展示の解説パネルを作っている人?
収蔵庫で静かに働いている人?
――「学芸員」について、なんとなくは知っているけれど、実際にどんな仕事をしているのかは意外と知られていません。
でも今、SNSやメディアでじわじわと注目を集めているのが、この**“学芸員”という仕事**。
実は彼ら・彼女らは、作品や資料の保存、展示の企画、調査研究、そして文化の継承と発信など、幅広い役割を担う“文化の守護者”なんです。
本記事では、そんな学芸員の仕事や魅力をさまざまな角度から知ることができる、おすすめの関連書籍5冊をご紹介します。
入門者向けの読みやすいエッセイから、戦争下での美術品保護を描いた感動のノンフィクション、さらには資格取得を目指す人向けの本格的な専門書まで幅広くピックアップ。
美術館・博物館がもっと面白くなる本たち、あなたも出会ってみませんか?
学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話

『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』
著:ちいさな美術館の学芸員(産業編集センター)
★note発、人気コラムが待望の書籍化!美術館の“舞台裏”にご案内。
「学芸員って、展覧会のときに展示パネルを貼ってる人…?」
そんな漠然としたイメージをガラリと変えてくれるのがこの一冊。
現役の学芸員が、美術館の“ウラのウラ”までリアルに語る、知的で楽しい読みものです。
🎨この本でわかること
• 展覧会はどんな準備と工夫で生まれているのか
• 学芸員ってどんな仕事をしているの?
• アートは役に立たない?…そんな問いにも向き合う
• 誰でもすぐ実践できるおすすめ鑑賞法
美術館を「見る場所」から、「知ることでもっと楽しめる場所」へと変えてくれる一冊。
普段は見えない裏側を知ることで、美術館との距離がぐっと近づきます。
📖目次より
• 第1章 一つの展覧会ができるまで
• 第2章 学芸員という仕事の舞台裏
• 第3章 美術館をもっと楽しむためのヒント
• 第4章 美術館をささえる仲間たち
👩🎓著者は「都内のちいさな美術館で働く学芸員」
noteで200本以上のコラムを継続投稿中。専門的だけど親しみやすい語り口が魅力です。
アートがもっと身近になる、
そして“学芸員”という仕事がちょっと憧れになる。
美術館好きにも、これから美術館を楽しみたい人にもおすすめの一冊です。
博物館の「怖い話」 学芸員さんたちの不思議すぎる日常
『博物館の「怖い話」 学芸員さんたちの不思議すぎる日常』
著:鷹取ゆう(二見書房)
★“博物館あるある”がまさかのホラーに!? 学芸員目線の“本当にあった怖い話”
博物館と聞いて、静かで落ち着いた場所をイメージする方も多いでしょう。
でも実は、人知れず“不思議な現象”が起こっていることも――。
本書は、学芸員としての実体験をもとに描かれた「リアルに怖い」怪異譚。しかも、全編マンガ形式なので、読みやすさと怖さのダブルパンチ!
👀こんな一冊です
• 学芸員だからこそ体験した、不思議すぎる出来事の数々
• ミステリー好きも満足の“じわじわ系”ホラー
• 合間に挿入される「学芸員のおしごと豆知識」で、仕事への理解も深まる
• 実話ベースだからこそ、読後に残る“妙なリアリティ”
✍️著者は現場出身の“博物館系漫画家”
鷹取ゆうさんは、学芸員資格と虫菌害防除の専門知識も持つ、ガチの“中の人”。博物館勤務のリアルと、その裏に潜む“異世界的”エピソードを、ユーモアと怖さを絶妙に織り交ぜて描いています。
「学芸員って、ちょっと気になる」
「怖い話も好き!」
そんなあなたにぴったりの、知的で不思議な世界へようこそ。
博物館資料保存論 第2版 学芸員の現場で役立つ基礎と実践

『博物館資料保存論 第2版 学芸員の現場で役立つ基礎と実践』
著・編:石﨑 武志(東京文化財研究所 名誉研究員)/出版社: 講談社
★資格取得にも!現場のプロにも!資料保存の“いろは”がしっかり学べる定番テキスト
「学芸員になりたいけれど、資料保存って何から学べばいいの?」
そんな初学者の不安に応えてくれるのが、本書です。文化財保護の基礎から、保存環境・修復・防災対策まで、学芸員として知っておくべき実践知識が、文部科学省の要綱に準拠した構成でしっかり学べます。
📘この本の特徴
• カラー図解&丁寧な用語解説で、理科・化学が苦手でも安心!
• 中学理科・高校化学の復習付きで、基礎からじっくり理解できる
• 保存科学の基本だけでなく、地域資源や博物館の役割にも触れている
• 梱包・修理・被災時の救援対応まで、現場で本当に役立つ実践知識が満載
📖章構成(一部)
• 第1章:文化財の材質や劣化、保存倫理などの「総論」
• 第2章:温湿度・光・空気など、環境が資料に与える影響について
• 第3章:状態調査、修復、輸送など実務に直結する保全技術
• 第4章:地域社会とつながる博物館の役割についても解説
• 巻末に便利な年表付き
🎓こんな人におすすめ
• 学芸員資格の取得を目指す学生・社会人
• 資料保存や文化財保護の仕事に興味のある方
• ミュージアムの仕事を「基礎から」理解したい入門者
資料を未来へと手渡す“縁の下の力持ち”――
そんな学芸員の要となる「保存」という仕事を、体系的に学べる一冊です。
ナチスから美術品を守ったスパイ:学芸員ローズ・ヴァランの生涯

『ナチスから美術品を守ったスパイ: 学芸員ローズ・ヴァランの生涯』
著:ジェニファー・ルシュー/訳:広野和美(原書房)
★モネ、ゴッホ、フェルメール…美術品を奪うナチスに、たったひとりで立ち向かった女性の実話
第二次世界大戦中、ナチスがフランスを占領し、膨大な美術品を略奪していたそのとき。
パリの美術館で、一人の女性学芸員が「静かに」「正確に」「危険を冒して」記録を取り続けていた――。
本書は、歴史の裏側に埋もれていた学芸員ローズ・ヴァランの勇気と信念の生涯を描いたノンフィクション。
記録と伝達という“学芸員の武器”だけでナチスに立ち向かった、**まさに“知のレジスタンス”**とも言える彼女の姿は、読む者に強烈な感動と勇気を与えます。
📌この本で描かれる、手に汗握る真実
• ナチスによる組織的な美術品略奪の実態と、ヴァランの潜入調査の日々
• 「モニュメンツ・マン」としての功績、戦後の返還活動までを克明に描写
• 膨大な記録と証拠が、歴史と美術を救った瞬間の連続
• 一学芸員として、どう世界と戦い、どう評価され、どう“沈黙”したのか
✍️読みどころポイント
• 小説のような臨場感あふれる描写で読みやすく、それでいて歴史的裏付けは緻密
• アートファンにも、歴史ファンにも、“学芸員という仕事の本質”を考えさせる一冊
• 美術館で働くすべての人への賛歌であり、知られざる女性ヒロインの伝記
紫禁城の至宝を救え: 日中戦争惨禍から美術品を守った学芸員たち

『紫禁城の至宝を救え: 日中戦争惨禍から美術品を守った学芸員たち』
著:アダム・ブルックス/訳:須川綾子(河出書房新社)
📅 発売日:2024年8月27日
1933年、日中戦争の火蓋が切られ、中国全土が戦禍に包まれる中――。
北京・紫禁城(現在の故宮)に眠る、数千年にわたる中国の歴史と美を象徴する国宝の数々が、爆撃の危機にさらされる。そのとき、一部の学芸員たちは“文化”そのものを救うため、宝物を抱えて過酷な避難行へと旅立った。
本書は、紫禁城に保管されていた美術品を守り抜いた学芸員たちの姿を、壮大なスケールとノンフィクションの迫力で描いた感動の記録です。
📚この本の魅力
• 「命よりも重い美術品」を守った人々の実話
戦争の混乱の中、3つのルートで宝物を分散・避難させた学芸員たちの苦闘を追います。
• 圧倒的なリアリティとドラマ
BBCの元特派員である著者が、多くの資料と証言から描き出す緻密な歴史描写。
• 学芸員という職業の原点に触れる
単なる保存者ではなく、“文化の守護者”としての覚悟と行動が胸を打ちます。
🔍目次より一部抜粋
• 1章「姿を現した宮廷コレクション」
• 4章「避難」
• 8章「南京脱出」
• 10章「北路」
• 12章「忘れられない日」
• 14章「虎狩り」
👤著者について
アダム・ブルックスはBBCの元国際特派員として中国・インドネシア・米国などで活躍したジャーナリスト。
訳者の須川綾子氏は『シルクロード全史』『綻びゆくアメリカ』などを手がけるベテラン翻訳家。
まとめ:学芸員という仕事が“ぐっと近くなる”

「学芸員」と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
展示の準備や解説をする人、収蔵庫で黙々と資料整理をしている人――それももちろん正解。でも今回ご紹介した5冊を読めば、その仕事の奥深さと多彩さに、きっと驚くはずです。
🖼️ 学芸員の仕事と美術館の舞台裏を知るなら
『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』
現役学芸員が語る“展覧会の裏側”と“鑑賞のコツ”が詰まったエッセイ。
難しい知識がなくても美術館の楽しみ方がわかる、はじめの一冊にぴったりの入門書です。

👻 ちょっと怖くて、でも学べるエンタメ読み物
『博物館の「怖い話」 学芸員さんたちの不思議すぎる日常』
実話ベースの不思議体験+豆知識が絶妙なバランスで楽しめる、漫画形式のホラー&仕事本。
博物館という場のミステリアスな魅力と、学芸員のリアルな日常がのぞけます。

📚 学芸員を目指すなら知っておきたい「資料保存」の基礎
『博物館資料保存論 第2版』
文化財の劣化、修復、環境管理まで、資料を守るための知識を体系的に学べる教科書的1冊。
学芸員資格取得を目指す人、現場に立つ人、どちらにも役立つスタンダードです。

🎖️ 単なる専門職を超えた「文化の守護者」としての姿
『ナチスから美術品を守ったスパイ』/
『紫禁城の至宝を救え』
戦火や独裁の中で、命がけで美術品を守った学芸員たちの歴史的ノンフィクション。
どちらも「記録すること」「運ぶこと」「伝えること」の重みが胸を打ち、
学芸員という仕事がどれほど人類の文化と尊厳を支えてきたかを教えてくれます。


🧩 学芸員とは、“文化を未来につなぐ人”
今回紹介した5冊を通じて見えてくるのは、学芸員が単なる「裏方」ではないということ。
展示を企画する人、資料を守る人、来館者とつなぐ人、時には戦場で命を懸ける人。
そのすべてが、文化を未来に手渡すために奮闘している、かけがえのない存在です。
美術館・博物館がもっと楽しくなるきっかけに。
あるいは「学芸員になりたい」と思う誰かの背中をそっと押すために。
あなたにとっての“学芸員本”が、ここで見つかれば嬉しいです。