金継ぎ(kintsugi)、その名を聞くだけで心に静かな波紋を広げる、日本の伝統的な修復技法です。この美しい技術は、壊れた陶磁器を金や銀の粉を混ぜた漆(urushi)で繕い、破損した箇所をあえて際立たせることで、物に新たな命を吹き込みます。壊れたものに再び価値を見出し、その美しさを称賛するこの方法は、物を大切に長く使い続けるという日本の精神文化を体現しています。また、近年では、その持つ深い意味と独特の美しさから、世界中で新たな趣味としても人気を博しています。

そんな金継ぎに興味を持ち始めた方、またはすでにその魅力に取り憑かれている方へ向けて、この記事では、金継ぎの世界にさらに深く飛び込むためのオススメ書籍を5冊紹介します。

おうちでできるおおらか金継ぎ

著:堀道広
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『おうちでできるおおらか金継ぎ』は、愛用の器具が壊れた際にそれを修復し、長く使い続ける方法を提案する実用的な書籍です。著者の堀道広は、漫画家でありながら漆(urushi)作家としてもその技を磨いてきた、富山県出身のアーティストです。本書では、初心者でも自宅で実践可能な「金継ぎ」(kintsugi)の技法を紹介しており、読者に対して器を修復する喜びを伝えています。

金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶磁器を金や銀などの金属の粉を混ぜた漆で接着し、修復する日本の伝統的な技法です。この技法は、物を大切にする日本の精神文化を象徴しており、壊れたものに新たな価値と美を与えます。

本書の中で堀道広は、金継ぎを4つの「もっとも」に分類しています。これらは、伝統に忠実な方法、初心者でも理解しやすい簡略化された方法、体に無害な方法、そして経済的な方法です。このような分類により、読者は自分のニーズに最も合った金継ぎのアプローチを見つけることができます。

本書は以下の構成で読者をガイドします。

  1. 第1章 まずはここから – 金継ぎに必要な基本的な材料と心構えを紹介します。
  2. 第2章 金継ぎの基礎 – 漆と金粉を使用しての基本的な修復方法を解説します。
  3. 第3章 金継ぎの仕上げ – 修復した器を更に美しく見せるための仕上げ技法を学びます。
  4. 第4章 金継ぎの応用 – より複雑な修復方法や異なる材料を用いた応用技法を扱います。
  5. 第5章 キレイな金継ぎを目指して – 上級者向けのテクニックと美的センスを磨くためのアドバイスが含まれます。

富山大学芸術文化学部と石川県立輪島漆芸技術研修所での学び、文化財修復会社での経験、そして漆屋での職人としての実務経験を経て、堀道広は自身の知識と技術をこの本を通じて共有しています。彼の漫画家としての経歴も、金継ぎのプロセスを楽しく、わかりやすく伝えるのに一役買っています。

『おうちでできるおおらか金継ぎ』は、単に器を修復する技術を伝授するだけでなく、壊れたものに新しい命を吹き込み、それを通じて日本の伝統と文化を現代に伝える役割も果たしています。堀道広の指導のもと、読者はおおらかな気持ちで金継ぎの世界に足を踏み入れ、自身の手で価値ある修復を実現することができるでしょう。

金継ぎおじさん

著:堀道広
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『金継ぎおじさん』は、堀道広による独特な世界観を持った書籍であり、金継ぎ(kintsugi)という日本の伝統的な修復技術を通じて、人と物との間に存在する深い絆を描き出しています。本書は、金継ぎ師の繕井継男(つくろいつぐお)とその娘のほつれが、地域社会の中での日々の暮らしと金継ぎを通じた人々との関わりを通して、おおらかな心で生活する様子を描いています。

著者の堀道広は、富山県出身で、国立高岡短期大学(現・富山大学芸術文化学部)の漆工芸専攻を卒業後、漫画家としてデビューし、漆(urushi)職人としても活躍しています。『金継ぎおじさん』は、彼の豊富な経験と深い知識を基に、金継ぎの技術だけでなく、その背後にある哲学と生き方を伝えることを目的としています。

【金継ぎおじさんのスタイル】 繕井継男は、伝統的な技法にこだわり、直したいものにのみその技術を用いることで知られています。彼の修復スタイルは、納期を設けず、器の声や人の声に耳を傾けながら、それぞれの器に合った修理を施すことに重点を置いています。このアプローチは、金継ぎを単なる修理法ではなく、人と物との関係性を深める手段として捉えています。

【収録エピソード一覧】 本書には、金継ぎおじさんがさまざまな修復作業を行う様子や、その過程で出会う人々との交流が描かれています。各エピソードは、金継ぎの技術的な側面だけでなく、それを通じて人々がどのようにつながり、支え合っていくかを示しています。例えば、「器の声」や「急須の金継ぎ」などのエピソードでは、物に込められた意味や価値に焦点を当てています。

【著者・堀道広のコメント】 堀道広は、『金継ぎおじさん』を通じて、読者に対してほっこりとした気持ちになってもらいたいと願っています。この作品は、大らかな目で見ることで、日常生活の中に隠された美しさや価値を再発見するきっかけを提供します。

繕井継男とその娘のほつれが織りなす物語は、金継ぎという技術を超えた、人生の大切な教訓を私たちに教えてくれます。それは、壊れたものを修復することで新たな美を生み出し、人生の傷もまた、それぞれの物語の一部として受け入れ、大切にすることの重要性です。『金継ぎおじさん』は、技術的な指南書であると同時に、人生と向き合う姿勢についても考えさせられる作品と言えるでしょう。

ゆる金継ぎ: 合成うるしで、簡単&楽しい!

河出書房新社
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『ゆる金継ぎ: 合成うるしで、簡単&楽しい!』は、金継ぎ(kintsugi)という伝統的な日本の修復技術を、もっと気軽に楽しむことを提案する書籍です。本書は藤野佳菜子によって執筆され、合成うるし(synthetic urushi)を用いた金継ぎ技法を紹介しています。藤野佳菜子は美術大学を卒業後、グラフィックデザインやアクセサリーの企画など商業デザインに携わり、2010年からはフリーランスとして活動しています。現在は「金継ぎプリュス」として活動し、金継ぎの依頼を受けつつ、定期的にワークショップを開催していることから、本書の内容は彼女の豊富な経験に基づいています。

合成うるしを使用することにより、伝統的な金継ぎ技術の難易度を下げ、初心者でも手軽に挑戦できるようになっています。合成うるしは、本漆に比べてアレルギー反応を起こしにくく、乾燥時間も短いため、より気軽に金継ぎを楽しむことができます。

本書では、割れたり欠けたりした器の修復だけでなく、アクセサリー作りなど、金継ぎ技術を用いたさまざまなハンドメイドプロジェクトを紹介しています。これにより、読者は金継ぎを通じて、創造的な表現の幅を広げることができます。

『ゆる金継ぎ: 合成うるしで、簡単&楽しい!』は、金継ぎを単なる伝統技術としてではなく、現代のライフスタイルに合わせた新しい趣味やハンドメイドの楽しみ方として提案しています。このアプローチにより、金継ぎはよりアクセシブルで、誰もが楽しめる活動へと変わります。

本書を通じて、藤野佳菜子は金継ぎが持つポテンシャルを再解釈し、伝統的な技術を現代の生活に取り入れる方法を提案しています。読者は、日常生活の中で遭遇するささいな破損を、自分自身で修復する喜びを見出すことができるでしょう。また、このプロセスを通じて、物を大切にする心、そして壊れたものに新たな価値を見出す視点を育むことができます。

『ゆる金継ぎ: 合成うるしで、簡単&楽しい!』は、伝統技術を身近なものに変え、その過程で創造性を発揮する喜びを伝えることに成功しています。これは、金継ぎを学びたいと考えている人だけでなく、ハンドメイドやDIYに興味がある人々にとっても魅力的な一冊と言えるでしょう。

金継ぎの技法書: 基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで

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『金継ぎの技法書: 基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで』は、工藤かおるによって書かれた、金継ぎ(kintsugi)技法に関する包括的なガイドです。この書籍は、金継ぎの基本から始まり、色漆(colored lacquer)の応用、見立て(mitate)、そして仕上げのテクニックまで、幅広い内容を網羅しています。工藤かおるは、東京藝術大学で漆工芸を専攻し、蒔絵の重要無形文化財保持者である故・田口善国氏に師事した経歴を持つ漆芸家であり、25年以上にわたる金継ぎ教室の講師経験があります。

本書では、器の素材や釉薬(glaze)、破損の状況に応じた修理の技術と、装飾のアイデアが丁寧に解説されています。特に、壊れやすいカップの持ち手や急須の蓋の補強にダボ(dowel)を用いる技法、大きな欠損には麻布(hemp cloth)を使用する方法、色漆や金属粉(metal powder)を用いた装飾の応用など、金継ぎの応用的な技法にも詳しく触れています。

【主な内容と特徴】

  • 漆について破損の主な種類金継ぎの主な流れを紹介し、金継ぎの基本的な理解を深めます。
  • 序章では、金継ぎに必要な道具や材料を紹介し、初心者が金継ぎを始めるための基礎知識を提供します。
  • 第1章では、割れや欠け、大きな欠損など、具体的な破損の修理方法について、ステップバイステップで解説します。
  • 第2章では、金継ぎの応用技術に焦点を当て、さまざまな形状や素材に応じた修理方法や装飾のバリエーションを紹介します。
  • 本書には、修理した器の扱い方や用語解説も含まれており、読者が金継ぎに関する総合的な知識を身につけることができます。

工藤かおるの豊富な経験と深い知識が反映されたこの書籍は、漆や木工、修理の仕事に携わるプロフェッショナルはもちろん、金継ぎに興味を持つ初心者にとっても理想的なガイドブックです。本書を通じて、読者は金継ぎの技術を学びながら、壊れたものを美しく修復し、新たな価値を与える方法を探求することができます。『金継ぎの技法書: 基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで』は、金継ぎを深く理解し、実践するための決定版的な一冊と言えるでしょう。

今日からはじめる 金継ぎStart Book (角川SSCムック)

¥4,180 (2024/02/07 11:25時点 | Amazon調べ)
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『今日からはじめる 金継ぎStart Book (角川SSCムック)』は、金継ぎ(kintsugi)の基本を学び、実践するための入門書です。金継ぎとは、陶磁器のひび、欠け、割れなどの破損部分を修復し、金や銀などの金属粉で装飾して仕上げる日本の伝統的な技術です。この技術は、物を大切にし、長く使い続けることの価値を重んじる日本の文化から生まれました。

本書は、金継ぎに興味はあるが、「難しそう」と感じたり、「どう始めたらいいかわからない」という初心者を対象にしています。特に、おうち時間を有意義に過ごしたいと考えている人々にとって、新しい趣味として金継ぎに挑戦するきっかけを提供します。

【特別付録の金継ぎスターターキット】 本書の大きな特徴は、金継ぎを始めるために必要な基本的な材料を含んだスターターキットが特別付録としてついてくる点です。このキットには、合成うるし塗料、うるしうすめ液、金粉、銀粉、耐水やすり、竹串、手袋が含まれており、これらを使用して、陶器のひびの修復から始めることができます。

また、ホームセンターなどで簡単に手に入る追加のアイテムを使えば、より複雑な「欠け」「割れ」の修繕や「呼び継ぎ」(yoritsugi)などの技術も楽しむことができます。

冊子では、修復工程から装飾の線の描き方まで、大きな写真を用いてわかりやすく解説されています。これにより、初心者でも安心して、失敗することなく器を修復する経験を得ることができます。

『今日からはじめる 金継ぎStart Book』は、金継ぎの美しい世界への扉を開くための最初の一歩となるでしょう。この入門書とスターターキットを使って、読者は自分の手で壊れた器を新しい命を吹き込み、独自の美を創造する喜びを発見することができます。金継ぎを通じて、物を大切にする心と、時間をかけて何かを作り上げる過程の価値を学ぶことができるのです。

まとめ

Introducing 5 recommended books to learn the fascinating art of kintsugi and its techniques.
金継ぎの魅力とその技術を学ぶためのオススメ書籍5冊を紹介

金継ぎ(kintsugi)は、壊れた陶磁器を金や銀の粉を混ぜた漆(urushi)で修復し、傷を美しい線として際立たせる日本の伝統的な技術です。この独特の修復方法は、物を大切にし、長く使い続けるという日本の精神文化を象徴しています。近年、おうち時間の増加と共に、新しい趣味として金継ぎに注目が集まっており、その結果、多様なスタイルとアプローチを紹介する書籍が数多く出版されています。

本記事では、初心者から上級者まで、さまざまなレベルの読者が楽しめる、特に注目すべき金継ぎに関する書籍を紹介します。『おうちでできるおおらか金継ぎ』は、金継ぎの魅力と基本的な技法を紹介し、初心者にも親しみやすい内容となっています。『金継ぎおじさん』は、金継ぎ師の温かみのある物語を通じて、金継ぎの技術だけでなく、それに込められた思いやりや哲学を伝えます。『ゆる金継ぎ: 合成うるしで、簡単&楽しい!』は、合成漆を使用した手軽で楽しい金継ぎプロジェクトを提案し、DIY精神を刺激します。『金継ぎの技法書: 基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで』は、金継ぎの技術を深く掘り下げ、より高度な技法や装飾方法を学びたい読者に最適です。そして、『今日からはじめる 金継ぎStart Book (角川SSCムック)』は、スターターキット付きで、金継ぎをこれから始めたい人に向けた最初の一歩となるでしょう。

これらの書籍は、金継ぎの世界への異なる入り口を提供し、読者一人ひとりの興味やスキルレベルに合わせた学びの旅を約束します。金継ぎは単に物を修復する技術を超え、壊れたものに新たな生命を吹き込み、その美しさを再発見する芸術形態です。この伝統的な技術を通じて、物の価値を見出し、大切にする心を育むことができるでしょう。