仙台市が新たな文化的ランドマークとして開発を進めている「(仮称)国際センター駅北地区複合施設」。この施設は、音楽ホールと震災メモリアル拠点を組み合わせた、まさに新旧の交流の場となることを目指しています。しかし、この計画地には予想外の「共存者」が指摘されています。それが、「周知の埋蔵文化財包蔵地」である川内A遺跡。今回のブログでは、この施設計画と川内A遺跡の関係、そしてそこに予定されている大半が産廃処理かもしれない大規模な発掘調査について深掘りしていきます。新たな文化的地点の誕生と、過去の重要な考古学的遺跡の探求。これら二つの要素が交錯する現場から、最新の情報をお届けします。
(仮称)国際センター駅北地区複合施設基本構想
(仮称)国際センター駅北地区複合施設という名の基本構想は、仙台市の中心地、青葉山交流広場に位置することが計画されています。この地区は地下鉄東西線国際センター駅の北側に位置し、現在は「せんだい青葉山交流広場」として活用されており、その面積は約19,200㎡となっています。また、その便利な立地により仙台駅からはたった3駅、5分でアクセスが可能で、さらにはループル仙台の「博物館・国際センター前」、「国際センター駅・宮城県美術館前」のりばも近くに存在します。

この地区は、伊達政宗公が仙台城を築いた地として、仙台の歴史と文化の源泉であり、また学術資源が集積し豊かな自然環境にも恵まれています。これらの特性を活かし、国内外から多くの人々が集まる施設を整備することで、エリアの個性と魅力がさらに高まることが期待されています。
1つ目は、「人と人との交流を通し、新しい文化的価値が生まれる場」を目指すことです。多くの人々が気軽に訪れ、特別な時間や体験を共有することで多様な出会いや交流が生まれ、新たな文化的価値が地域を一層豊かにしていくとされています。
2つ目は、「過去に学び未来を創る、新たな都市文化の創造・発信の場」を目指すことです。3.11を契機とした、他に例を見ない文化芸術と災害文化の複合施設として、仙台の歴史や個性を土台に新たな「仙台オリジナル」の都市文化が形成され、発信される場となるとされています。
3つ目は、「文化のネットワークを形成し、多くの人が訪れたくなる場」を目指すことです。青葉山エリアの特性を生かし、各種機関・施設との有機的な連携のもとで仙台の文化観光の拠点となり、市民だけでなく広域からの人々を呼び込むことが期待されています。
以上の計画により、仙台市が新たな文化交流の中心地として躍動する未来が見えてきます。それは仙台の新たな歴史と文化を紡ぎ出す場となることでしょう。
「川内A遺跡」に一部該当

(仮称)国際センター駅北地区複合施設計画地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」である川内A遺跡に一部該当するため、その実現に向けては一定の調査と対策が必要となります。
川内A遺跡は縄文時代から近世に至る散布地・屋敷跡で、18~19世紀には佐沼亘理家の敷地となり、武家屋敷群が存在していました。更に、明治以降は大日本帝国陸軍仙台連隊区司令部第二師団兵器廠が設置され、昭和20年(1945年)7月10日の仙台空襲によって兵器廠は消失しました。戦後は米軍の駐留地となり、米軍の川内キャンプ(キャンプセンダイ)が設置されました。こうした地面の下には、歴史学的・考古学的に重要な価値を持つ遺物や遺構が多く存在する可能性が高いと予測されています。そのため、建設計画に先立ってこれらの発掘調査が必要となるでしょう。

しかし、これらの発掘調査を行う上で考慮すべき点が幾つかあります。まず、計画地は大日本帝国陸軍仙台連隊区司令部第二師団兵器廠の建物位置に直接的に重なるため、土壌汚染の可能性があります。事実、今回の計画地に隣接する国際センター駅の部分で、高速鉄道東西線建設事業の建設に伴い実施された発掘調査では仙台空襲時の廃材処理に伴う埋設物や第二次世界大戦終戦後の米軍(GHQ)の施工した整地層には多量の産業廃棄物が含まれていることが確認されています。特に往々にして近代遺跡では六価クロムやヒ素などの汚染物質の検出が多いです。もし土壌汚染が確認された場合でも、汚染対策を講じた上での発掘調査が必須となり、汚染土の処理や、人力掘削に従事する作業員のための土壌汚染対策が求められます。

さらに、どの程度、大日本帝国陸軍仙台連隊区司令部第二師団兵器廠や米軍の建物群が残存しているかは未確定ですが、これらが検出された場合には、記録保存のための発掘調査に続き、その下層遺構群の発掘のため建物の基礎等の解体が発生します。この解体瓦礫の処理や、解体用大型重機、有資格のオペレーターなど、通常の発掘調査では一般的でない業務も発生する可能性があります。
以上のような点を踏まえて、(仮称)国際センター駅北地区複合施設の計画は、土地の歴史的背景とその保全を配慮しながら進められるべきであり、そのための厳密な発掘調査とそれに続く適切な対策が求められます。
参考文献 仙台市教育委員会 2007 『仙台市文化財調査報告書312:川内A遺跡 - 仙台市高速鉄道東西線関係遺跡発掘調査報告書Ⅰ-』仙台市教育委員会