日本の文化の根底にある神道と神々、そしてその神々が祀られている神社。その魅力と深淵を探るための5つのキーガイドとなる書籍を今回ご紹介します。それぞれが神々や神社に対する独自の視点を提供し、我々の理解を豊かにすることでしょう。
古事記の謎を解き明かす『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』、神社のディープな魅力を解説する『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』、子供向けに神社をわかりやすく紹介する『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』、神道学の基本を学ぶ『プレステップ神道学 第2版』、そして神々の個性と歴史を図解する『日本の神様 解剖図鑑』。
これらの書籍は、一見異なる角度から日本の神々と神社を描き出しているように思えますが、その中には共通するテーマがあります。それは、日本の神々と神社が持つ深い魅力とその奥深さを我々に理解させ、そして魅せてくれるということです。これらの書籍を通じて、我々は神々や神社の世界をより深く、より広く理解することができます。興味深い冒険の始まりを、ここから始めてみませんか?
『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』
神秘に満ちた日本の神社と古事記の世界を解明した『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』は、日本の神話、文化、歴史の源泉である「古事記」の謎を解き明かします。元國學院大學神道文化学部教授の三橋健によって編集され、2023年7月20日にウェッジ出版社から出版されたこの書籍は、古事記の編纂者、太安万侶(Ō no Yasumaro)の没後1300年を記念して作られたものです。
この『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』の核心は、「古事記」の神話や伝説の舞台とされる地域や聖地の研究にあります。ここでは、日本各地に点在する古事記に繋がる神社や古墳、遺跡を30ほどピックアップし、それぞれの由緒と地域の特性を詳細に紹介しています。
取り上げられる主な舞台としては、神話の舞台とされる高天原(Takamagahara)やオノコロ島(Onogoro Island)、黄泉国(Yomi)と黄泉比良坂(Yomotsu Hirasaka)、天岩戸(Ama-no-Iwato)、出雲(Izumo)、諏訪(Suwa)、高千穂(Takachiho)、海神宮(Watatsumi Shrine)、神武東征(Emperor Jinmu’s Eastern Expedition)、三輪山(Mount Miwa)、ヤマトタケル(Yamato Takeru)、神功皇后(Empress Jingū)と九州、アメノヒボコ(Ameno Hiboko)、葛城(Katsuragi)などがあります。
『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』は4つの章と4つのコラムから成り、それぞれが独立していますが、全体としては一つの連続したストーリーを描いています。古事記の神話を体験する第1章と第2章、古代天皇の足跡を追う第3章と第4章で構成され、それぞれの章には関連するコラムが挿入されています。
序文では、「古事記」が天武天皇によって初めて命じられ、太安万侶によって完成させられた経緯が詳細に説明されています。古事記が記述された背景となる政治的・社会的な情況が、その内容と深い関連性を持つことが明らかにされています。
また、この序文は、現代の読者がコロナウイルスのパンデミックを経験した後、古事記の意義を再評価するきっかけを提供します。古事記の中に描かれた疫病のエピソードを通じて、私たちがどのように病状の終息後の生活を送るべきかを示唆しています。
総じて、この『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』は、「古事記」の神話と地理的な現実を繋げることによって、日本の神話と歴史、文化の深層を探求することを可能にします。そして、これらの古代の物語が現代の日本人の生活といかに繋がっているかを示し、古事記が今日でも日本人の心と生活に深い影響を与えていることを強く考えさせられます。
『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』
『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』は、渋谷 申博氏によって2020年に日本文芸社から出版された神社に関する情報満載の一冊です。
『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』の目的は、素朴な疑問形式で神社についての基礎知識を提供し、さまざまな視点からその魅力を紐解くことにあります。「神社って、何のためにあるの?」、「最強の神様はアマテラスなの?」、「犬や猫の神社があるってホント?」などの疑問をスタート地点として、神社の存在意義や神々の階級、または特異な神社の存在まで、幅広いテーマを取り上げています。
また、『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』は『古事記』や『日本書紀』に登場する神々、イザナギ(Izanagi)、イザナミ(Izanami)、アマテラス(Amaterasu)、スサノオ(Susanoo)、オオクニヌシ(Ookuninushi)などのストーリーや、それらの神々と関連する神社、開運神社についても詳しく解説しています。
神社参拝がより楽しくなるよう、祭神の由来や神々の性格(ご神格)を知ることを推奨しています。それぞれの神社がどのような神を祭っているのか、それらの神々の特性は何かという知識は、神社や神々に対する理解を深め、参拝の経験をより充実したものにするでしょう。
さらに、恋愛成就、健康祈願、金運、成功運向上などの願いを叶えるとされる神社の情報はもちろん、戦国時代の武将と関わりの深い神社、漫画やアニメ、有名人によって聖地とされる神社、また絶景が広がる神社といった、通常の観光ガイドではなかなか得られない情報も提供しています。
この『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』は、神社の知識を深め、参拝の意義を理解し、また日本の文化や歴史について新たな視点を提供するエンターテインメント教養本です。初心者から神社通まで、幅広い読者にとって参考になる一冊と言えるでしょう。
『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』
『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』は、佐々木秀斗氏によって2022年に桜の花出版から出版された神社についての詳細な図鑑です。
佐々木秀斗氏は、東京生まれの若き研究者で、祖母の影響で朝鮮の歴史や中国の歴史に深い知識を持つようになりました。彼が小学4年生の時、新型コロナウイルスによる長期休校中に神社についての研究をまとめ、それが本書の始まりとなりました。テレビ朝日の番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に「三国志」博士および「日本の神様」博士として出演し、その頭脳と情熱で視聴者を魅了してきました。
『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』は総ルビ・フルカラーで作られており、小学生から大人まで楽しく読むことができます。前半部分では、日本最古の書物『古事記』から有名なエピソードをやさしく紹介します。イザナキ(Izanaki)とイザナミ(Izanami)、アマテラス(Amaterasu)やスサノオ(Susanoo)、オオクニヌシ(Ookuninushi)、ヤマトタケル(Yamato Takeru)などの神さまたちが、佐々木氏のかわいらしいイラストと共に登場します。
後半部分では、鳥居(Torii)、社殿(Shaden)、狛犬(Komainu)、御神体(Goshintai)といった神社の建物や、お参りの仕方、お祭りや七五三など、知っているようで知らない神社と日本文化について楽しく学べます。
さらに、「神社にいる動物図鑑」「世界遺産の神社」「日本全国おもしろ鳥居」「神さまにも得意分野があるよ」「神社は日本の歴史を動かした!」といったテーマも取り扱っており、大人も楽しみながら神社と日本の歴史に親しみ、理解を深めることができます。
この『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』は、自由研究や自主学習の参考書としてもおすすめです。佐々木秀斗氏の独特な視点と丁寧な解説は、初心者から専門家まで、幅広い読者にとって有益な情報を提供するでしょう。子供から大人まで、神社に興味のあるすべての人々にとって、一冊手元に置きたい本と言えるでしょう。
『プレステップ神道学 第2版 (プレステップシリーズ 09) 』
『プレステップ神道学 第2版 (プレステップシリーズ 09)』は、國學院大學神道文化学部によって編集された、神道についての包括的なガイドブックです。2023年に弘文堂から第2版が出版され、現代の視点から神道を再評価することを目指しています。
神道(Shinto)は、日本固有の民族宗教であり、教義や教典を持たず、神事や生活上の慣習として受け継がれる特性を持つ宗教です。自然の生命力を崇拝し、万物との調和を重んじる神道の思想は、日本文化や日本人の心性に大きな影響を与えてきました。最近では、環境保護の視点からも神道の価値が世界的に再評価されています。
『プレステップ神道学 第2版 (プレステップシリーズ 09)』は、神職を多数輩出してきた國學院大學の教授陣によって編纂された神道への入門書で、高評価を受けた初版から10年を経て全面改訂されています。神道の概要や歴史を理解できるだけでなく、初学者に配慮してルビが多用され、難解な用語には解説が付けられ、親しみやすさを追求しています。
『プレステップ神道学 第2版 (プレステップシリーズ 09)』は4部構成となっており、各部では神道について異なる角度からの考察を提供しています。
第一部「さまざまな角度からみる神道」では、文献、神話、考古学という3つの視点から神道を理解しようと試みています。
第二部「歴史からみる神道」では、古代から近代までの神道の歴史を概観します。
第三部「現代社会からみる神道」では、現代の文化と神道との関連性や、神社を取り巻く多様な問題について解説しています。
最後の部分「祭りからみる神道」では、神道と民俗、祭りの作法、祭りの知識と備えについて、具体的かつ詳細に解説しています。
『プレステップ神道学 第2版 (プレステップシリーズ 09)』は、神道について初めて学ぶ人から専門家まで、あらゆる読者が神道の理解を深めるための貴重な資料となるでしょう。日本の宗教文化に興味がある人や、神道についてより深く知りたい人にとって、この本は欠かせない一冊となるでしょう。
『日本の神様 解剖図鑑』
『日本の神様 解剖図鑑』は、平藤喜久子著による、日本の神々についての包括的な解説書です。2017年にエクスナレッジから出版され、神々の個性とその歴史について深く知ることで、開運の道を開くという視点を提供しています。
『日本の神様 解剖図鑑』は、日本の神様(Japanese gods)の多様性と個性を明らかにすることを目的としています。日本には数多くの神様が存在し、それぞれが独特の特性と個性を持つことから、本書は神様たちを完全図解し、その知識を深めることで、ご利益の起源や日本の歴史、宗教観など、日本文化の理解を深めることを目指しています。
『日本の神様 解剖図鑑』は以下の4章から構成されています:
序章では、神様の系譜を簡単に説明し、日本の神様がどのように生まれ、世界中の神話とどのような共通点があるのかを解説します。また、日本の神と仏教(Buddhism)との関係についても詳しく説明しています。
1章では、日本の形成に大きな役割を果たした古事記の神様について図解し、それぞれの神様のエピソードを通じて日本の成り立ちを描き出します。
2章では、酒呑童子のような乱暴者や、狐のように美女に化けて混乱を引き起こす神様など、個性的でダークな神様を紹介しています。
3章では、日常生活の中に存在する神様を紹介します。家の中にも、各方角にも、道ばたにも神様がいることを説明し、その出自が物、人間(外国の方も含む)、仏教、陰陽道とさまざまであることを示しています。
4章では、良縁、安産、成功、富など、願いを叶えてくれる神様について解説します。それぞれの神様の素性を紹介し、そのご利益(benefits)に迫っています。
著者の平藤喜久子は、山形県出身で、現在は國學院大學の日本文化研究所教授として活動しています。専門は神話学で、『日本の神様と楽しく生きる』『神社ってどんなところ?』など、神と日本文化についての著書が多数あります。
『日本の神様 解剖図鑑』は、神話から自然物の神、異形の神、方角・季節の神、家の中や道ばたにいる神まで、日本の神々の多様性と深さを理解するための貴重なガイドです。神社やパワースポットへの参拝時に、そこにいる神様が誰なのかを理解するための、頼りになる一冊と言えるでしょう。
まとめ
日本の神々と神社の魅力を探求するための5つの鍵とも言える書籍を今回ご紹介しました。それぞれが独自の視点から神々と神社の深淵を解き明かし、我々の理解を豊かにする素晴らしい教材となっています。
『古事記に秘められた聖地・神社の謎 八百万の神々と日本誕生の舞台裏』は、日本最古の歴史書である古事記を軸に、神社と神々の謎に迫ります。古事記に登場する神々と聖地、その関連性について解説し、日本の神々と宗教文化の起源を探求します。
次に『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話: 素朴な疑問でわかる 神社のディープな魅力』は、神社の基本的な情報から深層まで解説し、神社にまつわる素朴な疑問を楽しく解き明かす一冊です。日本全国の神社のエピソードやご利益、祭りや神々についての知識が詰まっています。
『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』は、子供でも理解できるように神社や神々を紹介する一冊です。親しみやすい言葉とイラストを用いて、神々や神社の知識を身近なものにします。
『プレステップ神道学 第2版 (プレステップシリーズ 09) 』は、神道の基本的な概念から歴史、神々の解釈までを学べる一冊で、より深い理解を得るための教科書として役立ちます。
最後に『日本の神様 解剖図鑑』は、神々の個性と歴史について深く知ることで開運の道を示す一冊です。神々の多様性と個性を明らかにし、神様たちを完全図解することで、日本文化の理解を深めることを目指しています。
これら5つの書籍はそれぞれ異なる角度から日本の神々と神社を描き出しており、一冊ずつ読み進めることで、神々や神社の奥深い世界をより広く、深く理解することができます。神社や神々に興味がある方、これから学んでみたいと考えている方にとって、これらの書籍は素晴らしいガイドブックとなるでしょう。