石川県加賀市における大規模なアウトレットモール構想が明らかになりました。この計画は、来春の北陸新幹線開業に合わせて、加賀温泉駅近くでアウトレットモールを含む商業ゾーンを開発するもので、三重県四日市市の開発コンサルタント「長工」によりまとめられました。これは、加賀市が県外の民間事業者による提案に全面的に協力するという方針の一部で、具体的な構想が今年秋にまとまる見込みです。

しかし、計画地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当する可能性があるため、遺跡の発掘調査が実施されることが想定されます。そのため、本記事では、その可能性とそれに伴う課題について検討します。

現在わかっている「加賀アウトレット構想」とは?

Proposal for the concept was submitted by Choko, a development consultant in Yokkaichi, Mie Prefecture.
構想の提案は三重県四日市市の開発コンサルタント、長工が提出

加賀アウトレット構想は、石川県の加賀市で提案されている大規模な商業ゾーン開発計画です。その中心となるのがアウトレットモールで、これが初めての県内進出となります。

構想の提案は三重県四日市市の開発コンサルタント、長工から出されており、加賀市はこれに全面的に協力する方針を示しています。計画地は加賀温泉駅近くの加賀市医療センター南側で、農地約80ヘクタールの一部にアウトレットモールやホテルの建設が予定されています。

長工の提案によると、このアウトレットモールは北陸新幹線で加賀を訪れる観光客をターゲットに集客を図るとされています。ホテルの建設もビジネス客の利用を想定して盛り込まれており、他の業態の導入も検討されています。

具体的な構想は今年の秋にまとまる予定で、その後用地取得や出店事業者の誘致を進める計画です。一方、加賀市は開発を想定して交通状況の変化やインフラ整備に関する調査、必要な行政手続きを進める予定です。

これは新幹線開業とともに、加賀市の活性化に向けた数十年に一度のチャンスとされており、市は全面的に協力を表明しています。

なお、計画地は「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当する可能性があるため、遺跡の発掘調査が実施される可能性もあります。

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加賀アウトレット構想計画地は、「加茂かがり場遺跡」に該当

The planned site for the Kaga Outlet Concept falls under the "Kamo Kagariba Site
加賀アウトレット構想計画地は、「加茂かがり場遺跡」に該当 出典:「いしかわ文化財ナビ」

加賀アウトレット構想の計画地は「加茂かがり場遺跡」に該当します。「加茂かがり場遺跡」は過去の調査で古墳時代の木器群が出土したことで知られる重要な考古学的遺跡です。県番号607100に指定されており、種別は散布地とされています。主な時代は古墳時代で、ここからは石器、須恵器、土師器、砥石、銅環、石鏃(石製の矢じり)、サイドスクレーパーが出土しています。

隣接する周辺地域には「加茂キツネ塚遺跡」「加茂新高遺跡」「加茂ボケ生水ウラ遺跡」など、さまざまな時代の遺跡が比較的高い密度で確認されています。その概要を調査すると、弥生時代後期から中世、近世までの遺構や遺物が確認されており、これらの遺跡群から見ると、「加茂かがり場遺跡」周辺は複数の時代にわたる大規模な人々の居住地であった可能性が示唆されています。

たとえば、「加茂キツネ塚遺跡」からは弥生時代後期の自然河道や水路、時期不詳の土坑や耕作溝が確認されています。「加茂新高遺跡」では中世の素掘り井戸や溝などが見つかり、古墳時代中期から後期の埴輪片や古代の土師器、須恵器が出土しています。「加茂ボケ生水ウラ遺跡」では弥生時代終末期から古墳時代中期と中世の集落、そして近世以降とみられる田畠の区画溝と水路が確認されています。

これらの遺跡群の存在と確認されている遺物から、計画地の「加茂かがり場遺跡」も複数の時代にわたる大規模な人々の居住地であった可能性があります。このため、アウトレットモール建設前には早期の埋蔵文化財に対する対応が必要です。

今後の見通し

The planned site for the Kaga outlet concept is a rather large site
加賀アウトレット構想の計画地は、わりと大きめの遺跡

加賀アウトレット構想の計画地は「周知の埋蔵文化財包蔵地」(遺跡)に該当しており、開発に先立つ入念な調整と詳細な試掘調査が必要となっています。計画地が遺跡に該当する場合、遺構や遺物の有無を確認するための事前調査は法令に基づき必須の手続きとなっています。この調査は、加賀市産業振興部文化振興課文化財保護グループによって実施される見込みです。

試掘調査の結果、予想通りの遺構や遺物が確認されれば、開発計画次第ではさらに大規模な発掘調査へと進展する可能性があります。その場合、発掘調査の調査費用は事業者が負担します。もし複数面の遺構面の確認や旧埋没流路に木製品の遺存が確認された場合、調査費用はさらに莫大になることが予想されます。

一方、加賀市は現在、学芸員と埋蔵文化財発掘調査員を各1名、さらに職務経験者として学芸員を1名採用予定としています。これは、文化財所管部署に専門職をほぼ同時に3名も採用する異例の動きで、大規模な開発計画に対応可能な発掘調査体制の構築を目指している可能性が示唆されています。

総括すると、計画地が遺跡に該当する加賀アウトレット構想には、事前の試掘調査とそれに続く発掘調査の可能性が伴います。これには、事業者による調査費用の負担と、加賀市による適切な調査体制の確立が求められています。これらの要素がうまく連動すれば、文化遺産の保護と開発の進展を両立する道が開けるでしょう。そのための具体的なステップとして、加賀市の人員採用が進行中であり、今後のその動向が注目されます。