仏像は、人々が心の平和を求めたり、生活の質問に答えを見つけたりするために通常参照する、芸術と宗教の象徴です。日本の仏像は、その卓越した技術と美的価値で世界中から注目されています。しかし、ただ美しいだけでなく、仏像の背後には豊かな歴史、文化、宗教の知識が隠されています。

そこで今回、仏像の世界に足を踏み入れたい方、既に仏像に魅了されている方、そしてもっと深く理解したい方のために、様々な視点から日本の仏像を探求する5冊の書籍を紹介します。

『日本の美仏図鑑』、『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』、『駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 (集英社新書)』、『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』、そして『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』。これらの書籍はそれぞれ異なる角度から仏像の世界を解説し、仏像とその背後にある深い意味を理解するのに役立ちます。

一冊ずつその特徴を詳しく見ていきましょう。美の追求、歴史的な謎解き、入門者へのガイド、図解による理解の深化、そして仏像と我々のつながりの探求…どれも魅力的で、あなたの仏像に対する理解と愛着を一段と深めてくれるでしょう。これらの書籍を通じて、日本の仏像の美しさと深淵を一緒に探求していきましょう。

『日本の美仏図鑑』

監修:大角 修, 著:長谷 法寿
¥2,200 (2023/09/22 11:35時点 | Amazon調べ)

『日本の美仏図鑑』は、大角修氏が監修し、長谷法寿氏が著した非常に詳細かつ包括的な視覚ガイドです。この『日本の美仏図鑑』は、日本の飛鳥時代から鎌倉時代に至るまでの美仏(beautiful Buddha statues)の進化と信仰の変化を描き出しています。

この『日本の美仏図鑑』は三つの主要なセクション、「飛鳥・奈良時代の美仏」、「平安時代の美仏」、「鎌倉時代の美仏」に分けられています。これらのセクションでは、その時々の仏教の信仰の移り変わりを紐解き、その背景にある様々な仏像を詳細に紹介しています。

「飛鳥時代の釈迦如来と薬師如来像」のセクションでは、初期の仏教美術がどのように仏教の教えと日本の文化が融合したかを探求します。ここでは、特に釈迦如来(Shakyamuni Buddha)と薬師如来(Bhaisajyaguru)の像に焦点を当て、これらの仏像が信仰の対象としてどのように役立ったかを明らかにしています。

次に、「奈良時代の変化観音像」のセクションでは、この時代に特徴的な観音像(Kannon statues)に焦点を当てています。観音(Avalokiteśvara)は慈悲の菩薩で、その変化した表現は時代の流れと共に変わった信仰の反映となっています。

最後に、「平安時代の密教像」のセクションでは、密教(Esoteric Buddhism)が日本での発展を遂げ、その影響が仏像造形にどのように反映されたかを詳細に解説しています。

全体として、『日本の美仏図鑑』は、美術愛好家や歴史愛好家、または日本の仏教文化に興味がある人々にとって、豊かな視覚資料と詳細な解説を提供し、読者が仏教の信仰と仏像の発展を深く理解する手助けとなる一冊です。

『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』

著:かみゆ歴史編集部
¥1,100 (2023/09/22 11:35時点 | Amazon調べ)

『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』は、かみゆ歴史編集部が著した一冊で、日本の仏像と寺院にまつわる様々な疑問や謎を明快に解説しています。これは、一見初歩的な質問から深遠な仏教の理論までをカバーする、極めて独特で魅力的な参考書です。

この『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』は、4つの主要な章で構成されています。第1章「お寺と仏教の基礎知識」では、寺と神社の違い、仏像の数とその中で最も優れているものなど、基本的な質問に答えています。第2章「仏様と尊格(rank)をめぐる謎」では、各仏の地位とそれぞれの特徴を説明し、どの仏が最も重要であるのかを解明しています。

第3章「仏像の美しさの謎」では、仏像の髪型がなぜ「パンチパーマ風」であるのかや、仏像が美しく見える理由など、仏像の美的要素について探求しています。そして最後の第4章「有名なお寺に伝わる謎」では、奈良の大仏がなぜ奈良に存在するのかなど、日本の有名な寺院とその歴史について深く掘り下げています。

『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』はまた、法隆寺、東大寺、興福寺、唐招提寺、清水寺、東寺、那智山、中尊寺、浅草寺、延暦寺などの著名な寺院と、釈迦如来(Shakyamuni Buddha)、阿弥陀如来(Amitabha)、薬師如来(Bhaisajyaguru)、毘盧遮那如来(Vairocana)、千手観音菩薩(Thousand-armed Kannon)、地蔵菩薩(Ksitigarbha)、弥勒菩薩(Maitreya)、金剛力士(Vajrapani)などの重要な仏像についても詳しく解説しています。

全体的に、『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』は日本の仏教芸術と文化に興味がある読者に対して、仏教の基礎知識から複雑な理論、そして仏像や寺院の美的魅力までを包括的に理解するための手引きとなる一冊と言えます。さまざまな仏像と寺院がより身近に感じられるように、ビジュアル・図解とエピソードが豊富に盛り込まれています。

『駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 (集英社新書)』

『駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 (集英社新書)』は、村松哲文教授による鮮やかで包括的な仏像鑑賞ガイドで、2022年6月に集英社から出版されました。本書は仏教と仏像に関する知識を深め、それらをより豊かに理解するための一冊です。

仏像は日本人にとても身近な存在ですが、それらがいつ、誰によって、どのような目的で作られたのかは、詳しく知る機会は少ないでしょう。この著作では、村松教授が飛鳥・奈良時代から平安、鎌倉、室町・江戸時代までを通じて、仏像の特徴、変化、そして鑑賞ポイントを詳細に解説しています。

インドや中国由来の仏像の表情が日本特有のものへと変化していく過程を追うことから始まり、仏像の姿勢、ポーズ、着衣、持ち物の意味、仏師のこだわりと新技術、そして仏教が権力者から庶民へと広まった理由まで、仏教と日本の歴史が仏像を通じて浮かび上がってきます。本書は、豊富な写真を活用して仏像を紹介するため、読み終えた後は仏像を観賞することに対する新たな視点を得られるでしょう。

紹介される仏像は多数で、飛鳥寺の飛鳥大仏、法隆寺の釈迦三尊像、広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像、東大寺の盧舎那仏(大仏)、唐招提寺の鑑真和上坐像、興福寺の旧東金堂本尊(仏頭)、東寺の五大明王、平等院の阿弥陀如来坐像、三千院の阿弥陀三尊像、願成就院と浄楽寺の毘沙門天立像、醍醐寺の弥勒菩薩坐像、建長寺の伽藍神像、長谷寺(奈良)の十一面観音菩薩立像、豪徳寺の釈迦三尊像などが挙げられます。

村松哲文教授は、1967年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程を満期退学後、早稲田大学會津八一記念博物館を経て駒澤大学仏教学部へと進みました。また、早稲田大学エクステンションセンター講師やNHK・Eテレの仏像番組の講師も務めています。その他の著書に『かわいい、キレイ、かっこいい たのしい仏像のみかた』(日本文芸社)があります。

『駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 (集英社新書)』は、一般の読者だけでなく、仏像や仏教に興味を持つ人々にとって、一見の価値がある一冊と言えるでしょう。

『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』

『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』は、薬師寺君子氏による、仏像研究のための集大成とも言える一冊です。2022年4月7日に西東社から発行され、本書は仏像の基本情報を詳細かつ総括的に解説し、初心者から熟練者までが仏像研究の素材として十分に活用できるように作成されています。

『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』は、国宝や重要文化財といった類書では見られない、280点を超える迫力のある仏像写真が掲載されています。これにより、仏像のディテールや美術的価値を目の当たりにしながら、それぞれの仏像の背景や意義を理解することができます。

内容は、「仏像とは何か」から始まり、「仏像の分類」、「仏教の歴史」を経て、「如来(Tathagata)」、「菩薩(Bodhisattva)」、「明王(Myoo)」、「天部(Deva)」、「神 高層(God, High Rank)」という章で構成されています。各章で、仏像の特徴を写真と図解、イラストを交えてわかりやすく解説しています。

さらに、飛鳥時代から平安、鎌倉の時代を通じた仏教史、仏像史も解説しているため、仏像の背後にある歴史的・文化的背景を理解するための有益な資料となっています。そして、「特集」コーナーでは、さらなる深みと興味を提供し、仏像の理解を深めるための追加情報を提供しています。

著者の薬師寺君子氏は、1970年に愛知県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程(美術史)専攻単位取得退学後、2000年から豊島区立郷土資料館の社会教育指導員、2006年から東京文化財研究所の補佐員を務めてきました。現在は昭和薬科大学の非常勤講師として活動しつつ、日本美術史の研究を深めています。

『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』は、仏像について網羅的に学びたいという読者にとって、必携の一冊と言えるでしょう。写真と図解を通じて、仏像の視覚的な魅力と知識を併せて味わうことができる貴重な資料となります。

『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』

『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』は、三宅久雄監修、永田ゆき著による、仏像にまつわる疑問や興味に応え、仏像の新たな魅力を紹介する一冊です。ここではその内容を詳しく解説します。

この『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』は、仏像に関する豊富な知識を身につけたい人、お寺めぐりが趣味の人、そして「なぜ?」「なに?」といった仏像に関する疑問を抱くすべての人に向けて書かれています。仏像の特性や歴史、さらには日本の文化や世情との関連性まで、仏像の全体像を多角的に捉えることで、仏像の理解を深める手助けをします。仏像とのつながりを見つけることで、読者自身の仏像への親しみも増していきます。

この『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』では、大小合わせて約200点の仏像がイラストで紹介されます。特に、室町時代、安土桃山時代、江戸時代といった時代の仏像に焦点を当て、その魅力を引き立てます。古代から近代に至るまで、仏像の種々な魅力をたっぷりと堪能できることでしょう。

仏像の基礎知識から始まり、仏教がインドから中国を経て日本へ伝来した飛鳥時代前期、そして仏像造りが全国的に行われ始めた飛鳥時代後期へと進みます。奈良時代には、国家プロジェクトとしての仏像造りが行われました。平安時代では、密教の教えを視覚化した東寺講堂の立体曼荼羅を中心に、密教の仏像が流行します。

平安時代後期には末法思想により阿弥陀ブームが起こり、大量の仏像が作られました。鎌倉時代には武士の好みに合わせた仏像が流行し、大仏師運慶と快慶の活躍も見られます。室町時代、安土桃山時代では形式化が進む一方で、地方独自の仏像も登場します。最後に、江戸時代には新風が吹き、今までにない姿形の仏像が造られました。

この『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』で仏像とその背景について深く理解することができます。200点以上のイラストを通じて仏像の世界を紐解くこの体験は、あなたの世界観を変えるかもしれません。

著者の三宅久雄は、大阪大学法学部卒業、神戸大学大学院文学研究科修士課程修了後、文化庁美術工芸課彫刻担当技官、東京国立文化財研究所美術部第一研究室長、宮内庁正倉院事務所長を経て、2005年より奈良大学文化財学科教授として活動しています。彼の深い知識と独自の視点により、本書は仏像に関する多くの事項を包括的に扱っています。

まとめ

Five recommended books on the fascination of Buddhist statues!
仏像の魅力に迫るおすすめ5冊!

日本の仏像について学びたい、深く理解したいと思う方々に向けて、今回は『日本の美仏図鑑』、『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』、『駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 (集英社新書)』、『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』、そして『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』の5冊の仏像関連の書籍を紹介しました。

『日本の美仏図鑑』は仏像の美しさ、芸術性を重視した書籍で、日本各地の仏像を約600点も収録し、その魅力を余すことなく伝えています。美術愛好家はもちろん、一般読者にとっても視覚的に楽しむことができる一冊です。

『カラー版 日本の仏像とお寺の謎100 (イースト新書Q)』は、仏像とお寺にまつわる謎や未解決の問いに焦点を当てています。仏像鑑賞だけでなく、その背後にある歴史や仏教の教えに興味を持つ方には、興味深い一冊となるでしょう。

『駒澤大学仏教学部教授が語る 仏像鑑賞入門 (集英社新書)』は、仏像の基礎的な知識から歴史的背景、鑑賞のポイントまでを教えてくれる、まさに「入門」の名にふさわしい一冊です。仏像についてこれから学びたいと考えている方には、この本が良いスタートとなるでしょう。

『新版 写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』は、写真や図解を豊富に用いて仏像を解説している書籍です。仏像の特徴やその種類、制作技法など、仏像について詳しく知りたい方におすすめの一冊です。

そして最後に、『みるみるつながる仏像図鑑: 流れや関係が見えるから、歴史や仏教がわかる、何より「仏像」がもっとわかる!』は、仏像が一つ一つの芸術作品であるだけでなく、歴史や仏教、社会、そして我々自身とのつながりを示してくれる本です。本書は、200以上のイラストを用いて仏像を紹介し、仏像とのつながりを深めることで、我々自身の世界観を豊かにしてくれます。

以上、これら5冊の書籍はそれぞれ異なる視点から仏像を解説し、読者の理解を深め、仏像に対する興味と愛着を育ててくれます。初心者から専門家まで、仏像や日本の歴史、文化に関心があるすべての人々におすすめの書籍です。それぞれの書籍が持つ特徴を理解し、自分の関心や目的に合った一冊を選び、仏像の魅力を深く探求してみてください。