縄文時代の知識や文化を、現代の読者に身近に感じてもらうためのプロジェクトとして生まれたフリーペーパー「縄文ZINE」。このZINEが、一部の縄文愛好者だけでなく、広い層の人々にその魅力を伝える大きな波を作っています。その影響力は、フリーペーパーの枠を超え、さまざまな著作へと展開しています。このブログ記事では、その「縄文ZINE」から生まれた話題の著作たちをピックアップし、縄文時代の叡智や魅力、そしてそれが現代にどのように生きているのかを紹介していきます。縄文の風を感じながら、その深い魅力に触れてみてください。

土偶を読むを読む

著:望月昭秀, 著:小久保拓也, 著:佐々木由香, 著:山科哲, 著:山田康弘, 著:金子昭彦, 著:菅豊, 著:白鳥兄弟, 著:松井実, 著:吉田泰幸
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『土偶を読むを読む』は、望月昭秀(Mochizuki Akihide)をはじめとする複数の著者によって執筆され、2023年に文学通信から出版された書籍です。この書籍の主題は、竹倉史人の『土偶を読む』という先行する研究に対する大検証となっています。『土偶を読む』は、考古学の実証研究やイコノロジー研究をもとに、土偶が実際には「植物」の姿を模した植物像であるという新説を提唱しており、NHKのテレビ番組や多くの著名人たちからの賞賛を受ける一方で、サントリー学芸賞を受賞するなどの高い評価を受けました。

しかし、その成功の背景には、考古学界ではこの研究があまり評価されていないという事実があります。『土偶を読むを読む』は、その理由と、『土偶を読む』が主張する土偶の真実、そしてその論証を丁寧に検証することを目的としています。この書籍は、縄文研究の現在の位置を俯瞰し、土偶をどのように読み解き、縄文時代をどのように理解すべきかという問題についても取り組んでいます。

著者陣には、『縄文ZINE』の編集長である望月昭秀や、縄文時代の研究に携わる小久保拓也(Kokubo Takuya)、山田康弘(Yamada Yasuhiro)、佐々木由香(Sasaki Yuka)、山科哲(Yamashina Akira)、そしてアーティストの白鳥兄弟(Hakuchou Kyoudai)など、縄文研究や文化に関する様々なバックグラウンドを持つ著者が参加しています。

望月昭秀は、『土偶を読む』の検証を「雪かきに近い作業」と例え、その難しさや重要性を伝えています。しかし、その作業を通じて、読者が縄文時代や土偶に関する新しい知識や理解を得ることができるとの期待も込められています。

『土偶を読むを読む』は、縄文時代の土偶に対する新しい認識や理解を深めるための重要な書籍であり、縄文時代の研究や文化に関心を持つ人々にとって、非常に価値のある一冊と言えるでしょう。

蓑虫放浪

国書刊行会
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『蓑虫放浪』は望月昭秀(もちづき あきひで)によって著され、田附勝(たつき まさる)の写真が添えられた書籍で、2020年10月9日に国書刊行会から出版されました。この書籍は、幕末から明治期にかけて、日本全国を旅した漂泊の画人、蓑虫山人の足跡を紹介しています。

蓑虫山人は、北は青森から南は鹿児島まで、日本の各地を自由に旅していました。名所や遺跡に興味を持ち、東の名所を耳にするとそこへ足を運び絵を描き、西の遺跡の存在を知ると、それを探索し、発掘に取り組んでいました。彼の幅広い関心は、絵や書だけでなく、縄文遺物の発掘にまで及びました。この書籍では、そんな彼の放浪の足跡と、彼が残した作品や遺物に関する詳細な情報が綴られています。

著者の望月昭秀は、1972年に縄文時代の遺跡である登呂遺跡がある静岡県で生まれました。彼は株式会社ニルソンデザイン事務所の代表として、商品パッケージや書籍、雑誌などのグラフィックデザイン全般を手がけており、2015年からは『縄文ZINE』というフリーペーパーも発行しています。この背景から、望月の縄文文化への深い興味と専門的な知識が『蓑虫放浪』に反映されていることが伺えます。

一方、写真を担当した田附勝は、1974年に富山県で生まれ、デコトラやトラックドライバーをテーマにした写真集『DECOTORA』を始めとして、多くの写真集を発表してきました。彼の写真は、社会の中で見過ごされがちなものをテーマとしており、感受性豊かな視点からの撮影が行われています。この独特の視点が、蓑虫山人の生き様や作品をより深く伝えるための重要な役割を果たしています。

『蓑虫放浪』は、幕末から明治期の日本を放浪した蓑虫山人の生涯を、豊富な知識と感受性豊かな視点から紹介した書籍として、多くの読者に推薦できる作品です。

縄文人に相談だ (縄文ZINE Books)

著:望月昭秀
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『縄文人に相談だ (縄文ZINE Books)』は、望月昭秀(もちづき あきひで)によって執筆され、2018年1月24日に国書刊行会から出版された一冊です。この書籍は、現代人の日常における悩みや問題を、遥か昔の縄文時代の視点からユーモラスに解答するという、斬新な内容を持っています。

タイトルからもわかるように、書籍の内容は縄文時代の人々に現代の悩みを相談するという設定となっています。例えば、「お金ってなんですか? どんぐりのことですか?」といった、現代と縄文時代の価値観や生活スタイルのギャップを楽しむことができます。このように、現代人の多様な悩みに対して縄文時代の視点からの回答が織り交ぜられており、読者に笑いと同時に新しい視点や考え方を提供してくれます。

書籍は、話題となっているマガジン『縄文ZINE』から派生して生まれました。『縄文ZINE』は縄文時代の事のみを取り扱う雑誌として知られ、望月昭秀はその編集長を務めています。この書籍には、縄文的な視点から現代人の約80の悩みに対する回答が収録されていますが、縄文時代と現代とのギャップから、回答が必ずしも現代の悩みに即していないこともしばしば。そのため、時には話が噛み合わないこともあるとのことですが、それが逆に本書の魅力となっています。

著者の望月昭秀について、彼は1972年に縄文時代から弥生時代の遺跡である登呂遺跡がある静岡県で生まれました。彼は、株式会社ニルソンデザイン事務所の代表として、グラフィックデザインの分野で幅広く活動しており、特に2015年からの『縄文ZINE』の発行を通じて、多くのメディアへの露出も果たしています。

『縄文人に相談だ (縄文ZINE Books)』は、現代の悩みと古代の視点との交差を楽しむことができる、ユニークな内容の書籍として多くの読者におすすめできる一冊です。

縄文力で生き残れ: 縄文意識高い系ビジネスパーソンの華麗なる狩猟採集的仕事術100 (縄文ZINE Books) 

『縄文力で生き残れ: 縄文意識高い系ビジネスパーソンの華麗なる狩猟採集的仕事術100』は、望月昭秀(もちづき あきひで)著による、縄文時代から学ぶビジネス術を紹介する書籍であり、2018年7月11日に創元社から出版されました。

この書籍の核となる思想は「みんな、縄文人みたいに働けばいいのだ」という一文に集約されています。近年、縄文時代に関連する特集や特別展、映画、書籍などが増加しており、縄文カルチャーが社会に再び注目される「縄文ブーム」が巻き起こっています。そんな熱い波の中で、特に注目を集めるのがフリーペーパー『縄文ZINE』。この書籍は、その『縄文ZINE』から竪穴式(pit dwelling)にインスパイアを受けてスピンオフして生まれたものとなっています。

書籍の大きな特色として、縄文時代の生き方や思考を現代ビジネスの現場に落とし込むアイデアが探求されています。主張されるのは、現代人が持つべき縄文的発想を、ビジネスの現場での仕事術として取り入れること。そして、この縄文的発想と現代のビジネス環境とをマリアージュ(marriage、結合)させることで、新しい視点やアイディアが生まれるというもの。

例えば、「ビジネスとは『狩り』であり、理想の上司は『森』である」という比喩を通じて、ビジネスの本質や職場環境の理想像を縄文時代から学び取ることが提案されています。縄文時代は1万年以上にわたって続いた時代であり、そこから学ぶことは非常に価値があると本書では伝えられています。

この書籍は縄文時代の思考や価値観を、現代ビジネスの現場に活かす方法を探求するものとして、新しい視点や考え方を求めるビジネスパーソンに強くおすすめできる一冊となっています。

縄文ZINE(土) (フリーペーパー合本)

著:縄文ZINE編集部, 著:望月昭秀, イラスト:前田はんきち, イラスト:小山けん, イラスト:高橋由季, イラスト:北野智也, その他:松岡宏大, その他:大高志帆, その他:ヤミラ, 写真:楯まさみ, 写真:杉能信介
¥1,628 (2023/10/25 11:07時点 | Amazon調べ)

縄文時代(Jomon Period)は、日本の古代の時代であり、多くの日本人が名前は知っているものの、詳細については「よくは」知らないのが現状です。この不思議で魅力的な時代をもっと身近に感じ、理解するために『縄文ZINE』というフリーペーパーが2015年の夏に誕生しました。この刊行物の背景には、縄文時代の魅力をより多くの人々に伝えたいという熱意があります。

『縄文ZINE』は金銭のやり取りなしで手に入る縄文的な交易財としての位置付けとなり、都会の縄文愛好者たちの間で瞬く間に話題となりました。配布される場所が限られているため、いくつかの話によれば、このフリーペーパーを入手するために数時間も車で移動したという熱心な縄文ファンも少なくありませんでした。

そして今回、特に人気で入手が難しかった1号から4号までを1冊にまとめた『縄文ZINE(土) (フリーペーパー合本)』が登場しました。この合本には、単に既存の内容をまとめただけでなく、新しい企画も掲載されています。特に、表紙には片桐仁さんのインタビューが掲載されており、非常に興味深い内容となっています。多くの読者に、このインタビューを読んで欲しいとのことです。さらに、特別企画として、縄文時代に続く弥生時代(Yayoi Period)に焦点を当てた「YAYOI ZINE」も収録されています。

出版元は「ニルソンデザイン事務所」となっており、2018年1月27日に発売されました。縄文時代の魅力や縄文愛好者たちの情熱を伝えるためのこの特別なZINEは、歴史愛好者はもちろん、一般の読者にも楽しんでいただける内容となっています。

まとめ

Learn from Jomon zines, the appeal of Jomon and its message to the present day.
縄文ZINEから学ぶ、縄文の魅力と現代へのメッセージ

縄文時代(Jomon period)は日本の歴史の中でも特に独特な文化と伝統を持つ時期であり、その魅力は現代においても多くの研究者や愛好者によって再評価され続けています。今回紹介した5つの書籍・フリーペーパーは、縄文カルチャーを異なる角度から掘り下げたもので、それぞれが縄文時代の多面的な魅力を伝えています。

『土偶を読むを読む』は、縄文時代の象徴的な土製品、土偶(Dogu)に焦点を当て、その背後に隠された意味や歴史的背景を探求します。これを通じて、縄文人の宗教観や世界観が垣間見える。

次に、『蓑虫放浪』は縄文時代の生活や風俗を、蓑虫(Minomushi)という小さな生き物の視点から描写しています。この独特なアプローチにより、読者は縄文人の日常生活や自然との関わり方を、より身近に感じることができます。

『縄文人に相談だ (縄文ZINE Books)』は、現代の悩みや問題を縄文時代の視点から解決するという斬新なアイディアを提案しており、歴史と現代を巧みにつなぐ内容となっています。

『縄文力で生き残れ: 縄文意識高い系ビジネスパーソンの華麗なる狩猟採集的仕事術100 (縄文ZINE Books)』は、ビジネスの現場において縄文時代の思考や価値観をどのように活かすかというテーマに焦点を当てています。縄文の哲学や生き方を、現代ビジネスのアイディアや戦略に応用する方法を探求しています。

最後に、『縄文ZINE(土) (フリーペーパー合本)』は、縄文カルチャーを広めるためのフリーペーパーとして発行されているもので、縄文に関するさまざまなトピックや情報が網羅されています。

これら5つの著作を通じて、縄文時代の深い歴史や文化、そしてその現代への影響や活用方法を学ぶことができます。縄文時代は遠い昔の出来事ではありますが、これらの書籍によって、その魅力や価値を再認識し、現代の生活や仕事に役立てるヒントを得ることができるでしょう。