伊藤若冲、この名を耳にしたことがある方も多いでしょう。江戸時代を代表するこの画家は、その独特の画風と色彩感覚で、今も多くの人々を魅了しています。しかし、若冲の真の魅力や彼の背後にある物語、そして彼の作品に秘められたメッセージを深く知りたいと思ったことはありませんか?今回は、伊藤若冲に関する5つの注目書籍をご紹介し、その魅力を一緒に探っていきたいと思います。彼の世界をさらに深く、そして新しい角度から感じ取る手助けとなるでしょう。

学習まんが 世界の伝記NEXT 伊藤若冲

イラスト:春野 まこと, 著:景山 由美子, 監修:岡田 秀之(福田美術館)
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『学習まんが 世界の伝記NEXT 伊藤若冲 (集英社版・学習まんが 世界の伝記NEXT)』は、2023年3月24日に集英社から発売された新刊で、江戸時代の天才絵師と称される伊藤若冲の生涯を漫画(manga)形式で紹介しています。

伊藤若冲は、江戸時代中期に京都の青物問屋の家に生まれました。幼いころから絵を愛し、20代初めに父を亡くしてからは、家業の青物問屋の主人としてその責任を果たすものの、絵への情熱を捨てきれず、40歳で家業を弟に譲り、画家としての道を選びます。彼の作品は、鳥や虫、魚、野菜、植物など、さまざまな生き物や植物を繊細かつ鮮やかに描き出すもので、彼の独特の技法と表現力が光ります。特に代表作『動植綵絵』は、2021年に国宝に指定されるなど、近年の再評価の中心となっています。

この書籍は、そんな彼の華やかな絵師としての生涯を、漫画という形式を通して楽しく、かつ深く知ることができる1冊です。伊藤若冲が用いた絵の技法、例えば「裏彩色」「筋目描き」「マス目描き」なども、イラストや漫画の中で分かりやすく説明されており、読者は彼の技術や情熱に触れることができます。

また、本書の特徴として、

  • 漫画形式であるため、読みやすく理解しやすい。
  • ふりがながついているので、小学校の低学年の子供たちでも楽しめる。小学生にもオススメ。
  • さらなる理解を助けるための解説や年表、その他の関連記事も豊富に収録。

という点が挙げられます。具体的な内容としては「裕福な商家の息子」としての彼の背景、「四代目桝屋源左衛門」としての家業の日々、画家としてのデビュー、そして「9つの質問でわかる! 伊藤若冲ってこんな人」というQ&A形式のコーナーなどが含まれています。

この書籍を手にとることで、伊藤若冲の魅力や彼が追い求めた美の世界、そして彼の人生についての理解を深めることができるでしょう。

カラー版 奇才絵師・伊藤若冲の謎 (宝島社新書) 


『カラー版 奇才絵師・伊藤若冲の謎 (宝島社新書)』は、2022年11月26日に宝島社から発売された、監修者・小林 忠氏による伊藤若冲の生涯と作品を深く探求する書籍です。

伊藤若冲は史上最強の天才絵師とも称される画家で、特にその繊細な描写技法で動植物を美しく鮮やかに描いた作品は多くの人々に称賛されています。彼の生涯は多くの波瀾に満ちており、幼少の頃から絵画に情熱を燃やしていました。その技術はほぼ独学で習得されたもので、非常にユニークなスタイルを持っていたことが知られています。しかし、彼の父親の早逝により家業を継ぐこととなり、一時期画家としての活動を停止させる運命になりました。それでも、その熱意を捨てきれず、40歳で遅咲きながらも画家としてのデビューを果たします。

特に彼の代表作ともされる「動植綵絵」は、全三十幅の作品が2021年に国宝に指定され、日本美術史上においても非常に高い評価を受けています。この書籍では、その「動植綵絵」をはじめとする作品群がオールカラーで掲載されており、読者は若冲の繊細な技術と魅力的な表現を間近で感じることができます。

また、若冲は「私は理解されるまでに1000年の時を待つ」との言葉を残していると言われています。この言葉の背後にはどのような真意があったのか、その謎を解明することも本書のテーマの一部となっています。近年、ますます多くの人々に愛されるようになった伊藤若冲の作品の誕生背景や、そのユニークな存在感の源泉とは何だったのかを、この書籍を通して探求することができるでしょう。

伊藤若冲 (伝統の美がひかる!江戸時代の天才絵師)

監修:山下 裕二, イラスト:山中玲奈
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『伊藤若冲 (伝統の美がひかる!江戸時代の天才絵師)』は、美術史家であり明治学院大学文学部芸術学科の教授である山下裕二氏が監修し、イラストレーターの山中玲奈氏がイラストを手掛けた、2022年2月10日にほるぷ出版から発売された書籍です。

伊藤若冲は、江戸時代に活躍した絵師で、彼の描いたリアルかつ神秘的な生き物たちの絵は、多くの人々を魅了してきました。彼のまじめな性格と、自然を真摯に観察する姿勢が、その作品の中に息づいています。若冲は常に自身の表現方法を工夫し続け、その独自のスタイルで多くの作品を生み出しました。その結果、彼は日本美術の中でも最も人気のある絵師として知られるようになりました。

本書では、伊藤若冲の簡単な伝記を紹介するとともに、2021年に国宝に指定された『動植綵絵』をはじめとする彼の代表作をわかりやすく紹介しています。また、大判のサイズを活かして、作品を大きく掲載し、そのテーマや技法、そして若冲の工夫について詳細に解説されています。さらに、各絵師の特色を理解しやすくするための親しみやすいコラムも掲載されており、読者はより深く伊藤若冲の魅力に触れることができます。

この書籍は、学校や図書館向けに制作されており、特に小学生におすすめの内容となっています。一冊を手にすることで、伊藤若冲の世界がより深く理解できること間違いなしです。

著者の山下裕二氏は、広島県生まれの美術史家で、東京大学大学院を修了。室町時代の水墨画を研究の起点として、縄文時代から現代に至るまでの日本美術に幅広く関心を持って研究を行っています。彼の著書には、『日本美術の底力 「縄文×弥生」で解き明かす』や『未来の国宝・MY国宝』などがあります。

イラストを担当した山中玲奈氏は、東京都出身のイラストレーターで、広告や雑誌を中心に活躍しています。2015年からはイラストレーターとしての活動を本格化させており、その才能は本書の中でも存分に発揮されています。

遊戯神通 伊藤若冲

小学館
¥770 (2023/10/25 13:19時点 | Amazon調べ)

伊藤若冲(Jakuchu)は、江戸時代における天才絵師としてその名を高く掲げられる存在です。河治和香の『遊戯神通 伊藤若冲』は、この若冲の人物像と技法、そして彼にまつわる秘密や物語を明治と江戸、二つの時代軸を使って魅力的に描き出した長編小説です。

物語は、明治37年(1904年)のセントルイス万博を起点に展開します。ここには「若冲の間」というパビリオンが出現し、その結果として「Jakuchu」の名は世界的に知れ渡ることとなる。しかし、この「Jakuchu」の名を世界に知らしめたのは一体誰だったのか、その謎を追うのが神坂雪佳、京都の図案家です。彼は、若冲の末裔を名乗る芸者から、美以という美しい女性、通称「若冲の妹」として知られる人物についての話を聞きます。

物語は、宝暦13年(1763年)に遡り、京都の青物問屋「枡源」に美以が少女としてやって来た場面から描かれる。彼女は、主である若冲の飼っている珍しい生き物たちの世話をする役割を持っていました。しかし、美以と若冲との関係はそれだけでは終わらず、若冲は彼女を自分の弟に嫁として与えます。その後も美以は、若冲のそばで「若冲の妹」として秘めた想いを持ち続けることとなる。

物語の中心となるのは、若冲の代表作『動植綵絵』の完成間際に起こる、錦市場での大きな事件と、その後の天明の大火。これらの事件を通して、若冲が真の絵師としての復活を遂げる過程が描かれています。そして、そのすべての背景には、常に美以の存在があるのです。

著者、河治和香は東京都出身で、CBSソニーを経て日本映画監督協会に勤務。彼女は『秋の金魚』で小学館文庫小説賞を受賞し、その後も多くの賞を受賞しています。特に、『がいなもん 松浦武四郎一代』では、第25回中山義秀文学賞と第13回舟橋聖一文学賞を受賞しています。

この作品は、若冲の絵師としての魅力や技法だけでなく、彼の周りの人々との関係や、江戸と明治という異なる時代の背景を通して、若冲の深い人間性や彼の作品に秘められたメッセージを読者に伝えることを試みています。

伊藤若冲 動植綵絵 全三十幅

小学館
¥55,000 (2023/10/25 13:21時点 | Amazon調べ)

伊藤若冲(Ito Jakuchu)は、近年日本美術界における注目される存在であり、彼の畢生の代表作『動植綵絵』(Doshoku Sai-e)はその中でも特に評価されています。本書籍『伊藤若冲 動植綵絵 全三十幅』は、東京文化財研究所(Tokyo Cultural Heritage Research Institute)と宮内庁三の丸尚蔵館(Miyaino-Maru Shozokan of the Imperial Household Agency)が編集し、小学館(Shogakukan)から2010年1月25日に発売されました。

この画集は、動物や植物をテーマにした30枚の作品が収められており、それぞれの作品がなぜ傑作と称されるのか、その背後にある描法や画材の秘密を初めて深く探求しています。若冲の作品は芳醇で濃密な色彩が特徴で、特に仏画で見られる「裏彩色」(a method of painting where pigments are applied to the back of translucent paper or silk, giving the artwork a luminous appearance)の技法を用いることで、その色彩が一段と鮮やかに際立っています。

また、彼の進取の気性は、海外から取り入れた新しい顔料、プルシアンブルー(Prussian blue)を日本の絵画に早くから取り入れたことからも伺えます。このような背景を持つ彼の絵は、細部にわたるこだわりや情熱が感じられるもので、一枚一枚の作品には彼の全身全霊が込められています。

この画集では、最新のデジタルカメラ技術を駆使して、若冲の作品の細部を詳細に捉えた画像が収録されており、それらの画像は最先端の印刷技術を用いて再現されています。このようなハイクオリティな内容により、読者は若冲の絵画の深みや技術、彼の持つ圧倒的な才能に改めて気づかされることでしょう。

まとめると、『伊藤若冲 動植綵絵 全三十幅』は、伊藤若冲の傑作である『動植綵絵』の魅力を、最新の技術を駆使して詳細に解説した、美術愛好者や専門家にとっても非常に価値のある一冊となっています。

伊藤若冲関連の書籍紹介:総括

Explore: Jakuchu Ito's profound contribution to the art world
探求:伊藤若冲の奥深い美術界への貢献

伊藤若冲(Ito Jakuchu)は、江戸時代を代表する画家として知られていますが、彼の生涯や作品に関する数々の書籍が出版されており、それぞれ異なるアプローチや視点から彼の世界を探求しています。

『学習まんが 世界の伝記NEXT 伊藤若冲 (集英社版・学習まんが 世界の伝記NEXT)』は、特に若い読者向けにデザインされた書籍で、伊藤若冲の生涯や業績を漫画(manga)の形式で楽しく学べる内容になっています。視覚的なストーリーテリングを通じて、彼の人生や作品に触れることができるのはこの書籍の大きな魅力です。

『カラー版 奇才絵師・伊藤若冲の謎 (宝島社新書)』は、彼の作品や技法に関する謎や未解明の部分に焦点を当てています。色彩豊かなイラストや写真を使用して、読者に深い理解を促す構成となっており、専門家でも学び取ることの多い一冊と言えるでしょう。

『伊藤若冲 (伝統の美がひかる!江戸時代の天才絵師)』では、彼が活躍した江戸時代(Edo period)の文化や背景を踏まえつつ、若冲の天才的な才能や独自の美意識を紐解いています。時代背景との関連性を深く掘り下げることで、彼の作品の本質に迫る試みがされています。

『遊戯神通 伊藤若冲 (小学館文庫)』は、伊藤若冲の人間性や日常に焦点を当てた内容となっており、彼の私生活や人間関係を通じて、その芸術家としての姿勢や哲学を感じ取ることができます。

そして、『伊藤若冲 動植綵絵 全三十幅』は、彼の代表作である「動植綵絵」に特化した書籍で、その作品の背後にある描法や使用された画材について詳しく解説しています。最新の技術を駆使した写真や解説を通じて、若冲の作品の奥深さや魅力を再認識することができるでしょう。

総じて、これらの書籍は伊藤若冲に関する様々な視点やアプローチを提供しており、彼の生涯や作品、そしてその背後にある情熱や哲学を深く理解するための重要なガイドとなっています。興味を持った読者は、これらの書籍を通じて、伊藤若冲の世界をさらに深く探求することができるでしょう。