埋蔵文化財と考古学に携わる者として、最近注目を集めている「古墳系ユーチューバー」について、正確な情報を基に整理してお伝えします。ちょっと話題になってますね、、2025年12月18日付の産経新聞記事が発端となり、SNSを中心に議論が広がっています。この記事では、一部のマナー違反事例を指摘しつつ、生成AIによる情報加工の懸念も取り上げています。以下、事実を基に専門家としての考察を加えつつ、ブログ記事としてまとめます。
報道の概要と具体的な問題事例
産経新聞（2025年12月18日）では、古墳や遺跡をテーマに動画を発信する「古墳系ユーチューバー」の増加を紹介。一部の問題行動として以下の事例が挙げられています。
| 問題点 | 具体例 | 影響・懸念 |
|---|---|---|
| 立ち入り禁止区域への侵入 | 奈良県上牧町・上牧久渡古墳群：フェンスを越えて内部撮影 | 住民の不安増大、遺跡の潜在的損傷リスク |
| プライバシー侵害 | 大阪・百舌鳥古墳群周辺の住宅地古墳：民家が映り込む可能性 | 住民生活への影響、見学会時の目隠し対応が必要 |
| 生成AIによる情報加工 | 奈良県明日香村・石舞台古墳：非公式3Dデータがネット公開、AI加工の恐れ | 歴史的事実の歪曲、真実性の喪失 |
これらは2025年11月の関連報道とも連動しており、行政側は立ち入り禁止表示の強化やデータ管理を進めています。
ポジティブな側面：文化財普及への貢献
問題事例は少数派であり、多くの発信者は古墳の歴史的価値を楽しく伝えています。代表的な例を挙げます。
| チャンネル名 / 発信者 | 特徴・内容例 | リンク |
|---|---|---|
| 八巻アンナのFUN Tube | 声優・八巻アンナさん運営。古墳ニュースや現地紹介 | https://www.youtube.com/@AY_Funtube |
| まりこふん（古墳にコーフン協会） | 古墳シンガー・まりこふんさん。全国古墳紹介・イベント | https://kofun.jp/ |
| 大和の古墳チャンネル | 奈良県を中心とした現地探索動画 | https://www.youtube.com/@22tosi |
| 考古学チャンネル | 発掘調査や古墳・寺院の解説 | https://www.youtube.com/@koukogaku |
これらのチャンネルは、許可を得た範囲で撮影し、視聴者に古墳の魅力を伝えています。若い世代の興味喚起にも大きく寄与しており、私も考古学の普及に有効だと評価しています。
専門家としての考察
記事で引用された帝塚山大学・清水昭博教授は「一般人の発信は遺跡の魅力を伝える重要な役割を果たすが、田畑への立ち入りや遺跡損傷を避けるべき」と指摘。私も同感です。特にスマートフォンによる3D測量が容易になった現在、個人のデータ公開は有効ですが、出所不明の情報が「真実」として広まるリスクがあります。
生成AIの進展により、加工された動画が歴史を歪める可能性は深刻です。考古学の基本原則である「真実性の担保」を守るため、発信者は以下の配慮を徹底すべきです：
- 立ち入り許可の確認
- プライバシーへの配慮
- データソースの明記
一方で、行政・研究者側も公式データを積極的に公開し、善意の発信者を支援する仕組みが必要です。
結論：バランスの取れた発信を
「古墳系ユーチューバー」は、古墳ブームを象徴するポジティブな現象です。一部の問題行動が全体のイメージを損なわないよう、発信者・視聴者・専門家が協力してルールを守ることが重要です。私たち専門家も、新しいメディアを活用しつつ正確な情報を提供していきます。
読者の皆様も、古墳を訪れる際は必ずルールを守り、信頼できる情報源を確認してください。古墳は私たち共有の貴重な遺産です。
