今年の夏、日本全国が遥か昔の大地を踏みしめた恐竜たちによって賑わっています!恐竜好きにはたまらない、新しい展示会やリニューアルオープンした博物館が次々と登場し、我々を遠い過去、恐竜たちが君臨した時代へと誘っています。今回のブログでは、群馬県立自然史博物館で開催されるポケモンと化石を融合させたユニークな「ポケモン化石博物館」、そして福井県立恐竜博物館のリニューアルオープンと、大阪市立自然史博物館での「恐竜博2023」について詳しく紹介します。古代の生物たちが織りなす驚きと感動、そして学びの世界へ一緒に旅立ちましょう。未知の冒険が待っていますよ!
恐竜博2023:大阪市立自然史博物館
大阪市立自然史博物館の恐竜博2023は、「攻守」が進化させた恐竜の進化に焦点を当てた展示となっています。これは、装盾類(Ankylosaurs)と呼ばれる恐竜が、身を守るために身体に板状やトゲ状の突起や鎧を進化させ、その反対に肉食恐竜が大型化し、歯や爪を進化させて狩りを効率化する形で、「攻守」の進化が進んだという恐竜の進化を体系的に解説します。
展示は5つの章に分かれています。第1章では、胴体に板状・トゲ状の突起や鎧をもつ装盾類の進化を探ります。例えば、前期ジュラ紀に生息していたスケリドサウルス(Scelidosaurus)の複製や、後期ジュラ紀に生息していたヘスペロサウルス(Hesperosaurus)の標本などが展示されています。
第2章では、展示の主役である後期白亜紀のズール・クルリヴァスタトル(Zuul crurivastator)に焦点を当てます。ズールは、完全な頭骨から尾の棍棒までが一緒に発見された貴重な鎧竜で、その完全な化石が恐竜の進化を解明する大きな手がかりとなっています。
第3章と第4章では、北半球と南半球それぞれにおける肉食恐竜、獣脚類(Theropods)の進化に焦点を当てます。北半球では、白亜紀最末期にティラノサウルス類が生態系の頂点に立っていました。一方南半球では、新種のメガラプトル類(Megalaptorids)、マイプ・マクロソラックス(Mapusaurus)の発見により、同じくティラノサウルス類が頂点に立っていたとされています。
最後の第5章では、約6600万年前に起こった大量絶滅について、最新の研究を元に解説します。大きな恐竜であるティラノサウルスやマイプはこの隕石衝突で生き残ることはできませんでした。恐竜の一部である鳥類も多くが絶滅しました。これらの大量絶滅の理由や、その前後での生態系の変化について、最新の研究成果を元に解説します。
全体を通して、この恐竜博は、恐竜たちがどのようにして生存競争を勝ち抜くために攻撃と防御の戦略を進化させてきたか、またその結果としてどのような多様な形態と生態が生まれたのかを、具体的な化石の展示や最新の研究結果をもとに視覚的かつ理解しやすく解説するものとなっています。
恐竜博2023展示詳細
大阪市立自然史博物館(Osaka Museum of Natural History)は、「恐竜博2023」展示を2023年7月7日から9月24日まで開催します。この展示は大阪市立自然史博物館とNHK大阪放送局、NHKエンタープライズ近畿、朝日新聞社が主催し、多数の企業や組織が協賛、協力、後援を行っています。会場は大阪市立自然史博物館のネイチャーホールで、開館時間は9:30~17:00(最終入場は16:30)ですが、8月11日から15日までは9:00に開場します。休館日は月曜日ですが、祝休日の場合は翌平日となります。大阪市総合コールセンターがお問い合わせを受け付けています。
リニューアルオープン:福井県立恐竜博物館
福井県立恐竜博物館は、約半年の休館期間を経て、2023年7月14日に壮麗にリニューアルオープンしました。この博物館は日本初公開となる「ブラキロフォサウルス」(Brachylophosaurus)の実物ミイラ化石や、前期白亜紀の再現映像を映す大型スクリーンなど、新たな展示要素を追加して大幅にパワーアップし、恐竜の“リアルさ”が増した世界を観客に提供しています。
博物館の入口から長いエスカレーターを下りると、まず本館1階の常設展示に辿り着きます。この部分では、以前44体だった恐竜の骨格標本が50体に増え、その多様性を感じることができます。最新の研究に基づいて、歯が常時むき出しではなかったことが明らかになったティラノサウルス(Tyrannosaurus)ロボットも見逃せません。そして、貴重な「ブラキロフォサウルス」の実物ミイラ化石が展示の目玉となっています。ガラス越しに皮膚の痕跡などをじっくり観察することが可能です。
増築された新館では、恐竜世界の「体験」と「体感」に重点が置かれています。8月までほぼ予約が埋まっているという化石研究体験では、研究員が使う道具「エアスクライバー」(Air Scribe)を使って肉食恐竜の歯のレプリカを削り出す活動や、ティラノサウルスの頭骨を制限時間内に組み上げる活動などが行われています。また、高さ9メートル、幅16メートルの大型スクリーン3面をコの字形に配置した特別展示室も注目の一つです。ここでは、福井県立恐竜博物館が位置する勝山市の発掘現場の地層と同じ前期白亜紀(約1億2000万年前)が3分間のCG映像で再現され、太古の時代を感じることができます。
福井県立恐竜博物館の館長である谷川由美子氏は、博物館の役割とこれまでの成果、そして未来への期待について語りました。福井県では1989年から勝山市北谷で恐竜化石調査事業を実施し、多くの恐竜化石を発見してきました。そして、2000年には、これらの成果をもとに、「恐竜」を中心とした国内最大級の地質・古生物学博物館として「福井県立恐竜博物館」をオープン。そして、2014年には、全国で初めての施設として「野外恐竜博物館」もオープンしました。博物館は現在、年間入館者数が100万人に迫る福井県を代表する観光文化施設となっています。
博物館では、福井ラプトル(Fukuiraptor)や福井サウルス(Fukuisaurus)など5体の新種の恐竜や国内最古となる新種の鳥類化石の発見など、地元だけでなく海外の研究機関との共同調査や研究交流にも積極的に取り組んでいます。2017年には、勝山市で発見された5体の新種の恐竜化石とその発掘現場が全国で初めて国の天然記念物に指定されました。
そして、博物館は、開館以来初の本格的な改修を経て、2023年7月14日にリニューアルオープン。新たな機能を加え、オールシーズンで恐竜のリアルを体感・体験できる博物館へと進化しました。今後も、幅広い層の皆さまに、恐竜研究の最新情報をわかりやすく伝え、世界に誇る恐竜化石研究・情報発信の拠点として、未来に続く恐竜博物館を目指していきますと谷川館長は語りました。来春の北陸新幹線福井・敦賀開業を前に、「恐竜王国福井」の魅力を全国に発信していく計画です。
ポケモン化石博物館:大阪市立自然史博物館
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三笠市立博物館(北海道)、島根県立三瓶自然館サヒメル(島根県)、国立科学博物館(東京都)、豊橋市自然史博物館(愛知県)、大分県立美術館(大分県)、新潟県立自然科学館(新潟県)で開催されて大人気だった「ポケモン化石博物館」が、今度はついに群馬に!
群馬県立自然史博物館では、第68回企画展として「ポケモン化石博物館」を2023年7月15日から12月3日まで開催します。この展示は、人気ゲーム『ポケットモンスター』(Pokemon)シリーズの化石から復元されるポケモン、すなわち「カセキポケモン」を特集します。
この展示の目的は、「カセキポケモン」と実際の「化石・古生物」を比較し、古生物学の魅力を探求することです。ポケモンの世界の「カセキ博士」と「発掘ピカチュウ」、そして現実世界の博士たちの案内で、ポケモンの世界と私たちの世界の「化石」を比較する機会が提供されます。
ポケモン化石博物館の見どころ
- 古生物とポケモンのイラストを比較して、似ているところや違うところを探してみましょう。例えば、ポケモンのガチゴラスと実在の古生物ティラノサウルスを比べるとどうでしょうか?
- 「カセキポケモン」の実物大骨格想像模型が展示されます。これらの模型と実際の古生物の標本を比べてみることで、新たな発見があるかもしれません。
- ポケモンと古生物の骨格を比較します。ポケモンの骨格想像図は日本初公開となるもので、カセキから復元されるポケモンの骨構造について深く理解できます。
展示詳細
入場料や入館方法は各開催館により異なるため、具体的な情報はホームページでご確認ください。また、展示内容も開催館によって微妙に異なり、特定のポケモンと古生物の組み合わせが変わる可能性があります。そのため、来場者はどのポケモンが展示されるか予想しながら展覧会を楽しむことができます。
外国語の解説については、展示パネルは日本語のみですが、英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語で展示の解説を閲覧できるサービスを提供しています(無料)。ご自身のスマートフォン等のモバイル端末を利用することで、展示の解説を閲覧できます。
関連動画
さくら
展示ができるまでの舞台裏を学芸員さんが解説しているよ!
今年の夏は恐竜が熱い!!
今年の夏は恐竜ブームが再燃しています!日本各地で大規模な恐竜に関連したイベントが開催され、その中でも目を引くのは群馬県立自然史博物館での「ポケモン化石博物館」と、リニューアルオープンした福井県立恐竜博物館、そして大阪市立自然史博物館での恐竜博2023です。
まず群馬県立自然史博物館の「ポケモン化石博物館」(The Pokémon Fossil Museum)では、ポケットモンスター(Pokémon)と古生物学(Paleontology)が融合。この展示では、人気ゲーム「ポケットモンスター」の中で化石(Fossil)から復元されるポケモン、通称「カセキポケモン」を学ぶことができます。ポケモンと現実の化石や古生物を比較し、その相違と共通点を探ることで、古生物学について楽しみながら学ぶことができます。
その一方、福井県立恐竜博物館(Fukui Prefectural Dinosaur Museum)は、半年の休館期間を経て新たにリニューアルオープンしました。50体の恐竜の骨格標本や、日本初公開となる「ブラキロフォサウルス」の実物ミイラ化石などが展示されています。特に見どころは大型スクリーンで映し出される前期白亜紀(Early Cretaceous)の再現映像で、太古の時代を体感できます。
さらに、大阪市立自然史博物館での恐竜博2023は、今年の夏の恐竜イベントとして注目されています。こちらの詳細はまた後日お伝えします。
これらのイベントは、恐竜について深く理解することはもちろん、科学に興味を持つきっかけとなる素晴らしい機会です。恐竜や化石に興味がある方、そしてポケモンが好きな方は、この夏は群馬、福井、そして大阪を訪れてみてはいかがでしょうか。子供から大人まで楽しめるこれらの展示会は、一味違った夏の思い出作りにぴったりです。