績も確立しています。本書もその一環として、子ども向けとは思えないほどの充実した解説がされており、しかも、いとうみつる氏のユーモラスなイラストを通じて、読者は難しい内容であっても楽しみながら読み進めることができます。

内容的には、三国志の物語の概要や、それぞれの国のヒーロー、後漢王朝の関連人物、さらには三国志から生まれた故事成語についても紹介されており、全体的に非常に網羅的な内容となっています。これにより、読者は三国志の世界に深く浸ることができるでしょう。

最後に、本書は小学4年生以上向けの学習漢字にはルビが付けられているため、年齢を問わず多くの人々がアクセスしやすい形で、三国志の知識を深めることができます。

総じて、『キャラ絵で学ぶ! 三国志図鑑』は、三国志に興味を持つ全ての人々にとって、非常に魅力的で有益な一冊と言えるでしょう。

マンガ 三国志X 諸葛孔明

著:石ノ森章太郎(石森プロ作品)
¥1,106 (2023/10/29 15:04時点 | Amazon調べ)

『マンガ 三国志X 諸葛孔明』は、名匠・石ノ森章太郎(Ishinomori Shotaro)による歴史大河ロマンの頂点作として、2021年7月13日に飛鳥新社から刊行されました。本作は三国志の魅力をマンガの形式で伝えることを目指しており、特に諸葛孔明(Zhuge Kongming)という希代の名軍師の生涯を中心に据えています。

後漢末期、中国は曹操(Cao Cao)、劉備(Liu Bei)、孫権(Sun Quan)という三人の英雄により、天下三分の局面へと突入します。この大乱世の中で諸葛孔明はその策略と智慧で劉備の背後に立ち、三国時代を築き上げる大きな役割を果たしました。石ノ森章太郎は、この諸葛孔明の生き様や彼を取り巻く人々の複雑な人間関係、策略、戦略を緻密に描き出しています。入り乱れる策略と思惑の中、一度読んだら忘れられないほどの深い感動と最高の人間ドラマが展開されます。

さらに、本作は「楽しく学べる三国志入門」としても位置づけられており、古代中国の難解な歴史や背景を、マンガという親しみやすい形式で読者に伝えることを試みています。山崎圭一さん(世界史・日本史ムンディ先生としても知られる)の推薦も受けており、読者はこの一冊を手に取ることで、歴史ロマンの世界にどっぷりと浸かることができます。

『マンガ 三国志X 諸葛孔明』は、三国志のファンはもちろん、歴史に興味のある人、マンガ愛好者にとっても見逃せない一冊となっています。石ノ森章太郎の筆致により、諸葛孔明の魅力や三国時代の激動の歴史を新たな視点で楽しむことができます。

三国志 (10歳までに読みたい世界名作) 

著:羅貫中, 編集:芝田勝茂, 翻訳:芝田勝茂, イラスト:野間与太郎, 監修:横山洋子
¥968 (2023/10/29 15:06時点 | Amazon調べ)

『三国志 (10歳までに読みたい世界名作)』は、約千八百年前の歴史上の出来事を中心にした、羅貫中(Luo Guanzhong)の名作『三国志』を、小学生向けに編集・翻訳したものです。2021年6月17日に学研プラスから出版された本作は、芝田勝茂氏による編集・翻訳、野間与太郎氏の親しみやすいイラスト、そして横山洋子氏の監修により、幅広い年齢層にアプローチする内容となっています。

物語は、混乱の時代を正そうと立ち上がった三人の英雄、劉備(Liu Bei)、関羽(Guan Yu)、張飛(Zhang Fei)の活躍を中心に展開します。特に、軍師・孔明(Kongming、別名:諸葛亮)の策略を借りて、赤壁の戦いでの曹操軍との壮絶な戦闘が描かれています。

本書の特長として以下の3つのポイントが挙げられます:

  1. 物語ナビ:物語の概要やキャラクター相関図を含む「物語ナビ」が付属しており、これによって読者は物語の背景やキャラクターの関係を一目で理解することができます。これは特に、物語の内容をさっと振り返りたい時や、感想文の作成時に役立つでしょう。
  2. オールカラーイラスト:アニメーション風のタッチで描かれた50点以上のカラーイラストが掲載されています。これにより、読者は物語の世界に深く浸かることができ、また、視覚的なサポートを受けながら読み進めることが可能となります。
  3. 短い章立て:各エピソードが短い章に分かれており、読み手は一つの章をサクッと読み終えることで「読めた!」という達成感を得ることができます。これは、読書習慣を身につける子供たちにとって大きな魅力となります。

『三国志 (10歳までに読みたい世界名作)』は、三国志の物語を初めて知る子供たちや、歴史に興味を持つ家族にとって、理想的な一冊と言えるでしょう。この本を手に取ることで、歴史の魅力や三国時代の壮大な物語に触れる扉が開かれます。

図説 一冊で学び直せる三国志の本

監修:義浩, 渡邉
¥858 (2023/10/29 15:08時点 | Amazon調べ)

『図説 一冊で学び直せる三国志の本』は、古典中国学の専門家である渡邉義浩氏による監修の下、2020年12月17日にワンパブリッシングから発売された一冊です。この書籍は、「三国志」の深遠な世界観とその複雑な歴史を、初心者にも理解しやすい形で解説しています。

「三国志」とは、今から1800年前の中国大陸で、一度は繁栄を極めた巨大な帝国が次第に衰退し、その崩壊の中で繰り広げられた英雄たちの戦いを描いた歴史的物語です。この書籍は、多数のカラー図版を使用して、三国時代の主要な国々やキャラクター、さらには時代を動かした重要な戦いやエピソードを、史実の流れに沿って明確に紹介しています。

特に注目すべきは、三国それぞれの相関関係や、登場するキャラクターの背景、時代の趨勢を決定づけた戦いなど、さまざまなエピソードについての詳細な言及です。これにより、読者は三国時代の複雑な背景や人物間の関係性を、より深く理解することができます。

著者、渡邉義浩氏は、1962年東京都生まれで、筑波大学大学院を卒業後、文学博士の称号を取得。現在は早稲田大学の教授として活躍しています。専攻は古典中国学であり、とりわけ漢から六朝にかけての政治・思想についての研究を行っています。また、三国志に関する著書や講演も多数手掛けており、その知識と経験を活かして本書を監修しています。

『図説 一冊で学び直せる三国志の本』は、三国志に関心を持つすべての人々、特に初心者やこれまで三国志を苦手としていた方々にとって、非常に有益なガイドブックとなるでしょう。この一冊を手に取ることで、三国時代の歴史や物語の魅力を、より深く、そして新たな視点で学ぶことができます。

まとめ

The fascination of the Three Kingdoms, the depth of history and stories in five books.
三国志の魅力、5冊で感じる歴史と物語の奥深さ

三国志(Romance of the Three Kingdoms)は、その壮大な物語と魅力的なキャラクターで、古今東西の読者を魅了し続けています。歴史と物語、策略と戦術、英雄と反英雄、全てが複雑に絡み合っており、この物語の深みを探求するためのガイドとしておすすめの5冊を紹介します。

  1. 『イラストでサクッと理解 流れが見えてくる三国志図鑑』:この書籍は、ビジュアル志向の読者にとって理想的な選択です。イラストを主体に、三国志の重要な出来事やキャラクターをシンプルに解説。物語の流れを視覚的に追体験できます。
  2. 『キャラ絵で学ぶ! 三国志図鑑』:キャラクター中心のアプローチで、三国志の複雑な人物関係を楽しみながら学べる一冊。各キャラクターの特徴や背景、関連するエピソードを紹介し、彼らの役割や影響を理解しやすくします。
  3. 『マンガ 三国志X 諸葛孔明』:伝統的な三国志を、現代のマンガのスタイルで再解釈した作品。特に、天才的な戦術家である諸葛孔明の人生と彼の策略を中心に描かれています。物語のエッセンスを楽しみながら、三国志の世界に没入できます。
  4. 『三国志 (10歳までに読みたい世界名作) 』:子供や初心者向けに、三国志の物語を簡潔かつ魅力的に紹介。イラストや短い章立てで、難解な部分もわかりやすく解説しています。物語の核心をつかみやすく、初めて三国志に触れる方におすすめです。
  5. 『図説 一冊で学び直せる三国志の本』:三国志の詳細な解説と史実に基づいた情報を求める読者に最適。専門家である渡邉義浩氏の監修の下、三国時代の背景や登場人物、主要な出来事を深く、しかしアクセスしやすい形で提供しています。

これらの5冊を通して、三国志の物語は様々な角度から解釈され、異なるスタイルで再現されています。初心者から熟練者まで、それぞれのニーズに合わせた書籍があり、三国志の奥深い世界を探求する旅に出る手助けとなるでしょう。