【エジプト考古学】おすすめ最新書籍５選（2024年2月版）

古代エジプト、その名を聞くだけで心を掴む神秘のヴェールに包まれた文明は、今なお多くの謎に満ちています。ファラオ（Pharaohs）、ピラミッド（Pyramids）、ミイラ（Mummies）、そして複雑なヒエログリフ（Hieroglyphs）など、古代エジプトはその創造性と進歩の象徴であり続けています。本ブログでは、古代エジプト文明の謎に迫る五冊の書籍を紹介し、この不思議で魅力的な文明の深淵に光を当てます。

神秘のミステリー! 文明の謎に迫る 古代エジプトの教科書

『神秘のミステリー! 文明の謎に迫る 古代エジプトの教科書』は、エジプト考古学の第一線で活躍する河江肖剰（カワエ ユキノリ）氏によって監修された、古代エジプト文明に関する包括的な解説書です。ナツメ社から2023年4月18日に出版されたこの書籍は、古代エジプトに関する最新研究成果と多様な観点を取り入れ、この壮大な文明の全貌を徹底的に解剖しています。

全体像の理解

この書籍は、約3000年にわたって続いた古代エジプト文明の全体像を明らかにします。多くのファラオ（Pharaoh）たちが統治したこの時代には、神話（mythology）、建築（architecture）などの文化が花開きました。読者は、エジプトの歴史、ファラオの功績、ピラミッドや王家の谷（Valley of the Kings）などの埋葬施設の構造、人々の日常生活や死生観（views on death and the afterlife）、宗教（religion）と神々（gods and goddesses）の特徴など、古代エジプト文明の各側面を豊富な写真とイラストを通じて深く理解することができます。

最新技術で判明した新事実

河江氏は、ピラミッドがなぜ四角形なのか、ギザの大ピラミッド（Great Pyramid of Giza）に隠された未発掘の空間、スフィンクス（Sphinx）の建造目的、ツタンカーメン（Tutankhamun）ファラオの実像など、古代エジプトに関する長年の謎に光を当てます。技術の進歩が可能にした最新の発見を紹介し、古代エジプトの謎に新たな解釈を提供しています。

目次と構成

書籍はプロローグ「古代エジプト ことはじめ」から始まり、古代エジプトの歴史とファラオ、神々と死生観、ピラミッド、王家の谷、古代エジプトの神殿、そして古代エジプト人の暮らしに関する章で構成されています。各章は、読者が古代エジプト文明のさまざまな側面を段階的に理解できるよう設計されています。

監修者プロフィール

河江肖剰氏は、名古屋大学高等研究院の准教授であり、ピラミッド・タウンの発掘や三大ピラミッドの3D計測など、エジプト考古学の最前線で活躍しています。彼の業績は、2016年に米国ナショナルジオグラフィック協会からエマージング・エクスプローラーに選出されるなど、国際的にも高く評価されています。また、『世界ふしぎ発見！』やNHKスペシャルなどのメディアにも多数出演し、エジプト文明の魅力を広く伝えています。

結論

『神秘のミステリー! 文明の謎に迫る 古代エジプトの教科書』は、古代エジプトに関心を持つすべての人々にとって、最新研究と多角的な観点からこの古代文明を理解するための貴重な資源です。河江氏の専門知識と、最新技術によって解き明かされた新事実が組み合わさり、読者に古代エジプトの神秘と謎を解明する旅へと誘います。

古代エジプトの女王　王座で新しい役割を果たした6人の物語

『古代エジプトの女王 王座で新しい役割を果たした6人の物語』は、カーラ・クーニー著、藤井留美翻訳、河江肖剰監修により、ナショナル ジオグラフィックから2023年3月23日に発売された意欲作です。この書籍は、古代エジプトという巨大な帝国で王座に就いた女性統治者たちの物語を新たに再構築し、彼女らが歴史にどのように刻まれたかを探求しています。

女性統治者の新たな物語

カーラ・クーニー教授は、メルネイト、セベクネフェルウ、ハトシェプスト、ネフェルトイティ、タウセレト、クレオパトラといった、古代エジプトの女性統治者6人の生涯を詳細に追い、彼女らが約3000年にわたる王朝のそれぞれの時代でどのような役割を果たしたかを読み解きます。これらの女性たちは、なぜ女性として王座につくことができたのか、どのような統治を行い、何を成し遂げようとしたのかに焦点を当てます。

豊富な史料と生き生きとした描写

本書は、これまであまり語られてこなかった女王たちから、伝説に彩られた有名な女王まで、改めて史料を検討し、彼女らの歩みを生き生きと描き出しています。読者は、女性が王座に就くことの意味、女性統治者たちの治世、そして彼女らの遺した遺産を新しい視点から再評価することになります。

目次と構成

書籍の構成は、「はじめに」で女性が世界を支配しない理由について考察し、「おわりに」では女性が世界を支配すべき理由について論じます。各章は、個々の女王の物語を深く掘り下げ、彼女たちの統治スタイル、政治的野心、そして社会に与えた影響を詳細に説明しています。

著者と監修者の紹介

カーラ・クーニー教授は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）のエジプト学の教授で、古代社会史やジェンダー（gender）、経済（economy）に関する専門家です。河江肖剰氏は、エジプト考古学の第一人者であり、本書の監修を務めています。彼らの豊富な知識と経験は、この書籍を通じて読者に伝えられます。

結論

『古代エジプトの女王 王座で新しい役割を果たした6人の物語』は、古代エジプトの女性統治者たちの新たな物語を紐解くことで、女性の権力と影響力に関する一般的な理解を再定義します。この書籍は、歴史、ジェンダーの役割、そして権力の性質に関心のある読者にとって、貴重な資源となるでしょう。

古代エジプト人は何を描いたのか―サハラ砂漠の原始絵画と文明の記憶

『古代エジプト人は何を描いたのか―サハラ砂漠の原始絵画と文明の記憶』は、駒澤大学文学部教授であり、博士（文学）の大城道則氏によって著された、サハラ砂漠における原始絵画に関する深い洞察を提供する書籍です。2023年2月10日に教育評論社から出版されたこの作品は、太陽光の下で描かれたサハラの岩絵の謎を探求し、それらが古代エジプト文明とどのように関連しているかを探るものです。

サハラ砂漠の原始絵画の謎

本書は、キリン、牛、無数の手形など、サハラ砂漠に描かれた岩絵についての詳細な分析を行います。これらの絵画は、なぜ描かれ、何を目的として残されたのかという疑問に答えを求めます。太陽に照らされた明るい場所に描かれたこれらの絵は、ラスコーやアルタミラのような洞窟絵画とは異なり、その制作背景や意図について新たな理解を提供します。

目次と内容概要

• **第1章「サハラ砂漠を目指す」**では、サハラ砂漠への入口であるセブハや古都ジェルマ、ガラマンテス人について紹介し、サハラが研究フィールドとしてどのような価値を持つかを探ります。
• **第2章「アカクス山地の岩絵群」**では、サハラで発見された原始絵画や線刻画、そしてこれらが表現する先史時代の動物たちについて詳しく解説します。
• **第3章「世界の原始絵画遺跡」**では、原始絵画が持つ研究上の意味、世界各地の原始絵画、そして壁画が持つ空間表現の意味について掘り下げます。
• **第4章「古代エジプト文明とサハラ砂漠」**では、サハラ砂漠と古代エジプト文明との関連、シーワ・オアシス、ジェルマのピラミッド群などについて説明します。
• **第5章「文明の光は西方のサハラ砂漠から」**では、ヒエラコンポリスやジェベル・エル＝アラク、アシュートのタサ文化とバダリ文化など、古代エジプト文明に影響を与えた要素に焦点を当てます。

著者の専門性

大城道則氏は、古代史・考古学の分野で広範な知識と経験を持ち、特に古代エジプト文明に関する豊富な研究業績を有しています。彼の専門性は、サハラ砂漠の岩絵と古代エジプト文明との関連性を解明する上で、独特の視点を提供します。

結論

『古代エジプト人は何を描いたのか―サハラ砂漠の原始絵画と文明の記憶』は、サハラ砂漠の原始絵画を通して古代エジプト文明への理解を深めることを目指す書籍です。この作品は、考古学、古代史、芸術史に興味を持つ読者だけでなく、人類の創造性と表現の起源に関心を持つすべての人々にとって、貴重な資源となるでしょう。

ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース

『ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』は、エドワード・ドルニック著、杉田七重による翻訳で、東京創元社から2023年1月30日に発売された傑作ノンフィクションです。この作品は、千年以上にわたる古代エジプトの謎の文字、ヒエログリフ（Hieroglyphs）の解読に関する壮大な物語を描いています。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作家であるドルニックは、国の威信をかけた英仏両国の天才学者たちの解読競争を新たな視点で、スリリングに語ります。

ロゼッタストーンの発見と意義

ナポレオンのエジプト遠征中に発見されたロゼッタストーン（Rosetta Stone）は、ヒエログリフの解読における重要な鍵でした。この黒い石板には、上部にヒエログリフ、中部にデモティック（Demotic）、下部に古代ギリシャ文字（Ancient Greek）が刻まれており、同じ内容の文が3つの異なる文字で記されていました。この発見は、ヒエログリフの謎を解く最初の手掛かりとなりました。

解読レースの主要人物

本書では、イギリスとフランスから出た二人の天才学者、トーマス・ヤング（Thomas Young）とジャン＝フランソワ・シャンポリオン（Jean-François Champollion）の競争を中心に物語が展開します。性格も思考方法も異なるこの二人の学者が、未知の言語を解読するプロセスをどのように進めたのか、彼らの挑戦と発見の過程が詳細に描かれます。

スリリングな解読プロセス

ドルニックは、読者をヒエログリフ解読の舞台裏に引き込み、当時の学者たちが直面した難題や、解読に至るまでの試行錯誤をリーダビリティあふれる筆致で描き出します。この解読劇は、単なる学術的な挑戦以上のものであり、国際的なプレステージや個人の名声がかかった戦いでもありました。

著者と翻訳者の紹介

エドワード・ドルニックは、科学分野を中心に幅広いジャンルで活躍するジャーナリスト・作家です。彼の洞察力ある筆致は、本書を通じて古代エジプトの文字が解読された歴史的瞬間を生き生きと読者に伝えます。杉田七重は、本作品をはじめとする多くの英米文学作品を日本語に翻訳してきた経験豊富な翻訳家です。

結論

『ヒエログリフを解け』は、古代エジプトの謎に挑んだ学者たちの知られざる努力と情熱を明らかにし、ヒエログリフ解読の歴史を新たな視点から紹介する作品です。この本は、古代エジプト学はもちろん、言語学、歴史学、解読術に興味を持つ読者にとって、知識を深め、インスピレーションを与える一冊となるでしょう。

異民族ファラオたちの古代エジプト:第三中間期と末期王朝時代

『異民族ファラオたちの古代エジプト: 第三中間期と末期王朝時代』は、駒澤大学文学部歴史学科教授である大城道則氏による本格的な研究書です。2022年2月15日にミネルヴァ書房から出版されたこの書籍は、新王国時代後の中間期、特に第三中間期（紀元前1070年～紀元前664年）と末期王朝時代に焦点を当て、異民族による古代エジプトの統治について深く掘り下げます。

多様性あふれる時代の再評価

従来、社会的混乱期と見なされてきたこの時代について、大城氏は異民族のファラオがナイル世界に成立させた統治を個々のテーマを通じて議論し、その時代がいかに創造的であったかを明らかにします。第二一王朝（紀元前1069年～紀元前945年）から第二七王朝（紀元前525年～紀元前404年）にかけての異民族ファラオたちの統治下での政治的、文化的多様性を浮き彫りにし、古代エジプト史におけるこれらの時代の位置づけを再検討します。

内容概要と主要テーマ

• ウェンアムン旅行記の分析では、新王国時代末期のエジプトが直面した状況と、ウェンアムン旅行記が歴史史料として持つ価値を検討します。
• プスセンネス一世の銀の棺については、リビア文化からの影響と、古代エジプトにおける銀の重要性を探ります。
• シェションク一世のパレスティナ遠征では、聖書に記されたエジプト王の遠征と、記憶の抹消（ダムナティオ・メモリアエ）の概念を探求します。
• オソルコン三世とボッコリス王に関する章では、リビア系ファラオの墓の探索や、地中海世界における第24王朝のイメージに光を当てます。
• ヌビアのエジプト化では、第25王朝のクシュ王たちによるピラミッド建設とアムン神崇拝の採用を通じた文化伝播を考察します。
• サイス・ルネサンスおよびペルシア人王の時代の章では、古代エジプト文化の再興と外交政策、アムン神崇拝の継続と宗教拠点としてのカルガ・オアシスの重要性を議論します。

結論

大城氏は、第三中間期と末期王朝時代を通じて、異民族ファラオたちによる統治が古代エジプト文化にどのように影響を与え、その多様性と創造性をいかに促進したかを明らかにします。この時代の再評価を通じて、古代エジプト史における「社会的混乱期」という従来の見方に挑戦し、より複雑で多面的な歴史像を提示します。

『異民族ファラオたちの古代エジプト: 第三中間期と末期王朝時代』は、古代エジプトの歴史、特に異民族の統治とその時代の文化的多様性に興味を持つ読者にとって、貴重な情報源となるでしょう。大城氏の深い洞察と詳細な研究は、この時代の新たな理解をもたらします。

終わりに

古代エジプトは、その神秘と未解明の謎により、長年にわたって学者や歴史愛好家の想像力をかき立ててきました。この興味深い文明に焦点を当てた５つの書籍『神秘のミステリー! 文明の謎に迫る 古代エジプトの教科書』、『古代エジプトの女王 王座で新しい役割を果たした6人の物語』、『古代エジプト人は何を描いたのか―サハラ砂漠の原始絵画と文明の記憶』、『ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』、そして『異民族ファラオたちの古代エジプト: 第三中間期と末期王朝時代』は、古代エジプトに関する深い洞察と新たな発見を提供します。

古代エジプトの全体像の理解

『神秘のミステリー! 文明の謎に迫る 古代エジプトの教科書』は、古代エジプト文明の全貌を解き明かします。ファラオ（Pharaohs）、ピラミッド（Pyramids）、宗教（Religion）、そして日常生活（Daily Life）に至るまで、豊富な写真とイラストを用いて、読者に古代エジプトの世界を分かりやすく紹介します。

女性ファラオの影響力

『古代エジプトの女王 王座で新しい役割を果たした6人の物語』では、古代エジプトを統治した女性ファラオたちの物語を探ります。彼女たちがどのようにして権力を握り、文明に影響を与えたのかを紐解きながら、女性の力と影響力について新たな視点を提供します。

サハラ砂漠の原始絵画

『古代エジプト人は何を描いたのか―サハラ砂漠の原始絵画と文明の記憶』では、サハラ砂漠で発見された原始絵画が古代エジプト文明にどのように影響を与えたかを探求します。これらの絵画が持つ意味と、古代エジプト人がどのようにこれらの表現を文明の記憶に取り入れたのかを明らかにします。

ヒエログリフの解読

『ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』は、ヒエログリフ（Hieroglyphs）の解読における英仏両国の学者たちの熾烈な競争を描きます。この書籍は、ロゼッタストーン（Rosetta Stone）の発見から始まる解読プロセスを詳細に説明し、言語の解読が歴史をどのように変え得るかを示します。

異民族ファラオの時代

最後に、『異民族ファラオたちの古代エジプト: 第三中間期と末期王朝時代』は、異民族がファラオとして古代エジプトを統治した第三中間期と末期王朝時代を深く掘り下げます。この書籍は、異民族の統治が古代エジプト文化に与えた影響と、その時代が持つ多様性と創造性を詳細に解析します。

総括

これらの書籍は、古代エジプトに関する知識を深め、この古代文明の理解を新たな次元へと引き上げます。ファラオの統治、神話と宗教、文化的発展、そして言語の解読に至るまで、古代エジプトの神秘と謎を探求する旅は、読者にとって刺激的な冒険となるでしょう。これらの書籍を通じて、古代エジプトが今日にもたらす影響の広がりと深さを改めて認識することができます。