ゴールデンウィークが間近に迫り、旅行先を探している方も多いことでしょう。そんな中、文化に触れることができる博物館巡りはいかがでしょうか。今回は、美しい自然に囲まれた岡山県で開催されている注目の企画展を3つ紹介します。それぞれ異なる魅力を持つ展示に触れることで、歴史や文化に深く思いを馳せることができるでしょう。

まずは、猪風来美術館(新見市法曽陶芸館)の企画展「縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの」です。この展示では、縄文土器やアマゾンの土器が、遠い時代と地域を越えて繋がりを持つことを示しています。続いて、岡山市立オリエント美術館の「シティ・ライフのはじまり、オリエント」では、古代オリエントの都市生活の発展をたどることができます。最後に、岡山県古代吉備文化財センターの「令和5年度企画展1 広がるムラとその景観」において、古代吉備の人々の暮らしやムラの景観について深く理解することができます。

A remarkable exhibition held in Okayama Prefecture, surrounded by beautiful nature.
美しい自然に囲まれた岡山県で開催されている注目の企画展

このゴールデンウィークに岡山県を訪れる際は、ぜひこれらの博物館展示をお楽しみいただき、日常を忘れて歴史や文化に浸るひとときをお過ごしください。それでは、それぞれの展示について詳しく見ていきましょう。

猪風来美術館(新見市法曽陶芸館):縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの

猪風来美術館(新見市法曽陶芸館):縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの
猪風来美術館(新見市法曽陶芸館):縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの

猪風来美術館(新見市法曽陶芸館)で開催中の企画展「縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの」は、2023年2月1日から5月28日までの期間中、月曜日(祝日の場合は翌日休館)を除く日に訪れることができます。本展では、世界各地で古代の土器作りが復活し、現代の作家によって再現・創作される文化潮流が紹介されています。これは人類の始原のアートであり、宇宙や自然の波動を感じ取り、生と死、そして再生への畏怖からくる祈りの世界観が表現されているものです。

アマゾン土器の作者である故メストレ・カルドーゾさんは、先住民の技法や材料を研究し、先史土器の復興に成功しました。今回の企画展では、再現されたアマゾン(ブラジル)の土器、中南米の土器、北米ホピ族の土器などとともに、縄文土器が一堂に展示されます。これらの土器は、造形や世界観の表現が縄文土器と共通する点があり、非常に興味深いものです。

さらに、関連企画として座談会「縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの」が開催されます。この座談会では、九州大学名誉教授の古谷嘉章氏、岡山大学文明動態学研究所教授の松本直子氏、岡山県立大学デザイン学部准教授の真世土マウ氏、縄文造形家・猪風来美術館館長の猪風来氏が登壇し、それぞれの視点から土器について語ります。

アマゾンのマラジョアーラ土器やタパジョニカ土器は、縄文土器と同様に生命と魂のデザインが表現され、大地に根差した思考や女性原理思考が共通しています。縄文土器やアマゾンの土器の再現を通じて、その造形や文様に込められた心を読み解き、現代に展望し、未来に伝えていくことが、アートの根源性を追求するこの展覧会の目的です。

アマゾン河口のマラジョー島で5~14世紀に作られたマラジョアーラ土器と、アマゾン河中流で16世紀まで続いたサンタレス文化のタパジョニカ土器は、高度な技術で作られた多彩色土器です。これらの土器には刻線文、隆線文、動植物文、人像文などが施され、800度~1000度で焼成されています。マラジョアーラ土器は粘土紐を輪積みして成形し、白と赤の泥漿を塗り重ね、複雑な幾何学文様や人間・動物を象った文様が線彫りや浮き彫りで施されています。また、白い化粧土の素地に赤と黒の顔料で彩色する技法もみられます。

出品作家としては、アマゾン(ブラジル)土器のメストレ・カルドーゾ、古代アメリカ土器の真世土マウ、北米ホピ族土器のドロシー、縄文土器・土偶の猪風来・村上原野・土田哲也・兵頭百華が参加しています。

この企画展を通じて、世界各地の土器の歴史や造形美を学び、縄文土器やアマゾンの土器の再現によって形や土器文様に込められた心を読み解くことができます。また、現代の視点から土器を見つめ直し、その根源性を再評価し、新たな創造へと繋げていくことが期待されます。ぜひ、この機会に猪風来美術館(新見市法曽陶芸館)の企画展「縄文土器やアマゾンの土器たちが語るもの」に足を運び、縄文土器やアマゾンの土器の魅力を堪能してみてください。

岡山市立オリエント美術館:シティ・ライフのはじまり、オリエント

岡山市立オリエント美術館:シティ・ライフのはじまり、オリエント
岡山市立オリエント美術館:シティ・ライフのはじまり、オリエント

岡山市立オリエント美術館の新展示、「シティ・ライフのはじまり、オリエント」では、都市生活の起源やオリエント世界の美術工芸に焦点を当てています。展示は2フロアに分かれており、第1フロアでは都市生活の始まりを4つのトピックに分けて紹介し、テキスタイル、化粧、アクセサリー、ヘアスタイルなどの日常的な物事がどのように発展したかを説明しています。第2フロアでは、地域ごとのシティ・ライフとその背景を展示し、オリエント世界全体での都市生活の発展を辿ります。

エジプトやギリシア、肥沃な三日月地帯、イラン王朝時代、南・中央アジアなど、オリエント世界の各地域のシティ・ライフが紹介されています。この展示を通して、現代の私たちにどのようなメッセージが伝わるのか考察することができます。

会期は2022年12月6日(火曜日)から2023年9月3日(日曜日)まで、開館時間は午前9時から午後5時まで(最終入館は午後4時30分まで)です。休館日は毎週月曜日、年末年始、成人の日の翌日です。入館料は一般310円、高校・大学生210円、小中学生100円で、団体料金も適用されます。また、館蔵品展と併設されている小企画展「イエスの物語」、「オリエント美術館のニュー・スター誕生?」も同時に観覧できます。

シティ・ライフのはじまり、オリエント展示は、私たちが今日の都市生活をどのように築いたのか、そのルーツを探る貴重な機会を提供してくれます。オリエント世界の文化や歴史が見事に紹介されており、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれるでしょう。ぜひ、この展示を訪れてオリエントの魅力を感じてください。

岡山県古代吉備文化財センター:広がるムラとその景観

岡山県古代吉備文化財センター:広がるムラとその景観
岡山県古代吉備文化財センター:広がるムラとその景観

岡山県古代吉備文化財センターでは、令和5年度企画展1「広がるムラとその景観」が開催されます。この企画展では、浅口市と浅口郡里庄町にある城殿山遺跡、和田谷遺跡、マキサヤ遺跡から出土した貴重な遺物が一堂に展示され、縄文時代から古代のムラで営まれた人々の暮らしについて紹介されます。古代吉備文化財センターは、一般国道2号(玉島・笠岡道路)改築工事に伴い、平成27~29年度と令和2年度にこれらの遺跡の発掘調査を実施し、令和3年度に調査成果をまとめた報告書を刊行しています。

開催期間は令和5年4月19日(水曜日)から10月15日(日曜日)までで、土曜日・日曜日・祝日も開館し、臨時休館日も設けられています。開館時間は午前9時から午後5時までです。

展示内容としては、マキサヤ遺跡出土遺物には縄文土器、石棒、石鏃、石匙が、和田谷遺跡出土遺物には弥生土器、石包丁、製塩土器、施釉陶器が、城殿山遺跡出土遺物には翡翠製勾玉、水晶製勾玉、鉄剣などが展示されます。ただし、資料保護の観点から展示期間中に入れ替える展示品もあることに注意してください。

この企画展「広がるムラとその景観」を通じて、古代吉備の人々の暮らしや文化を知ることができ、当時のムラの発展とその景観について理解を深めることができるでしょう。ぜひ、この機会に古代吉備文化財センターを訪れて、歴史に触れてみてください。