愛媛県松山市の南町駐車場について考えるとき、どんなイメージが頭に浮かびますか?一見、何気ない駐車場としての風景かもしれません。しかしこの土地は、様々な歴史的背景と未来の可能性を抱えています。かつては愛媛県の文化交流施設の建設予定地として注目を浴び、新たな観光施設としての水族館の建設構想も浮上しました。しかし、その実現は未だ果たされていません。さらに、この土地は重要な埋蔵文化財も秘めており、その保護と活用が求められています。
今回のブログ記事では、この南町駐車場という土地の過去から未来に至るまでの経緯を探り、何が可能であるのか、何が必要なのかを明らかにしていきます。特に、その地に眠る文化遺産の価値と、新たな開発の可能性をどのようにバランス良く組み合わせていくかについて、深く考察していきます。それでは一緒に、この土地の持つ無限の可能性を探求していきましょう。
愛媛県民文化会館周辺の愛媛県有地問題

愛媛県南町地区は、かつては愛媛県文化交流施設整備基本構想の一部として、多くの文化交流施設や賑わい施設の建設が計画されていた地域です。しかし現在では、その大部分が遊休地と化し、駐車場として利用されています。
県有地の活用と賃貸状況
南町2丁目の6,149 m²の土地は約半分が時間貸駐車場、残りは月極駐車場や県庁舎駐車場として利用されています。同様に、南町1丁目の4,062 m²の土地も月極駐車場として提供されています。この土地は県が直営するものと、第一開発に貸し付けるものがあります。
土地の価値と現状の問題点

この県有地は商業地域に位置し、十分な建設可能性を秘めています。地形も整形であり、建設に支障がないこと、さらには周囲が閑静な住宅街に囲まれていることから、この土地の可能性は無限大です。しかし現状では、その価値が十分に活用されていない事実が指摘されています。
土地利用の歴史と現在

この土地の取得から既に十数年が経過しており、その間に何らかの新しい開発が行われることはありませんでした。さらに悪いことに、購入当初と比較して土地価格が下落し、資産価値も低下しています。愛媛県民を代表する基本構想を策定した検討委員会の意見を無視する形となり、県民の期待を裏切る結果となっています。適切な利用がなされず、その価値が十分に活用されないまま放置されている現状は、改善を求める声が高まっています。
県民の期待と現状のギャップ

南町地区の県有地の現状は、土地の本来の利用目的から逸脱し、価値を活かしきれていない状況にあります。この土地が持つポテンシャルを活かし、文化交流施設や賑わい施設の建設を進めるべきです。これが愛媛県の文化振興と地域活性化に寄与するとともに、県民の期待に応えることにつながります。
これまでの活用策、全て頓挫。

2003年、愛媛県はレジャー会社から約19億5千万円で南町駐車場の土地を取得しました。この土地は県民文化会館の南側に位置し、面積は1万902平方メートルと広大なものでした。当時の加戸県政はこの土地を文化交流施設として利用する計画を立てていましたが、国の三位一体改革による財政難を理由に2005年に施設の整備が凍結され、その後は駐車場として活用され続けています。
2019年に入り、松山商工会議所、愛媛経済同友会、そして県内企業が発起人となり、新たな構想が提案されました。その構想は、この県有地に水族館を建設し、道後温泉や松山城と連携する観光施設を設け、2025年に開業するというものでした。この案は松山市の支援を想定した民設民営の形で進められる予定でした。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックが長期化し、投資環境が大きく変化。資材の高騰や、JR松山駅周辺や松山市駅前で新たなまちづくりが進んでいる事実もあり、2022年、グループは水族館の建設を断念すると発表しました。これは当初の構想をそのまま進めることが難しいと判断した結果でした。
水族館建設計画の取りやめについて、愛媛県の中村知事は「四国における県都・松山市のまちづくりの観点から関心を持って注視していた。今回の構想の中止は、社会経済情勢の変化を踏まえた判断だと受け止めている」とコメントしました。それ以降、県有地は駐車場としての利用が続けられ、新たな開発計画は立てられていない現状が続いています。
「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当

南町駐車場、一見すると何の変哲もない駐車場になっている土地ですが、この地下には縄文時代から中世にかけての集落遺跡が眠っています。この遺跡は「南町遺跡」と名付けられ、2012年に埋蔵文化財包蔵地として公式に認定されました。
埋蔵文化財とは、人類の歴史や文化遺産を解き明かすための考古学的な証拠です。これらは遺跡や遺物を含む多岐にわたる証拠で、適切な調査と分析を通じて、過去の生活や文化の理解に寄与します。
開発や建築の計画が持ち上がったとき、こうした埋蔵文化財の調査が重要性を増します。事前に行われる埋蔵文化財調査(Archaeological survey)の目的は、新たな開発や建築により永遠に喪失される可能性のある遺跡や遺物を掘り出し、それらを適切に記録し、保存することです。この過程を通じて、私たちの歴史や文化遺産が破壊されることを防ぎ、次の世代に遺産を伝えることが可能となります。
南町駐車場の周辺には、道後今市遺跡と持田本村遺跡という他の重要な遺跡も存在します。道後今市遺跡は弥生時代から中世に至るまでの集落跡と墳墓を含む一方、持田本村遺跡には縄文時代から古墳時代の集落跡と墳墓が存在しています。この地域の深い歴史的背景を踏まえると、新たな開発に進む前には、詳細な埋蔵文化財調査が不可欠となります。
新たな開発計画が立ち上がる際には、最初の一歩として、専門家による埋蔵文化財調査を実施すべきです。それにより、文化的価値を持つ遺跡や遺物が適切に保護され、その価値が未来の世代へと引き継がれることを確実にすることができます。
おわりに

今回、私たちは愛媛県松山市の南町駐車場という土地に焦点を当て、その地の潜在的な文化的価値とその未来を考察しました。この土地はかつて文化交流施設の建設予定地であり、さらには一部の団体が新たな観光資源としての水族館の建設を提案していました。しかしながら、新型コロナウイルスの流行による社会経済情勢の変化や、資材の高騰などの影響で、これらの計画は現状では進展を見ていません。
一方で、この土地は遺跡である南町遺跡が存在する「埋蔵文化財包蔵地」でもあります。周辺には他の重要な遺跡も存在しており、開発が進む前に詳細な埋蔵文化財調査が必要となるでしょう。これにより、地元の歴史や文化遺産が破壊されることを防ぎ、未来の世代へと遺産を繋ぐことが可能となります。
南町駐車場の未来についてはまだ未定であり、多くの可能性が広がっています。その中で、私たちは何よりも重要なのはこの土地が持つ文化的な価値を尊重し、その適切な保護と活用を推進することだと考えています。そのためには、埋蔵文化財調査は必要不可欠であり、その結果を踏まえた上で、新たな開発計画が進行すべきだと思います。
この一角に存在する文化的・歴史的遺産と、その未来を見据えた新たな開発との間で、どのようなバランスを取るべきかは大きな課題となります。しかし、その適切な解決を通じて、文化的な価値と地域の発展が共存する可能性を追求できることでしょう。