歴史と文化の融合が生んだ、素晴らしい島根県の博物館。そんな場所から、皆さんに今回ご紹介したい展示が二つあります。ひとつは、出雲弥生の森博物館の速報展「古志遺跡群発掘調査速報~出雲古志氏の痕跡~」、もうひとつは、島根県立古代出雲歴史博物館の企画展「しまね×交通クロニクル -北前船からフォードまで-」です。どちらも島根県の豊かな歴史と文化を感じ取ることのできる展示となっております。

出雲弥生の森博物館の速報展では、古志遺跡群の中核部分での最新の発掘調査成果を通じて、中世の地域領主であった出雲古志氏の生活や文化を垣間見ることができます。これは遠い歴史の中から繋がる私たちのルーツを感じ取ることのできる貴重な機会と言えるでしょう。

一方、島根県立古代出雲歴史博物館の企画展では、近世から近代にかけての島根の交通の変遷が詳しく描かれています。ここでは、海運から鉄道・自動車へと交通手段がどのように進化し、その変化が人々の生活や文化、産業にどのように影響を与えてきたのかを学ぶことができます。

それぞれ異なるテーマを扱うこれらの展示ですが、共通しているのは島根県の歴史とその人々の生活への深い洞察を得ることができるという点です。旅行者にとっては新たな発見があり、地元の人にとっては自身のルーツを再確認する機会となるでしょう。それでは、まずは出雲弥生の森博物館の速報展「古志遺跡群発掘調査速報~出雲古志氏の痕跡~」から詳しくご紹介してまいりましょう。

出雲弥生の森博物館古志遺跡群発掘調査速報~出雲古志氏の痕跡~

Izumo Yayoi no Mori Museum: Preliminary Report on the Excavation of the Koshi Site Group - Traces of the Izumo Koshi Clan
出雲弥生の森博物館:古志遺跡群発掘調査速報~出雲古志氏の痕跡~

速報展「古志遺跡群発掘調査速報~出雲古志氏の痕跡~」は、5月31日から9月25日まで開催されます。本展示は、出雲市古志町と下古志町に広がる弥生時代からの大規模な集落遺跡群、古志遺跡群を中心に展開されます。今回の展示では特に、古志本郷遺跡と下古志遺跡という古志遺跡群の核心部分での最新の発掘調査成果が紹介されます。

この展示では、発掘調査により明らかになった室町時代の遺構と遺物が主な焦点となっています。古志遺跡群は室町時代、領主であった出雲古志氏が所領としていた地域でした。出雲古志氏は、鎌倉末期から戦国時代にかけてこの地を本拠地としていた有力な領主でした。

Latest Excavation Results of the Koshi Site Group
古志遺跡群の最新の発掘調査成果

中世の古志遺跡群には、出雲古志氏の居館が存在したほか、武士の町や市場町も形成されていました。これらの発見は、出雲古志氏がどのようにこの地域を支配していたのか、日々の生活がどのように行われていたのかを垣間見ることができる貴重な成果です。

この展示により、訪れる人々は過去の生活や文化について深く学び、歴史的な視点から現代の生活を見つめ直す機会を得ることができるでしょう。この機会に、歴史に興味がある方はもちろん、地元の歴史についてより理解を深めたい方にも、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。

島根県立古代出雲歴史博物館:しまね×交通クロニクル -北前船からフォードまで-

Shimane Museum of Ancient Izumo History: Shimane x Transportation Chronicles - From Kitamae-Ships to Ford
島根県立古代出雲歴史博物館:しまね×交通クロニクル -北前船からフォードまで-

企画展「しまね×交通クロニクル -北前船からフォードまで-」は、交通というテーマを通じて島根の歴史を解き明かす特別な展示です。交通は人々の暮らしにおいて重要な役割を果たし、文化や産業の変化を引き起こすほどの影響力を持っています。特に近世から近代にかけての時期は、科学技術の進歩によって新たな交通手段が生まれ、激動の変化が見られた時代と言えます。

本展示では、約250年間の島根の交通史を概観します。それは日本海が物流の主要なルートであった海運の時代から、鉄道や自動車の誕生とその影響に至るまでの時間軸を中心に据えています。更に、旅や観光をキーワードに、交通の変遷とそれが人々の暮らしに及ぼした影響についても探求します。

展示は、島根の地理を概観するプロローグから始まり、日本海海運の時代を扱った第1章、幕末から明治20年代の近代の夜明けを描く第2章、明治30年代から昭和10年代の島根の交通革命を追う第3章へと進みます。その後、第4章では交通制度と生活の近代化を、第5章では参詣や観光の地としての島根を紹介します。

An overview of Shimane's transportation history of approximately 250 years
約250年間の島根の交通史を概観

特別なトピックとして、芥川龍之介と井川恭の島根旅行が取り上げられ、二人が見た島根とその旅の意義が語られます。最後に、エピローグで交通の”過去”と”未来”を総括し、その歴史的な変遷とこれからの展望を探ります。

本展示を通じて、訪れる人々は島根の交通が近世から近代へと辿った歩みを再認識し、交通の重要性とその歴史的変遷を理解する機会を得ることができます。この展示は、地元の歴史について深く理解したい方や、交通という視点から歴史を見てみたい方にとって、極めて貴重な体験となるでしょう。