世界最大級の半導体企業である台湾積体電路製造(TSMC)が、日本初の工場を熊本県菊陽町に建設中です。そんな中、早くも第2工場の建設も検討されているとの噂が広がっています。今回は、熊本県菊陽町で進行中のTSMC熊本工場(JASM)周辺の遺跡情報や、第2工場建設地に関する情報をお伝えしていきます。

台湾積体電路製造(TSMC)とは?

Taiwan Semiconductor Manufacturing Corporation (TSMC) is building its first Japanese plant in Kikuyo-cho, Kumamoto Prefecture.
台湾積体電路製造(TSMC)が、日本初の工場を熊本県菊陽町に建設中

台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)は、世界最大の半導体受託製造企業であり、1987年に創業者張忠謀によって設立されました。TSMCは現在、世界で最も時価総額の高い半導体企業の一つであり、台湾最大級の企業として新竹市の新竹サイエンスパークに本社を置いています。

TSMC製の半導体製品は、補聴器からスマートフォン、クラウドデータセンター、人工衛星、科学機器、宇宙船など、幅広い電子機器に使用されています。また、TSMCは世界で最も進んだ半導体プロセス技術である5nmを用いた製造サービスを提供する最初のファウンドリでもあります。

TSMCは、全世界で6万人以上の従業員を擁し、2021年の売上高は568億米ドルとなりました。同社は、台湾だけでなく米国、中国、シンガポールなどでもファブ(半導体製造工場)事業に投資しており、2023年までに1000億米ドルを投資して製造能力の強化を計画しています。

日本においては、TSMCが過半数を出資する子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(JASM)が設立されました。JASMにはソニーセミコンダクタソリューションズとデンソーが少数株主として参画しており、熊本県菊陽町に半導体工場が建設中です。この工場は、2024年に12/16nmFinFETプロセスと22/28nmプロセス技術を用いて生産を開始する予定で、月産能力は12インチウェハで55,000枚となる予定です。

総じて、TSMCとその子会社JASMは、半導体製造の世界的リーダーとして、世界各地で製造能力の拡大に努めています。熊本県菊陽町に建設中の工場は、日本の半導体産業において重要な役割を担うことが期待されています。

TSMC熊本工場(JASM)建設にあたっての遺跡の有無

The "No. 2 Haramizu Industrial Park" is an industrial park that Kikuyo Town has been developing since around 1996.
「第2原水工業団地」は、菊陽町が1996年頃から整備を進めていた工業団地

TSMC熊本工場(JASM)は熊本県菊池郡菊陽町の第2原水工業団地に現在建設されています。ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)熊本テクノロジーセンターのお隣で、まさに工事の真っ最中ですね。熊本県菊陽町の遺跡地図を確認すると、計画地は「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当していませんでした。

Archaeological sites around the construction site of TSMC Kumamoto Plant (JASM) (known buried cultural property inclusion sites)
出典:地理院タイル(https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html)に熊本県遺跡地図データ(https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/125/90282.html,熊本県文化課文化財調査班)を追加、processing by 遺跡んぐ.

TSMC熊本工場(JASM)は「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当せず。

そもそも今回工場が建設されている「第2原水工業団地」は、菊陽町が1996年頃から整備を進めていた工業団地で、その開発にあたっては年代的に埋蔵文化財の取り扱いがなされていなかったとも考えられます。

憶測ながら、『菊陽町文化財調査報告1』として初の菊陽町教育委員会が発行した埋蔵文化財発掘調査報告書が1998年のことですので、埋蔵文化財に関する菊陽町の体制が整備され始めつつあったのは「第2原水工業団地」の着工後だったんじゃないでしょうか。「菊陽町遺跡地図」の元図は造成中と思われる「セミコンテクノパーク」が確認できます。

Ruins around the construction site of TSMC Kumamoto Plant (JASM) (well-known buried cultural property inclusion site)
TSMC熊本工場(JASM)建設地周辺の遺跡(周知の埋蔵文化財包蔵地) 出典:「菊陽町遺跡地図」一部改変

菊陽町内でTSMC熊本工場(JASM)の近隣の遺跡(埋蔵文化財包蔵地)は大人足遺跡です。時期は現状「古代」とされています。

菊陽町の可能性高まるTSMC第2工場:今後の展開は。

Where is Taiwan Semiconductor Manufacturing Company (TSMC) planning to build its second plant in Japan?
台湾積体電路製造(TSMC)日本第2工場はどこに計画?

台湾積体電路製造(TSMC)が日本での第2工場建設を検討していることが明らかになりました。熊本県・菊陽町付近に建設される可能性が高いとの報道があり、地域経済や雇用に大きな影響を与えると期待されています。しかし、一方で菊陽町は、68カ所に指定されている埋蔵文化財包蔵地があることから、工場建設による遺跡への影響も懸念されています。

TSMCは、2024年末に稼働予定の第1工場と同等規模以上の第2工場を建設することを検討しており、総投資額は1兆円以上とされています。第2工場では、5-10ナノメートルの先端プロセスを採用する可能性があり、稼働開始は20年代後半を見込んでいます。

菊陽町は、埋蔵文化財包蔵地を68カ所に指定しており、土木工事等を行う際には、文化財保護法に基づいて届出が必要となります。このため、TSMCが第2工場建設を進めるにあたっては、遺跡への影響を最小限に抑える必要があります。また、遺跡地図の範囲を示す線上及び線の周辺に位置する土地の場合は、必ずお問い合わせ並びに事前協議が求められます。

TSMCの第2工場建設に対しては、地域経済や雇用の活性化を期待する声が大きい一方で、遺跡への影響を懸念する声も根強く存在しています。蒲島郁夫知事は、「第2工場の建設地として熊本を選んでもらうためには、現在進めている受け入れ態勢を整えるのが最大のアピールになる」と強調しており、埋蔵文化財の保護と経済発展の両立を目指す姿勢を示しています。

今後、TSMCの第2工場建設が実現すれば、熊本県と菊陽町は埋蔵文化財の保護と工場建設の両立に向けて慎重な対応が求められることになります。TSMCは、地域社会や環境への配慮を重視する企業として知られており、遺跡への影響を最小限に抑えるための取り組みが期待されています。例えば、建設地の選定や工程において、文化財保護法に基づく調査や遺跡発掘調査を適切に実施し、埋蔵文化財への配慮が行われることが望まれます。

また、遺跡の発見や発掘調査の結果によっては、第2工場建設計画自体が変更される可能性もあります。そのため、TSMCや関係者は遺跡への影響を最小限に抑えるための調査や対策を行うことが重要となります。

TSMCの第2工場建設は、熊本県と菊陽町にとって大きな経済効果や雇用創出が期待される一方で、埋蔵文化財への影響を考慮した柔軟な対応が必要となります。遺跡保護と地域発展の両立が求められる中で、TSMCや関係者がどのような取り組みを行い、どのような結果を導き出すのかが今後の焦点となります。

総じて、TSMCの日本第2工場建設に関する情報は、これからも関心を持って追いかけていくべきトピックであり、熊本県や菊陽町における埋蔵文化財の取り扱いや遺跡への影響に関する懸念も、今後の動向に注目が集まるでしょう。

熊本県合志市の「東部工業団地」が有力???

熊本県合志市は、セミコンテクノパーク西側に新たな工業団地の計画を進めています。この工業団地は、「東部工業団地」と名付けられ、面積は111,861平方メートルになる予定です。選定理由は、合志市都市計画マスタープランを踏まえ、周辺地域全体の産業立地動向や道路整備状況を考慮し、適地選定を行った結果、既存企業を含む地域産業の振興を促す観点から、新たな企業と既存企業の交流を促進し、産業の集約化がもたらす相乗効果を期待して、既存工業団地等の隣接地が望ましいと判断されました。

導入すべき業種については、合志市の恵まれた立地条件を活かし、産業拠点の強化を図ることを目的として、産業振興や就業構造の中核である製造業から選定されました。具体的には、産業導入地区は半導体関連企業が集積するセミコンテクノパークに隣接しており、既存企業との関連性や今後の成長性があることから、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置製造業を導入業種として選定されました。さらに、安定した産業活動が展開できるように、半導体関連企業と関わりのある特定貨物運送業や倉庫業も導入される予定です。

この新たな東部工業団地は、合志市福原地区における産業導入地区の新設として、地域産業の振興と相乗効果を生み出すことが期待されています。半導体関連企業の集積が進む中、東部工業団地は今後の成長と安定した就業機会の確保に大きく寄与することでしょう。

参考文献

菊陽町教育委員会 1998 『菊陽町文化財調査報告1:上中原遺跡』菊陽町教育委員会