世界には数多くの博物館が存在しますが、その中でも特に名高い「大英博物館(The British Museum)」は、人類の歴史や文化を包括的に網羅する圧倒的なコレクションを誇ります。だからこそ、この博物館に関連する書籍も、その深みと多様性を反映するものとなっています。今回は、大英博物館が所蔵するアイテムやその背後にある歴史、文化を探求する5冊の書籍をご紹介します。これらの書籍を手に取れば、あなたも一足先に歴史の深淵への旅に出ることができるでしょう。さあ、知の冒険を共に始めましょう。

マンガ! 大英博物館マンガ展図録

三省堂
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2019年、大英博物館 (The British Museum) での特別展示として開催され、高い評価を受けた「Citi マンガ展」。この展示は世界的に有名な博物館でありながら、近年で最も評価されたイベントの一つとして注目を浴びました。その展示の公式図録が、『マンガ! 大英博物館マンガ展図録』として日本語版で刊行され、多くのマンガファンや文化愛好者からの期待が寄せられています。

編集を手がけたのはニコル・クーリッジ・ルーマニエールと松葉涼子の両名で、翻訳は山川早霧と飯原裕美が担当しました。三省堂出版から2020年10月21日に発売されたこの書籍は、日本のマンガ文化を独特の視点で網羅しています。

内容としては、名だたる人気漫画家や芸術家、例えばちばてつやや星野之宣、中村光などのインタビュー記事が豊富に収録されています。さらに、漫画編集者や出版社代表、翻訳者、コミックマーケットの主催者など、マンガ産業に深く関与する多岐にわたる専門家たちのインタビューも掲載。彼らの口から語られる創作の背景や、ヒット作品の秘密に迫るエピソードが満載です。

また、図版として多数の原画が掲載されており、『ゴールデンカムイ』(Golden Kamuy)や『不思議の国のアリス』、『SLAM DUNK』などの代表作から、さらにはマイナーな作品に至るまで、多岐にわたる作品がピックアップされています。

さらに特筆すべきは、マンガを多角的に捉える解説記事の存在。例えば、「マンガの神様」や「戦後日本におけるマンガとスポーツ」、そして「北斎はマンガを描いたのか」といったテーマに焦点を当てた記事は、単なるエンターテインメントとしてのマンガだけでなく、歴史や社会、文化としての側面からもマンガを考察しています。

『マンガ! 大英博物館マンガ展図録』は、日本のマンガ文化を深く掘り下げた一冊となっています。それを象徴するかのように、表紙には「自分のマンガ」が、きっとある――世界がみたManga、マンガ、まんがというフレーズが添えられており、読者それぞれが感じるマンガの魅力を再確認できることでしょう。

大英博物館所蔵 未発表版下絵 葛飾北斎 万物絵本大全

『大英博物館所蔵 未発表版下絵 葛飾北斎 万物絵本大全』(The British Museum Collection: Unpublished Underpaintings of Katsushika Hokusai’s Comprehensive Picture Book of Everything)は、著名な浮世絵師、葛飾北斎のこれまで未公開だった作品を網羅した驚異の書籍です。ティモシー・クラーク(Timothy Clark)氏が著し、2022年4月25日に朝日新聞出版から発売されました。

この書籍の背景には、180年の長きに渡る秘密のヴェールがあります。北斎が取り組んでいた、前例のない「世界ビジュアル大百科事典」(World Visual Encyclopedia)の企画は、何らかの理由で頓挫。しかし、彼の描いた精緻な版下絵(Underpaintings)だけが時を経て現代に残されました。版下絵とは、版画制作のための「原画」(original draft)で、通常は版木に彫られる段階で消滅します。しかしこの103点は、何らかの事情で保存され、我々の目の前に蘇りました。

19世紀後半、これらの版下絵は日本を離れ、パリの著名な日本美術コレクターの手に渡りました。そして、2021年、大英博物館(The British Museum)がこれを入手。同年9月30日から2022年1月30日にかけて、これらの版下絵を特別展示として公開しました。この展示は「Hokusai: The Great Picture Book of Everything」と題され、コロナ禍の中でも多くの人々に親しまれました。本書は、この展示の公式図録を日本語に翻訳したものとして注目されています。

北斎が活躍した江戸時代の日本は、識字率が高く、多様な出版物が庶民にも普及していました。特に、絵入百科事典、いわば「万物絵本大全」は、家庭学習や趣味、アマチュア絵師の参考書として人々に親しまれていました。

しかし、北斎が目指したのは、これまでの百科事典を単に再現するのではなく、新たな領域へと挑戦することでした。彼は伝統的な17部門の主題に加えて、「インド(仏教)」や「中国」を新たなテーマとして取り入れました。仏教の故事や中国の歴史、伝説、文化などを独自の視点で描き出しています。これらの視点の拡張は、当時の絵入百科事典には見られない、画期的な試みでした。

ティモシー・クラーク氏は、この103点の版下絵の再発見の重要性を、北斎の古代インドや中国への探求と、伝統的な絵入百科事典の枠を超えた挑戦として位置づけています。本書には、彼の論考や全作品の詳細な解説が収録され、読者は北斎の深い洞察と画家としての大胆な挑戦を追体験することができます。

また、日本語版には特別な付録も。北斎研究者の安原明夫氏の協力により、版下絵に記された画中文字、「詞書(ことばがき)」の翻刻と読み下し文が追加されました。さらに「神仏名に関する日本語・サンスクリット語の対照表」も収録されており、研究者やファンにとっても非常に価値ある情報源となっています。

この『大英博物館所蔵 未発表版下絵 葛飾北斎 万物絵本大全』は、北斎の未知の世界を探求するための、まさに究極のガイドブックです。

大英博物館 図説 古代エジプト史

編集:スペンサー,A.J., 原名:Spencer,A.J., 翻訳:二郎, 近藤
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『大英博物館 図説 古代エジプト史』は、A.J. スペンサー(A.J. Spencer)が編集し、近藤二郎氏によって翻訳された一冊です。この本は、原書房より2009年6月1日に発売されました。その内容は、有史以前からローマ時代までの約3000年間を網羅する、古代エジプトの豊富な歴史を取り扱っています。

この書籍は、ファラオの時代に焦点を当て、政治、宗教、建築、芸術、言語、埋葬の習慣、そして近隣諸国との関係など、多岐にわたるトピックに関して詳細に解説しています。さらに、最新の研究成果や発見も交えられているため、古代エジプトに関する最新の情報を得られます。この本には、写真や図版が171点も収められており、詳細索引も完備しているので、研究者や学生、そして古代エジプトに興味を持つ一般の読者にとっても非常に参考になる内容となっています。

大英博物館が総力を挙げて編集したこの書籍は、200以上のカラー図版や地図が掲載されており、未公開の資料も含まれています。そのため、古代エジプトの全貌を知りたい、または本格的に学びたい人々にとって最適の入門書と言えるでしょう。

編集を手がけたA.J. スペンサーは、1975年から大英博物館に所属しており、古代エジプト・スーダン部門での研究や展示の運営など、多くの責任ある業務を担当してきました。彼は、中部エジプトのアシュムネイン遺跡や、東デルタに位置するバラムン遺跡の発掘調査プロジェクトにも参加しており、初期王朝時代から末期王朝時代にかけての物質文化の研究に幅広く従事しています。

一方、翻訳者である近藤二郎氏は、早稲田大学を卒業後、エジプトでの発掘調査やカイロ大学での留学を経て、エジプト学や考古学、文化財学の専門家として知られています。現在は、早稲田大学文学学術院の教授やエジプト学研究所の所長として、エジプト研究の第一線で活躍しています。

この『大英博物館 図説 古代エジプト史』は、古代エジプトに関する知識を深めたい方はもちろん、研究や学問の基礎としても役立つ一冊です。大英博物館の豊富な資料と、二人の専門家の深い知識と経験が凝縮されたこの書籍は、多くの読者におすすめできる一冊となっています。

大英博物館 図説 金と銀の文化史

著:スーザン・ラニース, 著:フィリパ・メリマン, 監修:別宮 貞徳, 翻訳:小川 昭子, 翻訳:八坂 ありさ
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金と銀、これらの美しい金属は、単なる装飾品や貴重品としての役割にとどまらない歴史的な背景を持っています。『大英博物館 図説 金と銀の文化史』(The British Museum Illustrated History of Gold and Silver)は、これらの金属が人類の歴史の中で果たしてきた役割と、それに関わるさまざまな物語を詳細に紹介しています。

この書籍は、金と銀が美しさだけでなく、貨幣、交易品、宗教儀礼、さらには富と権力の象徴としての役割を果たしてきたことを中心に述べています。また、これらの金属が引き起こした争いや災難についても触れており、金と銀の功罪を公平に評価しています。

具体的には、書籍の内容は二つの部分に分かれています。第一部では、「金の文化史」を探求しています。ここでは、金が人々に与えてきた事実と幻想、地位と権力との関係、貨幣としての役割、金細工師の技術やジュエリーと装飾品の歴史、そして金と神々や死との深いつながりなどに焦点を当てています。第二部では、「銀の文化史」を詳しく解説しており、銀の価値や富、社会的地位との関係、装飾品や銀細工師の技術、銀の象徴的価値、そして純度を示す検定や検証印に関する話題などが取り上げられています。

書籍の著者であるスーザン・ラニース(Susan La Niece)は、大英博物館の上級冶金学者として、金属細工の技巧や芸術性についての多数の学術論文を執筆しています。一方、共著者のフィリパ・メリマン(Philippa Merriman)は、銀細工師としての専門知識を持つプロフェッショナルです。

この書籍の日本語版は、別宮 貞徳氏の監修のもと、小川 昭子氏と八坂 ありさ氏が翻訳を担当しました。別宮氏は、上智大学出身の翻訳家・批評家として知られ、小川氏と八坂氏は、彼の指導の下で翻訳技術を磨いてきた才能ある翻訳者です。

『大英博物館 図説 金と銀の文化史』は、金と銀の歴史や文化を学びたいすべての人々にとって、非常に価値ある一冊と言えるでしょう。

大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史

著:大英博物館
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世界的に有名な大英博物館(The British Museum)は、人類の歴史と文化遺産を称賛する場所として、多くの訪問者を魅了しています。この書籍『大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史』は、筑摩書房(Chikuma Shobo)から2015年に発売され、同年に開催された展覧会図録として大変な人気を博しています。

この本は、人類の歴史を200万年にわたり辿る、壮大な企画展のガイドブックとして機能しています。展示品は、人類発祥の地における最古の石器から現代のグローバル社会に至るまで、大英博物館のコレクションから厳選された100のアイテムを網羅しており、これらの作品は人類の歴史を見事に描き出しています。

中でも特筆すべきは、ハリウッド映画『ハリー・ポッター』に登場した「ルイス島のチェス駒」(The Lewis Chessmen)や、日本の教科書にも取り上げられる「ウルのスタンダード」(Standard of Ur)。また、大英博物館の代名詞とも称される「ロゼッタ・ストーン」(Rosetta Stone)は、この展示のために特別に制作された原寸大のレプリカとして展示されています。

この書籍は、700万点以上のコレクションの中から選び出された100のアイテムを通じて、人類の創造の歴史を深く掘り下げています。それらは日用品から芸術的な名品まで多岐にわたり、それぞれが持つ背後にある物語や歴史的な背景を紐解きながら、読者に人類の軌跡を理解させます。これらのアイテムを通じて、私たちは数多くの文化や時代を旅することができ、新しい発見や驚きを経験することができます。

『大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史』は、歴史や文化に興味があるすべての人々にとって、地球上の時空を超えた壮大な旅のガイドブックとなっています。読者はこの書籍を手に取ることで、人類の素晴らしい遺産とその歴史を深く感じることができるでしょう。

まとめ

The British Museum is the world's largest museum dedicated to human history, art, and culture, located in the Bloomsbury district of London, England.
大英博物館はイギリス・ロンドンのブルームズベリー地区にある人類の歴史、芸術、文化が専門の世界最大の博物館

大英博物館(The British Museum)は、世界的に知られる歴史と芸術の宝庫です。ここでは、その膨大なコレクションを基にした5つの書籍を紹介し、読者にその魅力を再確認させます。

  1. 『マンガ! 大英博物館マンガ展図録』は、日本のポップカルチャーの一部であるマンガ(manga)の歴史と文化を詳しく紹介しています。この書籍は、マンガの起源から現代までの変遷を描き出し、国際的な影響を詳しく検証します。
  2. 『大英博物館所蔵 未発表版下絵 葛飾北斎 万物絵本大全』は、日本の浮世絵の巨匠、葛飾北斎(Katsushika Hokusai)の未発表の作品と彼の技巧を紹介します。読者はこの書籍を通じて、北斎の緻密な観察眼と彼の芸術への情熱を感じ取ることができます。
  3. 『大英博物館 図説 古代エジプト史』は、古代エジプト(Ancient Egypt)の文明とその神秘を詳細に探求します。ピラミッドやファラオ、神々の信仰など、この時代の文化や歴史が豊富な写真とともに解説されています。
  4. 『大英博物館 図説 金と銀の文化史は、金(gold)と銀(silver)という貴重な金属が人類の歴史にどのような影響を与えてきたかを明らかにしています。交易、経済、技術、芸術など、多岐にわたるテーマが網羅されています。
  5. 『大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史』は、人類の文化遺産と歴史を網羅的に紹介するガイドブックです。厳選された100のアイテムを通じて、200万年にわたる人類の歴史が辿られます。

これらの書籍は、大英博物館の豊富なコレクションを基にしており、歴史や芸術、文化の深い理解を促します。読者はこれらの書籍を通じて、人類の文化や歴史に新たな視点で触れることができるでしょう。大英博物館は、私たちの過去と現在、そして未来をつなぐ架け橋としての役割を果たしています。これらの書籍を読むことで、その壮大な歴史と文化の旅を体験することができます。